旅・温泉 Feed

2014年2月16日 (日)

雪見露天風呂。新潟 越後湯沢にて...

温泉好きなのだけれど、一度もやったことがないことの一つに、豪雪地域での雪見の露天風呂、というものがあった。

そんな話をJとしていて、あっという間に雪見露天風呂の計画ができあがった。

日本秘湯を守る会の本をめくりながら、今回狙いを定めたのは、貝掛温泉と清津館。どちらもJR越後湯沢駅からそれほど遠くないが、秘湯感あふれるところのようだ。

期待値としては貝掛温泉が上。清見館はちょっとどうかな?と思いつつ、予約の電話をすると、すんなり予約できた。もっとも2か月以上前のことだけれど。

さて、広島を出たのは2月8日。10日の月曜は平日だけれど、うちの会社は一斉休暇取得日となっていて、4連休。その初日だ。

ちなみに、これを書いているのは2月16日。テレビをつけると、ソチオリンピック ラージヒルで葛西選手の銀メダルで盛り上がっている。その一方で、再び関東から東を襲った週末2週連続の大雪の被害の話題が繰り返し伝えられている。

そう、東京に移動しようとした日は先週の大雪の日で...新幹線...広島駅をそれでも20分弱遅れで出発したのだけれど、東京へは2時間20分弱の遅れで到着。まぁ、着いてよかった、と思った。何せ、車窓からの風景は、広島から東京までの間、8割方真っ白だ。まぁこれだけしっかり遅れると、ちゃんと2時間は過ぎてもらわないと困る。2時間過ぎたら特急料金払い戻しだしね。ちょっと浮いたな...

東京。これまた凄い。

ちょっと荷物が多かったのでキャリーバッグを持って行っていたのだけれど、当然ながらこれはまったく使い物にならない。キャリーバッグのロードクリアランスではこの積雪は乗り越えられず、ほとんどラッセル車状態で、僕が通った後に道ができている。

雪見に行こうと思ったら、東京で十分に雪見ができてしまった。

さて、明けて2月9日は日曜日。

東京駅から上越新幹線で越後湯沢へ向かう。所要時間は1時間15分なので、あっという間だ。越後湯沢といえば、ガーラ湯沢やその他スキー場がひしめくエリアなのだけれど、さすがに日曜の昼過ぎに到着する新幹線は割と空いていた。

少しだけ遅れて到着した越後湯沢。さて、お昼をどうしよう...

Jが調べた。何かとんでもなくリーズナブルな鍋があるらしい。

越後湯沢の駅から徒歩で5分くらいだろうか。森瀧(もりたき)というお店。

Moritaki 

これだ。2人前だけれど、すごいボリューム。しかも、お出汁がいい味で美味い。

お店の人に「かんずり」というこのあたりの特産のスパイス?柚子胡椒を唐辛子っぽくして、熟成させて少し柔らかくしたような感じ...意味がわからんな...を入れるように進めてもらって、取り皿に入れて出汁に溶かしてみると、これまた美味い。

この鍋にうどんを2人分投入して、もう、お腹いっぱい。いやいや、800円というこの「うどんすき」は...越後湯沢でのっけからインパクトがあった。またこのあたりに来たら、是非寄りたい。

駅に戻って駅レンタカーを借り出そう...としたら、駅レンタカーの場所が分からない。駅の周辺にはトヨタレンタカーとニッポンレンタカーしか見えない。しばし雪に吹き付けられつつ悩んだ結果、というより電話して聞いたのだけれど、駅レンタカーは駅の構内。お土産物売り場あたりのカフェの横にカウンターがあった。

分かりやすいような分かりにくいような...

車は地下駐車場にあるようで、そこまで案内してもらって、今回はマツダ デミオを借り受ける。見てみると四駆だ。スタッドレス無料プランで申し込んでいるので、この四駆とスタッドレスの組み合わせで、心配していた雪道走行に一安心。

若いころはパジェロ(V6 3000cc ショートボディ、しかもMTというレアな?もの)に乗っていたし、ちょっと前まではエクストレイルに乗っていたので、特にパジェロのときは雪道に対する恐怖感はあまりなかったのだけれど、レンタカーで借りるコンパクトカーだと少し不安だった。だが四駆ならね。

一路、貝掛温泉へ。

新潟。豪雪地帯の道路。

積雪時の東京の方が余程怖い、という感じ。除雪は徹底しているし、路面に水を流して凍結を防止しているし、もちろんところどころ圧雪の路面もあるけれど、無茶な走り方をしなければ、何の問題もない。いや、すごいな。

というわけでしばらくは横にスキー場を眺めながら、こんなところまで来てスキーもスノボもやらない自分たちの風変りさ?に苦笑いしながら進んでいく。

あと少しで貝掛温泉、というところまで来て、ようやくこんな風景に。

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さらに圧雪された橋を渡って、貝掛温泉に到着。

何とも雰囲気のいい宿だ。

チェックインすると、メグスリの木のお茶と、笹団子のサービス。

部屋に通される。部屋自体は普通のお部屋。窓からは真っ白な世界が広がっている。

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さて、早速目標達成しに行こう!

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よい雰囲気。うん、これこ...しかし...ぬるい...

源泉の温度が37度ちょっと。この時間の男湯の方は割と広くて、湯の注ぎ口は一つしかないのだから、まぁ35度もないのではなかろうか。

気温が0度とかそんな感じだろうから、入った瞬間は少し暖かさを感じるものの、いくら浸かっていても温まるという感じはない。

ぬるめのお湯にじっくり浸かるのは好きだけれど、これはあまりにぬる過ぎる。

ここのお湯、市販の目薬の成分に近い成分を持っているそうで、昔から目の養生のために訪れる湯治客が多かったそうだ。注ぎ口のお湯を手で受けながら目を洗う。3~4度そうしてみたのだけれど、湯上りの自分の目をみたら目が真っ赤になっていて、結局目薬を差した。う~む、どう判断すればよいのやら。

ともかく、おかげで雪を眺めながらお湯にじっくり浸かることはできた。

いくらなんでも風邪をひきそうだな、と思うまでそこで過ごして、続いて同じ露天の加温の湯船に浸かる。

うん、この気温ならこれくらいは欲しいよな。

中に入り、また源泉に浸かり、中の加温湯船に浸かって、一旦風呂から出る。

時間が経つほどに内側からホカホカしてくるのは、やはりぬるめのお湯にじっくり浸かったからだろうか。

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Img_3368_r岩魚。

Img_3371_rこの薬膳玄米粥がなかなか美味かった。貝掛温泉の名物、とのことだ。

「古来より、目の湯治には肝臓・脾臓の活療からと云われております」との説明書きが添えられ、クコの実、人参、とうもろこし、さつまいも、いんげん、あずき、胡麻が入っているそうだ。

そのほか、料理は全般的に優しい味付けで西の住人の僕の口にもとても合った。

新潟は言わずと知れた酒どころだが、越後湯沢からほど近い塩沢あたりは激戦区と言える。あの上善如水の白瀧酒造もこのあたりだし、何よりJが大好きだ、という鶴齢の青木酒造がある。

明日は青木酒造を訪れる予定にもしている。

料理に合わせてのお酒は、むろん鶴齢。鶴齢の飲み比べセットがあったので、これを注文。僕は横からちょっともらう。本醸造、大吟醸、純米大吟醸。純米大吟醸を中心にいただいたが、とても美味しい。

部屋に帰って一服してから、再び温泉へ。

19時で男女入れ替えがあったため、今度は手狭な方のお風呂だ。

露天には加温湯船はないので、湯の注ぎ口の近くで星空と時折霞がかる月を愛でて、それから中のお風呂で温まる。よいね。

P2100405_r前客が残したのだろうと思われる、すごく小さな雪だるまの横に、少しだけ大きな雪だるまを作って並べる。

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さて、出発だ。まずは塩見、青木酒造へ。

塩沢の街は観光客対応で景観統一といろいろな配慮がされていて、地方の街として頑張っている感じが伺える。

青木酒造。事前にJが営業の方とメールでやり取りをしていたこともあって、いろいろな話を聞かせてもらい、また醸造所の中も少し見せていただけた。

貝掛温泉では年に数回?青木酒造の見学会のようなものをやっていて、今回そのタイミングには当たらなかったのだけれど、鶴齢ファンのJはどうやっても訪れてみたかったようで、営業の方にいろいろ質問している。これを受ける営業の方も本当にお酒が好きで、また自社のお酒を愛していることが分かるような熱い方で、なんだかいいな、と思うし、僕も鶴齢に対する思い入れが強まった。

製造業と一括りにすると少し違うかも知れないけれど、やはり自社製品に熱のこもった愛をもっている企業の製品は違うと思う。そうありたいものだね。製造業の基本を見た気がした。

本当に楽しめた青木酒造訪問だった。

その青木酒造が経営しているらしいオーギヤカフェに寄り、少し気分を変えて、僕はカレーを、Jはワッフルランチ的なものを注文。・・・いや、実は僕はカレーに追加して苺ワッフルを頼んだ。苺系スイーツは外せない...

このカレーが美味かった。玉ねぎをじっくりと炒めたものと思われる優しい味で、ちょっと感動した。ワッフルも美味しいけれど、このカレーライスはおすすめだ。

さて、次の目的地、清津館に向かう。

貝掛温泉より標高が高いのだろう。積雪量はかなり多いが、後で聞いた話では、例年に比べて雪は少ないとのことだった。ともかくそんな中、清津館に到着。

前日の貝掛温泉は宿の構え、雰囲気からとても期待値を高めるものだったが、こちらの清津館は鉄筋コンクリートの建屋で、それがそれなりに老朽化している感じで、正直なところ、それほどいい雰囲気とは思えなかった。

ともかくチェックインする。

人の良さそうな女将さんと女中さん?が、本当に人当たりよく接してくれて、少し和む。

ここの露天風呂は貸し切り露天風呂のみ。明るい時間に入りたかったので早めの時間で予約しようとすると、加温に時間が40分くらいかかる、とのこと。加温時間を踏まえてできるだけ早い時間で予約する。

しかし、この貸し切り時間がたったの30分。1時間くらいはお湯に浸かっていたい僕としてはかなり物足りない。

一旦部屋に入ってから、あとの時間30分を追加(300円)で借りれないか?と聞いてみたところ、次に入るお客さんが選ばなければ...とのことだった。

だが、18時の夕食前にお風呂に入ろうとすると、その時間しかなかったので、案の定、無理だった。

ふと、窓の外を見る。

あ、いた!

P2100437_r拡大すると

P2100437ニホンカモシカだ。

ミラーレス一眼、OLYMPUS PEN Lite E-PL6を買ったのだけれど、このときダブルズームキットを買っていた。初めて、40~150mmズームが活躍した。かなり離れていたのだけれど、思った以上にちゃんと撮影できた。よく知らないのだけれど、僕が中学生のころ買った250mmレンズと同じくらいの倍率とかなんとか...

さて、時間だ。

ともかく、露天風呂に向かう。

宿で長靴を借りて一旦外に出て、宿の方が作ったかまくらを通り過ぎて露天風呂へ。

鍵を開けて脱衣所に入り、湯船へ向かう。

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Dcf00232雪の清津峡を望む絶景の露天風呂だ。

こちらの露天風呂には、源泉と加温されたお湯両方の注ぎ口があり、一方は源泉のみでかなりぬるい。大きい方が加温されたお湯が合わせて注ぎ込まれていて、この寒さには心地よい暖かさだ。返す返すも時間が短いのが辛い。

お湯も貝掛温泉に比べるとかなり濃いもので、泉質の違いがあるから一概にどちらがいい、悪いとは言えないけれど、硫黄臭が漂い、湯の花が漂うここのお湯は、柔らかく、心地よかった。

部屋に帰り、夕食用の部屋に向かう。

こちら、よい方に裏切られた。期待していた以上の料理で、実に美味い。

囲炉裏端をイメージした卓を挟む。

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鯉のカルパッチョ、また鯉こくと、山間部で無理やり海の幸を出さないところにも好感が持てるし、鯉もしっかり泥を吐かせているようで臭みもなく、脂がのって結構おいしい。

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山菜の天ぷらもサクサクして美味しいし、ヤマメも美味い。

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煮物も家庭的な味付けで好ましいく、山菜もうまい。

総じて思った以上にレベルの高いお料理だった。

とくに贅沢なものでもなく、とくにずば抜けてどうこう、というのではないのだけれど、こういう山間の宿にはよく似合う。こういうのがいい。秘湯にはね。

内湯に浸かる。窓からは雪景色だ。

Dcf00228ふぅ、よい気持ちだ。

翌朝、せっかくなので、清津峡見学してみようと思い立ち、宿の人に聞いてみる。

すると、冬季はやってないのでは...とのこと。むむ?そうなの?と思っていると、午前中だけ、管理される方が行かれているので、見学可能ですよ、とのことだった。

宿で長靴を借りて清津峡の観光用トンネルに向かう。

渓谷内の登山道が崩落で通行できなくなり、このトンネルが作られたといったことが説明に書かれていた。清津峡からこのトンネルの入り口まではすぐ近くだ。

P2110446_rこんなトンネルの中を歩く。中にはちょっとした展示物(熊のはく製はちょっと口が怖い...)や清津峡の案内ビデオが流されたりしているエリアがある。

そして、3か所のビュースポットがあって、ここではトンネルが進行方向左手側に伸び、渓谷の中腹に開口していて、終点には展望エリアがある。

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P2110468_rなかなかの景観。

往復しても40分ほどなので、ここまで来たら、是非行ってみればいいかな。

宿に戻り、ダメ元で冷えた身体を温めるためにもう一度露天に入れないか聞いてみる。

それは問題ない、ということなのだけれど、温めるのに40分掛かるとか。「出かける前に言ってもらえていればよかったですね。でも、内湯なら入れますよ。」とのこと。

残念だが時間もないので露天は諦めて、内湯で身体を温める。ふぅ、気持ちいい。

Jが貝掛温泉にiphoneのアダプターを忘れてきたことに気づいて、一旦貝掛温泉に戻り、それから越後湯沢へ戻る。

へきそば。やはり蕎麦好きの僕としては、これは食べたいところ。

Img_3428_r順番待ちすること40分くらいだろうか。

越後湯沢駅からすぐという立地もあって、このあたりでは有名な中野屋のへきそばにたどり着く。

これまた...思った以上に美味い!

調子に乗って2人で3人前を頼んで、出てきたときの量に驚いたのだけれど、腹いっぱいにはなったものの、最後まで美味しくいただけ。

新潟。美味いものが多いな。しかも温泉多いし。よいところだね。

レンタカーを返し、土産を少し買って、上越新幹線に乗る。

ああ、今回もいい旅だったな。

海外も面白いけれど、日本はまだまだ楽しめそうだ。

一度断念したあと、再び集めている日本秘湯を守る会のスタンプカード。今回の旅で、いよいよ残り2つで10個スタンプがたまる。今回は期間中にたまりそうだな。

今度は何処に行こうかな?

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2013年10月20日 (日)

怒涛の奥飛騨露天4連発

いや、本当にここのところバタバタしてしまって、おそらくかなり疲れている。

釣りのHPを書いているときは、それこそ、ある種の自主的?脅迫概念のようなもので、釣りに行くたびにその模様をアップロードしていたのだけれど、今となっては...というより釣りでないと、それほどそういうものも感じず、また、ブログだからiphoneからアップしてもよさそうなものだけれど、それもなんだか気が乗らず、回らず、という状況。

まあ、誰が見ているというわけでもない...というよりそれを意識もあまりしていなくて、単に書くのが好きだから書いているだけだから、これも仕方ない。

これから書くのは、10月5~6日の話。

その翌週、10月12~13日は、さらに神戸、奈良をぶらぶらしてきて、相当歩いて、これは歳のせいなのだろうか?左足の踵に激痛が...17日のこと...少し間が空いているので関係ないかも知れないけれど、今もちょっと違和感あって、強く踵を床に着けない状態。

昨日19日は釣りに行こうか、ということも考えたりしていたのだけれど、足が不安だし、これはちょっと休め、ということかな、と考えて、この土日はひたすらダラダラしていた。たまにはこういう週末も必要だなぁ。

 

さて、某社外団体の委員会で長野県は松本に行ったのは10月4日。泊まったのは松本の温泉で一応源泉かけ流し。

松本の温泉場は、どうも周りの雰囲気がいまいち。建物だらけで露天に入っても建物しか見えない。お湯もそうだが、温泉は雰囲気も大事だよな...と思う。まぁ比較的安い温泉宿なので文句をいっちゃぁいけないか。

地元屋という温泉。古びているけれど、アットホームな感じで悪くはなかった。

 

が、今回の話はその翌日がメインになる。

温泉好きのメンバ4人でレンタカーを借りて、松本から奥飛騨まで足を延ばし、温泉三昧といこう!という話になっていた。

 

JR松本駅前でレンタカーを借り、国道158号線を西進。穂高岳の南を上高地方面に登っていく。一路、新穂高温泉郷へ。

雨の予報だけれど、まぁ僕がいる。過去に何度も一緒にこういう後日ふらふらをしている2人は安心している。初めて一緒にふらふらする1人は疑心暗鬼。

つまり、まったく問題ない。露天は雨降ると...まぁ雨は雨の風情はあるけれど、落ち着かないところもあるから、天気はいいに越したことはない。だから僕と一緒に行動すると安心。

驚異の晴れ男として、実は一部では認知されているし、自分でもそう思っている。

 

今回の野趣あふれる露天風呂のセレクトはIさん。このあたりの温泉に実に詳しくて、年に2度は来ているというから安心だ。選りすぐりの露天風呂を案内してくれる。

まずは、こちらは日本秘湯を守る会の会員でもある槍見館。

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槍見の湯、まんてんの湯という二つの混浴露天風呂が外来で利用可能。

この宿、宿自体がそうとう渋い。古民家を利用したような作りで、なんとも風情がある。一度はちゃんと泊まってみたい宿候補上位ランク(僕の)にあがってきた。

宿の入り口で料金を払って、階段を降りて露天風呂へ向かう。

オープンな脱衣所で服を脱ぎ...おお、素晴らしい!

すぐそばを流れる蒲田川に歩いて降りることができる。少し靄があって槍ヶ岳は見えないけれど、そこそこの天気で晴れ間も覗いていて、形の良い岩に頭と首を預けて湯につかって空を見る、緑を見る、目を閉じる、川のせせらぎとお湯の流れる音を聞く...心地よい...これぞ温泉の醍醐味だな。

単純温泉/炭酸水素塩泉で無色透明のお湯だけれど、きつすぎず、なかなか心地よいお湯だった。

 

が、一つ目の温泉であまりゆっくりしていると、最後まで体力が持たない。

次だ。

二つ目の温泉は、深山荘。

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橋を渡っていくのだけれど、その橋の上からの写真。分かるだろうか?
写真中央少し左が湯船だ。まさにフルオープン。丸見えの露天風呂。

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上から3段の湯船があり、上が一番熱い。一番下の湯船はもうすぐそこが河原で、先の槍見岳よりも容易に河原に出ることができる。夏場なんかは、川で泳いで、また温泉に浸かって...と楽しめそう。ちょっと川の中を素っ裸で歩いてみたけれど、それほど水温が冷たいわけでもなかったが、これはお湯が注ぎ込まれているからかな?

一番下のお湯にゆったり浸かる。槍見館とすぐ近くなのに、まったくお湯の性質が違う。

ここは単純泉なのだが、湯の花が浮いていて、硫黄臭もあって、雰囲気がいい。

 

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また、形の良い岩に頭と首を預ける。本当に心地いい。・・・が、まだ2つ目なのに、結構疲れてきているのも感じる。温泉だと、さっと入って、さっと出る、という技ができない。4人が4人ともそうだから、なんだかんだで結構じっくり浸かってしまう。そろそろ出ようかな。

2段目には別のお客さんがいたので、挨拶をして、一番上のお湯に少し浸かってから...さぁ、次へ行こう。

とはいえ、少し疲れたので新穂高ロープウェイの上り口にある施設で昼食を取る。ここにも温泉があるようで、こういった公共温泉特有の休憩場所があった。食事をしただけで休ませてもらうのも気が引けたが、皆疲れているようで、ここで30分ほどの小休止。皆は寝れるようなのだが、こういうとき寝つきの悪い僕は、早々に起きだして、トイレにいって、施設内をぶらぶらする。

さて、最後は、水明館 佳留萱山荘。巨大な露天風呂を持つ温泉だ。

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ここはたくさんのお客さんが入っているので、湯船周りの写真は撮れない。けれど、今は各温泉宿のHPも充実しているので、そこを見れば足りるから、あまり写真撮影に固執する必要はない...のだけれど、実は、最近、ミラーレス一眼を買ったので、ちょっとうれしくなって写真を撮りたい気分にもなっていたりする...

湯船は大きく分けて3つある。一番手前のお湯は結構熱い。その次にある湯船は広いのだが...なんだか緑...これ、藻だよなぁ...こういうの野趣あふれる、というのだろうか。

ちょっと僕には落ち着かない。いや、普通、落ち着かないよな。ここのお湯は温めだからゆっくりできるのだけれど、早々に一番奥の湯船に向かう。

ここもそこそこ広く、奥には洞窟になっているところがあって、この洞窟の中に日本秘湯を守る会の提灯がぶら下がったりしていて、面白い。けれど少々湯温が高いので、あまり長湯はできないな。

ここも単純泉だけれど、やはりまたお湯の質が違う。硫黄臭は漂っている。

 

こうやって、3つの露天風呂を制覇して、宿へと向かう。いずれも混浴だけれど、女性は割としっかりとした湯あみ着を着ているので、それほど気にならない。

考えてみると、何故青森の混浴露天では、こういう湯あみ着を着ていなかったのだろう?文化の違いかな?

 

宿は、平湯温泉ひらゆの森。温泉テーマパーク的な巨大な施設だ。

大きなお土産物売り場などがある受付から、驚くほどの長い廊下をひたすら歩いて、ようやく部屋にたどり着く。

まずは温泉だ。...しかし、好きだなぁ ^^;

ちょっと舐めていてた。昼間に訪れた秘湯に比べればはるかに俗っぽい施設だから...

しかし、お湯は結構すごい。湯船は男湯の方は7つ。女湯の方が多いようだ。

宿泊者用には内湯もあって、この内湯と、内湯から出たところにあるヒノキ風呂。それともう一つあたりが湯温も高いが、何しろお湯が濃い。湯の花で完全に白濁している。硫黄臭も強い。

外来のお客さんがいる時間帯なので、子供たちが走り回ったりしていてまったく落ち着かないけれど、これは夜が楽しみだな。

こういう施設にしてはなかなかの食事をいただいて、部屋でさらに少し飲んで(僕はほとんど飲めないけれど...)、深夜に近い時間帯、再びお湯に浸かる。

露天のヒノキ風呂にゆっくりと...少し熱いが、それでも夜風は少し冷たく、気持ちいい。

ふぅ...

いろんなことがあったなぁ、ここ2~3年は。

・・・なんてことを考えるのも、こういう時間か。

 

朝湯もして、そして帰路に着く。

午前中、少しだけ時間があるので、安曇野方面へ。

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安曇野の大王わさび農場。ワサビというと山間の清流で育てられているイメージがあったのだけれど、こんな平野でも育てられるんだなぁ。鮮烈な湧水がなせる業か。

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そして、安曇野を松本方向へ向かう。

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♪夢を夢で終わらせたくないと、君はこの町を出る。千切れるほど振るその指先が芒に溶けた秋の日。野分吹く安曇野に君の後姿。まだ明けそめぬ空に名残月。僕の愛を一包み、君の知らぬ間にその小さな荷物に忍ばせた。それに気づくほど疲れた時は、思い出して梓川♪(さだまさし)

安曇野に寄りたい、と言ったのは僕。

季節は違うけれど、安曇野を走る僕の頭の中には、さださんの安曇野の優しく強い詩が何度も流れたな。

ああ、楽しかった。

・・・けれど、正直温泉入りすぎてクタクタに疲れ、身体に染みついた硫黄臭を漂わせながら、ぐったりと、特急、新幹線を乗り継いで広島へ向かった僕だった。

温泉耐久力を身につけなければ...??

 

 

2013年9月19日 (木)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その8 「秘湯 蔦温泉」

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蔦温泉。この旅で、宿としては一番楽しみにしていた宿だ。

温泉だけなら、不老不死温泉も楽しみだったが、ここは宿と料理と温泉、すべてが楽しみ。

玄関を開けて中に入る。

右手に番台?とは言わないのか...それじゃ銭湯か...宿の方が受付その他をいろいろやっている部屋がある。廊下がその前を右手側に伸びている。

左手にはストーブが設置された談話室のような部屋。

歴史を感じさせる、けれども清潔で落ち着く空間。

さすがに人気の高い宿だけのことはあるな。

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本館へと続く長い階段。

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本館は本館で歴史を感じさせる、非常に雰囲気のある空間。

ただ、今回は本館ではなく、鉄筋コンクリートで比較的新しい西館へ部屋をとった。

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雪を眺めつつ、きちんとトイレもついて、蛍光灯もつく、落ち着いた部屋。

青荷温泉のようなところではなく、温川温泉でもなく、やっぱりこれくらいのいい部屋が落ち着く...と考えるあたり、まだまだ素人?秘湯を語る資格はないかも知れないけれど、まぁなんというか、せっかくの休みにお金を使って出かけるのだから、気持ちのいい空間で過ごせた方がいいに決まっている。そんな風に思うあたりも、歳をとったのかな。

 

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人がいなかったので、手元にあった携帯電話のカメラでとったため、暗くてよく分らないけれど、泉響の湯だ。

ヒノキの木肌が優しい。

蔦温泉は、浴槽の底から温泉が湧き出てくる。

底には簀の子が敷いてあるが、その下から、お湯がこんこんと湧き出ている。

もう、それだけですごい。うれしい。

ポコっと泡が浮き上がってくる。あそこ...と思ったら今度は自分の真下から。

無色透明で少し熱めだが、いつまででも浸かっていたいような素晴らしいお湯。

もう一つの久安の湯。こちらの方が歴史のある湯で風情はあるが、新しい分、泉響の湯の方が落ち着くかな。

・・・どうにも、今回の旅では、青荷とか温川とか、古ぼけた(というと聞こえが悪いが)施設の宿に泊まって、特に青荷で苦労した(思った以上に気持ちも心も休まらなかった)からか、清潔でしっかりとしていて、それでいてある程度雰囲気のある設備に気持ちが惹かれるようだ。

いや、それにしても素晴らしい。なんといっても、足元からお湯が湧き出て、湯船からオーバーフローしているのだから。

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お料理は部屋食でいただいた。

特に豪勢、というわけではなくて、素材自体は温川とそんなに違わないのかも知れないが、天ぷらは熱くサクサクしているし、それぞれの料理にそれぞれひと手間かけてあって、実に美味しい。

なんだか幸せな気分になってくる。

美味しい料理と素晴らしいお湯。温泉旅館の醍醐味だね。

気持ちよく夜が更ける。

ちょっとだけ、雪を心配しながら...まぁ帰れなければもう一泊...部屋、空いてないかな?

朝、雪は止んでいて、交通規制も解除されている様子。

お湯に浸かり、朝食を食べ...散策できるコースがあるようだぞ。

蔦沼。南祖の坊に片恋した蔦子姫が身を沈めたといわれる沼。

この沼をはじめ7つの沼を巡るコースだ。

長靴を借りて歩いてみようかと...だって、結構歩いてる人いたし...いやぁ、まいった。

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蔦沼。このあたりは何の問題もなかった。

それどころか、ここは岩魚がつれたりするらしく、それを想像するだけでうれしくなっていた。

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雪山だ。

時折、ボコっと足を取られながら次の沼を目指してあるいていく。

道が見えない。

人の歩いた跡を辿るが、なぜか消える。ズボっと沈む。

あれ?どっちから来たっけ?

・・・危うく遭難するところだった...といえば大げさだが、ほんとにどっちに帰っていいかわからなくなって、結構焦ったお散歩だった。

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いつか、また来たいなぁ。


少し走りやすくなった八甲田山ろくの道を雪を眺めつつ下る。

さて、弘前。

桜はどうなった?

to be continue...

2013年9月 1日 (日)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その7 「田酒、そして再び八甲田と恐怖の雪道」

2013年5月3日。

と、書き始める今日は9月1日。暑い日が続いている。ここ2週間ほど週末ごとの雨に見舞われて、なんとなく閉じこもりがちな夏の終わり。

ブログというと、つまり日記で、どちらかというと即時性が特徴なのだろうと思う。そのために書き込みやすいツールが準備されていて、だれでも手軽にアップできる。

こうやって4か月も経って季節感がずれている話題を書くというのは、これはブログとしては不適切なのだろうと思うのだけれど、まぁ、こうやって書き始めたし、当面、この形で書いてみようかな...と、誰に説明しているのだろう?自分か?

この間ブログにアップした久しぶりのチヌ釣りは、そのあと、やっぱり違う、と思ってHPを改めて更新した。当初、ブログに書いたものをコピペして、少しだけ加筆しようかと思ったのだけれど、書き始めると、そもそも書くことが好きな僕は、ほぼ書下ろしになってしまった。

そうなんだよな。昔から書くことは好きで、だから僕のHP「いつも海を見ていた」は、おそらく釣り関係HPの中では群を抜くテキスト量だと思う。つまり文章が長い。こういう長い文章に付き合ってくれる理屈っぽい当時の数人の仲間とは、今も付き合いが続いている。

意識していないが、自然と理屈っぽい僕に合う人を見つけ出してくれたのかも。

ともかく、この青森の話題も完結していないし、実はニュージーランド編もまだ完結していない。そのあと山陰で温泉に浸かった話題もあるのだけれど、これは着手もしていない。普通の人の数倍の文章を(ほとんど無駄話だけれど)書くから、時間かかるんだよな。でも、振り返って自分で読んでみたら、案外それはそれで面白いので、ともかく書きかけた以上、ゆっくりとでも完結させておこうかな、と思う。

即時性をもったブログより、少し時間をおいて、自分の中で出来事を消化して、文章に置き換えていく。そんな作業が好きなんだよね。

さて、頭の中の季節を春とはいえ、いまだ冬の様相の青森に戻そう。

その、2013年5月3日。

温川山荘を出発した僕らは、東北自動車道を北上する。

この日の宿は楽しみにしていた秘湯蔦温泉なので、温川山荘からはさほど離れていない。時間があるのでどうしようか?と考えたところ、Jが青森に行くなら絶対に行きたい、と言っていた場所に行く時間が十分にある...ということで、青森市街へ向かうことにした。

目的地は、知る人ぞ知る東北の銘酒「田酒」の醸造元、西田酒造だ。

醸造所見学ができるのかどうかも分らないが、ともかく、あの田酒を作っているところに行ってみたい、というのがJの希望。

Jと旅行をするようになって、僕一人では絶対に行かなかったと思われる場所に行くようになった。その一つが日本酒の醸造所であったり、ワイナリーであったりする。

少し余談だけれど、仕事関係(...なのかな?)でウィスキーの蒸留所にも行っている。サントリー山崎蒸留所には3~4回行っているし、白州蒸留所にも行ったし、ニッカの余市蒸留所にも行った。

余市の雰囲気は僕をウィスキーの魅力に一気に引き込んでしまったし、山崎ではサントリーの人たちが、本当に好きで好きでたまらずにウィスキーを作っているということを感じさせてくれて、今では、いつかスコットランドを訪れて、アイラやスペイサイドの蒸留所に行ってみたいと思うようにすらなっている。

ビールは工業製品だと思う。工場に行っても全く魅力を感じない。まぁビールは飲む気もない、とういのもあるのだけれど。

一方で、ウィスキーやワインは、時間と、その土地の空気を閉じ込める作業によって生み出される。この長い時間をかけて書かれた手紙を読むような、くすぐったいような感動がそこにあって、せせこましい日常を同じ空間で送る僕らに、時間と空間を飛び越えるような贅沢な気分も与えてくれる。時間が味を変え、空気が味を変える。本当に面白い。

日本酒は、これは職人が生み出す芸術だと思う。日本酒の酒蔵を訪れると、そこは職人の作業場で、熱意と、酒にこだわり続け時間が閉じ込められていて、厳かな雰囲気すら感じる。とくに小さな醸造所がそうだ。

ということで、今回の西田酒造訪問も、僕も結構楽しみだ。

カーナビを頼りに西田酒造を目指す。いつも通りのミスリードで裏手の方をグルグル回らされて、ようやく正面入り口を発見。・・・しかし、どうにも入り難い雰囲気だ。

ともかく車を停めて正面入り口へ行ってみる。やはり、なんとなく入りにくい。

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僕一人なら諦めて帰っていたところだが、Jの執念?はそれでは我慢できない。

決心して入り口の引き戸をガラガラ、とあけてみる。

「こんにちは。すみません。」

緊張...

すると中から、人の良さそうな女性が出てきてくれて、一安心。

話を聞くと、やはり西田酒造さんでは見学の受け入れはしていなくて、ここでのお酒の販売もしていないらしい。

それでも、Jの熱意と田酒愛にほだされたのか、いろいろ話を聞かせてくれた。

田酒は生産量が非常に少なく、付き合いのある特定の酒屋へほとんどが卸されているようだ。

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撮影OKの範囲で記念撮影させてもらい、近所で田酒を扱っている酒屋を紹介してもらう。

お礼を言って、その酒屋を目指す。

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おお!田酒だ。

しかし、これは空き箱が並んでいるだけで、このお店でも販売できる田酒の量は限られている。お店の方にもJの田酒愛が伝わり、分けていただけるだけの田酒の純米吟醸と、さらに山廃仕込の田酒を購入。

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この田酒。帰って飲んでみたが、やはり旨い。

辛口だが芳醇で柔らかい味わい。僕はお酒に弱いので、アルコール感が舌や喉に刺さるような日本酒は苦手だ。だから、たとえば地元では獺祭や宝剣などの純米大吟醸などのような、どちらかというと女性好みの、香りがよくフルーティで、お酒お酒していない日本酒が好きだ。

田酒はまさにそんなお酒で、これほど飲みやすく美味しい日本酒は多くないと思った。山廃仕込は通常少し飲みにくい(僕のような人間には)らしいのだけれど、田酒の山廃は、これまた美味しい。素晴らしい。

酒屋を後にして、ここまで来たのだから...ということで青森中心部へ向かう。お土産などもここで買っておこう、と、青森観光物産館アスパムの駐車場に車を入れる。ここは青森港のすぐそばだ。

とりあえずアスパムの中の様子をおおよそ把握して、ちょっとお腹も空いたな...ということで、街へ出てみる。食べログを見て目安を付けてお店を訪れると、休みだったり、時間外だったりで、ちょっと困ってしまう。

街を歩いていると雪が舞ってくる。寒い。

青森市街で雪が舞う...大丈夫かなぁ...

青森魚菜センター、というのがある。ここは一般向けに販売している魚市場のような感じなのだけれど、一枚100円のチケットのつづりを買って、ご飯を買って、あとはそのチケットで市場内の各店にあるお刺身などを購入してご飯にのせて丼にする、という面白い趣向をやっている。

ここに行ってみる。

魚がいっぱい。釣り師は魚を見るのも大好き。

お、ホヤだ。

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正直気持ち悪い...

相当な店の数で、それぞれ観光客を呼び込むため、工夫を凝らして丼用の素材を並べている。

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僕の海鮮丼は、せっかくの青森なのでマグロ中心。

Jの海鮮丼はバランスと色合いがよいね。

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ここでは、ダシに凝っている僕は昆布を購入。さらに鮭とばを購入。酒飲まないのに、こういうの好きなんだよな。

ちょっと量が足りないのと、コーヒーを飲みたくなって、喫茶店を探す。

ケーキセットがお得そうな喫茶店を見つけて入る。

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...なんかうれしい...

アスパムに戻り、お土産を購入。そろそろ宿に向かおうか。

国道103号線を南下する。八甲田ゴールドラインだが...みるみるうちに道路わきの積雪量が増してくる。しかも降雪量も増えてくる。道路標識では、夜間通行止めの表示すら出始めている。

タイヤはノーマル。しかもコンパクトカーで車体重量も軽い。普段車に乗らないJは比較的呑気だが、ずっと四駆に乗り続けていた僕だが、雪道では怖い思いを何度かしているので、こちらはかなり緊張してきている。最悪たどり着けない。たどり着いても翌日空港へ向かえないのではないか?

ちなみに、昔僕は20年ほどの前のモデルのパジェロのショートボディ、V6 3000ccのモデル、かつマニュアルミッションという、割と希少価値?のあるモデルに乗っていた。このころ早春の中国山地の山間にアマゴを釣りにいって、雪道で少し無理をして(スタッドレスは履いていない)道路から道路わきの雪の積もった小さな空き地に飛び出したことがある。幸いデフロックして自分で脱出できたけれど...

その後はもうパジェロを買うほどのお金もなかったので、エクストレイルに乗っていた。パジェロに比べるとちゃちな感じだったけれど、パジェロほど壊れなかったな。・・・ほんと、パジェロはよく壊れた。三菱自動車は車をまともに作る能力ないんじゃないか?と思ったくらい。でも、個性的で面白い車だった。好きだったな。

と...ともかく、再び酸ケ湯温泉のあたりまで来たころには、もう道路の上も積雪していて、接地感がなくなってきている。

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これは相当やばい。

登りはまだ登れる限りなんとかなるが、下りは怖い。しかし、そのうち下らないといけない。

ともかく、いまだ雪は吹雪いている。

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5月だぞ。くそ!

相当まずい状況だ、ということをJは未だ認識していない。

傾斜の緩いところで車をとめて、路面の状況を把握する。幸い夜に向かって冷えていく状況なので、轍も見た目ほど水気は出ていない。

なんとかなるかな?引き返すのも勇気だぞ、という声が時分の中に聞こえるが、引き返すにはこの道を下らないといけないという事実もある。ここまで来てしまったら、なんとか行ってしまう方がいいような気もする。明日、帰れなくなれば、それはそれで仕方がない。

ゆっくりと車を進める。スタッドレスを履いた車には素直に道を譲る。

こんな道にノーマルタイヤで入ってくる僕がおかしいのだから、周りに迷惑だけはかけないようにしないと。

道が下りに入る。傾斜がきつく、カーブもきついので怖い。

肩に力が入ってがちがちに凝ってきているのが分かる。

幸い...そういえばそうだった...奥入瀬に行ったとき、下り、つまり十和田湖側は積雪量が少なかったんだった...雪が減ってきた。

一安心...そうして、ようやく、蔦温泉に到着した。

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ああ、疲れた...

to be continue...







2013年8月15日 (木)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その6 「ミニ白神遊歩道、マタギ飯、そして秘湯温川山荘へ」

絶景の黄金崎を後にして、しばらく走ると、釣り師心をくすぐられるような岩場が目に入った。

ちょっと立ち寄ってみる。

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海の中の歩道を歩くと、自然の岩のトンネル。

ここを潜り抜けると、

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よだれが出そうな磯場だ。ここ、釣り禁止なのかな?誰も竿出していないけれど。

生憎の小雨交じりの天候なのだけれど、しばし海に見惚れて、そして車に戻る。

今日の宿は、また十和田湖方面に戻り、一昨日の青荷温泉からもそうは遠くない温川山荘(ぬるかわさんそう)だ。

今回の旅で、日本秘湯を守る会の宿を2つ予約していて、温川山荘はその一つ。

基本的に温泉宿にはなるべく早く入って、日が暮れる前に露天風呂に浸かることをポリシーとしているのだけれど、さすがに少し時間がある。

観光マップとiphoneのグーグルマップとを見て、なんとか行けそうな面白そうなところを探す。

世界遺産の白神山地は近いが、あの雪を見た後で、しかもまったくそういう装備もしていない状態なのでさすがに無理だろうし...と思っていたら、ミニ白神遊歩道というのを見つけた。

ここは世界遺産登録エリアからは外れているが、原生ブナ林など、白神山地の生態系を垣間見ることができる、比較的手軽なところらしい。

ルートを変えれば通り道ともいえるところなので、ここへ向かうことにする。

山中の田舎道をひたすら走って、案内表示に従ってさらに山を登る。

・・・雪が...

これ、大丈夫なのか??

2013年5月2日。春だよなぁ。ほんと、北国の春は遅い...

とりあえず、総合案内休憩所「くろもり館」の駐車場に車を停め、施設に入ってみる。

コースは外周コースと内周コースの2コースあるが、内周コースは入山可能とのこと。どうしようかと悩んだのではあるけれど、幸い雨も止んでいるし(晴れ男なので、車から降りるとだいたい止んでいるのだけれど)、長靴も借りれるとのことなので、長靴借りて入ってみることにする。

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入り口の雪はとりあえずこんな程度だし、問題ないだろう。

歩道は見えないから、赤い紐を目印にして進むように聞いたが、さてさて、どれほどのものなのか??

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こんな感じ。しかし、この季節にダウンが大活躍するとはね...

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森に置かれている聴診器でブナの生きている音を聞き、森の湧き壺という鮮烈な水源を感じる。そして大きなブナに、生命の爪痕に感動する。

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木の根元は雪が溶け、水の流れも雪を溶かす。春は近づいているのだろうね。

このエリアも入山はちょうど今日かららしく、雪のミニ白神もこのタイミングでないと体験できなかったかも知れない。これはこれで、なかなか貴重な時間になった。

さて、お腹も空いた。実は車もお腹が空き気味なのだ。気になっていたのだけれど、まぁ大丈夫だろう、と山に入ってしまって...考えてみればこんな山中にガソリンスタンドはないし、ここから岩木山の麓というか中腹というか...を抜ける鰺ヶ沢街道を登らないといけない。

まぁ悩んでもいまさら仕方ないし、距離と推定ガソリン残量からだけ考えると、弘前に抜けるまで大丈夫なはず。

岩木山への登山道脇を過ぎたあたり、嶽温泉がある。ここはマタギ飯というのが有名なようだ。

ちょっと通り過ぎてしまったのだけれど、ガソリン残量を気にしながら引き返して、その名もマタギ亭に立ち寄る。

温泉地なので、駐車場あたりを流れる溝からも湯気が立ち上っている。立ち寄り湯に浸かる選択肢もあるのだけれど、まぁ今回は温泉三昧なので(不老不死温泉で朝湯もしてるし)やめることにする。

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出てくるまでに相当待たされて、出てきてからも炊き上がるまでさらに待って...と、1時間ほど待たされる。つまり腹が減っているところで気が遠くなるほど待たされて、ようやく食事にありついた。

キジ肉、マイタケなどの釜めしだね。

なるほど、確かに美味しい。ただ、こうして記憶を辿りながら文字を連ねている夏の日にその味の記憶を思い出せるほど、鮮烈なおいしさではなかったかな。

また近くでお昼を食べるなら行ってみてもいいかな、という感じだろうか。

さて、思った以上に時間をつぶして、あらためて出発。ここからはほぼ下り坂なので、ガソリンの消費量も抑えられるだろう。

弘前に近づくと、ガソリンスタンドも目に入ってきた。ほっと一息。

弘前城の脇を抜ける。

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お!桜、ちょっと開いてきてる!

最後の一日、もう一度弘前城に立ち寄るつもりなので、少し期待が高まる。

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そして温川山荘へ到着。吉川英治が静養したという温泉だ。

まさに鄙びた温泉宿。少々鄙びすぎているかな...好みの分かれるところ。

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玄関から入って右手の扉を外へ出ると秘湯を守る会の提灯。階段を降りると露天風呂、藤助の湯ぅっこへ。


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入り口は男女分かれていて、脱衣場も分かれているのだけれど、湯船は一つ。

混浴だ。

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不老不死温泉もそうだったのだけれど、東北は混浴の温泉が多い。それは別にいいのだけれど、慣れないんだよね。

こういう秘湯っぽい場所だと、温泉好きの女性は混浴に入ってくる。それもいいのだけれど、慣れない。つまり、視線のやり場に気を遣う。

別に見たいとか見たくないとか、そういうつもりもないのだけれど、不自然なまでに視線を逸らそうとしてしまうから、結構疲れる。景色を見まわしながらゆったりと露天風呂で過ごすのが好きな僕としては少々窮屈。これはまぁ僕の都合なんだけれど。

ここでは、しばらく誰も入ってこなかったので、存分にお湯を楽しんだ。

少し熱めのお湯。無色透明。結構いいお湯だ。

しばらくすると、カップルが入ってきた。う~む。なんかめんどくさい。

仕方ないので一旦出る。

間をおいて、再び露天風呂に行ってみると、まだいる。立ち寄りの方のようなのだけれど、東屋に荷物を置いて、出たり入ったりしているようだ。

内風呂はヒノキ造り。

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こちらで間をつないで、あらためて露天へ。今度は誰もいない。また落ち着いて浸かる。

温泉好きである以上、混浴にももう少し慣れないといけないな...

食事の方は、可もなく不可もなく。という感じだろうか。鄙びた温泉宿にはよく似合った、よく言えば落ち着いた、悪く言えば、ちょっと印象に残りにくい食事だった。

素朴な鄙びた温泉が好きであれば、結構はまる温泉かも知れない。

僕はどうか?

今となっては、翌日宿泊した蔦温泉の素晴らしさばかりが記憶に残っていて、ちょっとよく分らない。

そう、翌日の宿泊は、今回の旅では、不老不死温泉と双璧をなす楽しみな温泉。蔦温泉だ。

to be continue...

2013年7月22日 (月)

鳥辺野と勘違い ~延暦寺から清水寺へ~

出張、というと、何故?と言われそうだが、まぁ今年もう一年はよくある出張だ。

滋賀県は大津京駅。湖西線。

広島からは新幹線で京都へ。京都から乗り継いですぐだ。ここが滋賀であって京都でない、ということに違和感を感じるくらい、JR京都駅からは離れていない。

タクシーで乗り合わせて比叡山を登る。

ここは仕事なので割愛。

2013年7月20日。

深夜までの宴会で寝不足のまま、車で来ているIさんに乗せてもらって比叡山ドライブウェイを抜ける...といってもここは抜けるのではなくて、結局引き返すことになり、料金も帰りに支払う仕組みのようだ。

先に書いてしまうけれど、この料金には驚いた。

あの短い距離を往復しただけで1600円ちょっとの有料道路って、ぼったくりではないか...

比叡山に車であがった場合の入場料的に取られているのだろうか。あまりの高さに唖然とした。

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延暦寺、大講堂。

比叡山延暦寺は、東塔、西塔、横川の3エリアに分かれていて、この区間はシャトルバスか自家用車で移動することになる。まぁ歩いても問題なさそうな距離だとは思うのだけれど。

今回は5人で、しかも車に乗せてもらっていたこともあって、一番メイン?の東塔のみ回ることにした。

大講堂の立派な建物、また生活感すら感じさせられる中を見学。中の方はすべて撮影禁止なので写真はない。

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大鐘楼。一突き50円...願いを込めて打つといいらしいが、願うにもお金がいる。

まぁいいのだけれど...

お寺も大変なんだろうな。と思う。

檀家もいるのだろうけれど、これだけの施設を維持するには相当お金もかかるだろうことは理解できるが、お土産的に売られるお守りとか、こういう対価的なものには、少しばかり違和感を感じる。

鐘を打つにあたり、ご寄付を...と書かれれば、別に抵抗はないのだけれど。

一応、50円払って、鐘を突いた。その大きさから、素晴らしい音が響き渡る。

鐘の音はいい。

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国宝の根本中堂。・・・の入り口で記念撮影する外国人集団。

単に観光か?というとそうではないようで、外国人の僧侶のような方もいて、延暦寺の僧侶が案内している。観光というよりお参りに来ている感じだ。

門の中に、とても古く、威厳を感じる根本中堂があるのだけれど、ここも写真撮影禁止。

門をくぐると、左右に廊下があって、まずはここを左に進み、正面へ。

靴を脱いで中に入る。薄暗い構内。

正面の暗闇に仏像(薬師如来)が1200年灯り続ける不滅の法灯に緩やかに照らされて揺らめく。

その暗闇の中は一段低くなっていて、そこに仏像などが安置されている。一番右側の足元下でお経をあげる僧の方がいる。

こういう神社仏閣を訪れるといつも思う。何もこれほどの有名で大きなお寺でなくても...なのだが、空気がしんと静まっている。表現が悪いか?なにか、重たく、でも心を落ち着かせるような空気が漂っている。

特定の宗教についてどうこうと思うところのない僕なのだけれど、こういう場所は好きだ。

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そびえ立つような急な階段をあがると、文殊楼だ。

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この中には、階段、というより梯子と言った方がいいような階段があって、2階へ上がることができる。

・・・といったような、極めて一般的なお参り(観光)をして、今度は京都側へ車で送ってもらう。

そのまま帰ろうか?と思ったのだけれど、googleマップで付近の地図を見ていると、清水寺の下(南西側)に広がるエリアに、鳥辺山管理墓地、という表示が見える。

鳥辺山、といえば、さだまさし「鳥辺野」。

まだ中学生のころにこの曲が入った「うつろひ」というアルバムが出た。

このアルバムには僕の大好きな「黄昏迄」も入っているのだけれど、この当時、どうにもよく分らない曲がいくつかあった。

一つがこの「鳥辺野」だ。いったい何のことを歌っているのか?さっぱりわからない。

♪寂しいからとそれだけで来るはずのない鳥辺野♪で歌いだすのだけれど、鳥辺野が何かわからないので、「来るはずのない」というのは、鳥辺野という鳥??(そんなわけはないが)が来ない、ということ??などと、中学生の田中君は考えていた。

印象的な曲なのに、どうにもよく分らない。

その当時はインターネットもないし、今のようにググってすぐ解決、とはいかなかった。

その後、京都の地名であることは(大人になってから)理解したのだけれど、その程度で、やはり何故こういう詩が書かれたのだろう?という疑問を残したままだった。

一つには、僕のさだ歴は、大学入学ころに少し弱まっているところにも起因する。

あえて探求しようという気持ちがなかったわけだ。

で、今回、鳥辺山の文字を見て、「鳥辺野」、そして「鳥辺山心中」という2曲を消化してみたい、という気になったわけだ。

それなら...ということで、17~18年ぶりに清水寺にも参ってみることにした。

僕と、もう一人、清水寺参拝で途中で車から降ろしてもらう。

まずは一般的な観光道?お土産物屋の並ぶ坂道を上がる。

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久しぶりの清水寺だ。

仁王門を抜けて少し歩くと、隋求堂。

ここは胎内めぐりができる。・・・ということを初めて知った。

一度やってみたかったので、同行のSさんと一緒にお金を払って説明を聞く。

靴をビニール袋に入れ、右手で持つ。

左手は、壁際に手すりのように渡してある大きな数珠を掴み、これを頼りに先へ進むわけだ。

真の闇。

日常生活から真の闇が失われた現代。不思議な感じがする。怖くはないが、自分の肉体が希薄に感じられる。

少し残念だったのは、エアコンのLEDの緑のランプが途中で見えたことか。ここは徹底してかくして欲しいものだ。

それでも闇の中を進むと、ふと丸い石、またそこに刻まれた梵字が浮かぶ。

その闇の中の明かりは、当然人工的なものなのだけれど、不思議な感じがする。石が、梵字が浮かび上がっているようだ。この石は回るようになっていて、これを回してから先に進む。

すぐに出口だ。

もう少し長い距離を歩いてみたかったが、それでも、なかなかよかった。

ふと、思い出す。そこがどこだったか、いつだったか?それは思い出せないのだけれど、僕たちが子供のころには、真の闇に近い闇が日常にまだ存在していたような気がする。

足を踏み出すのが怖い...接地感の薄まる闇。

闇があるから月明かりは美しいし、星も美しい。でもそれらは常に天にあるわけでもない。

いや、雲の上にはあるんだけどね。

やっぱり、何かを得ると、何かをなくすのかな。

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本堂と清水の舞台。

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理系的には、その足組が興味深い。

斜めに梁が入っていない。これは何故なんだろう?斜め梁を入れる方が有利だと思うのだけれど。

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三重塔。

そして音羽の滝。

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ここは行列だ。渋滞だ。

並んでいるにも関わらず、ひしゃくですくった水をペットボトルに入れて、しかも口からあふれるくらいまで必死に入れている人がいる。

そうまでしなくてもいいだろうに...人が少ないならまだしも...

こんなところに来ても、人は欲を忘れない。

さて、暑い。

そろそろ清水寺もいいか。

で、「Sさん。ちょっと帰りは通りたい道があるんですけど。墓場なんですが、どうされます?」

と一応聞く。

清水寺から鳥辺山管理墓地へは簡単に入り込むことができる。

が、ここに入り込む観光客はほぼいない。

まぁ墓場を観光地と考えるものもあまりいないだろうし...当然か。

正確には、西本願寺西大谷墓地、でいいのかな。

鳥辺山、といっても、清水寺から下る坂道のような感じで、少しだけ丘になっている。

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墓場で写真も不謹慎かとは思ったけれど、少しだけ。

調べたところ、この木のあたりが鳥辺山の頂上らしい。

しかし、それにしても墓だけ。

陸軍なんとか...というような大きな墓が目立つ。古い墓所だ。

しかし...

♪木立の間に間に埋もった枯葉♪も、

♪竹はゆら、竹はゆらゆら~♪ の竹も、

当然寒椿の木も見えない。

ん???

この鳥辺山周辺は古くからの埋葬地で、鳥葬、風葬が行われていた場所らしい。

清水寺のにぎやかさが嘘のように、ほんの少し離れただけのこの場所は静かで、もの悲しい。墓所なので当然といえば当然だけれど。

しばらく進むと、

御荼毘所(おだびどころ)という看板があった。

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説明を読むと、親鸞聖人の火葬地らしい。

少し興味を感じて、訪ねてみることにする。

まさに墓場の中を、案内表示に従って、グネグネと進む。

以前、墓場下といわれるポイントで釣りをするときに、「お邪魔します」と手を合わせていたのと同じように、お邪魔します、と手を合わせて墓場を通り過ぎる。

随分進んだような気がする。

突然に階段。

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そこだけ、木が伸びている。寂しげな場所。

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その奥に、親鸞聖人の火葬場所を示す石碑が立っていた。

おそらく、ここまで踏み込む観光客は多くはないだろう。ただ、観光、というような場所でもない。

そんな時間を過ごした。

京都駅にバスで移動し、昼食をとって、新幹線で広島に帰る。

それから、今更ながら鳥辺山について調べてみると(ネットで)...なんと、さださんの歌った鳥辺野は墓場ではなかった...

京都駅から奈良線で東福寺という駅で降りる。つまり今回僕が訪れた鳥辺山から南の方に広がる一帯が鳥辺野のようで、きちんと調べてブログに書いている方がいた。

ちゃんと調べてそこを訪れれば、さださんの歌の世界があったようだ...う~む...

まぁまた今度行ってみよう。思いのほかディープな体験もしたしね。

申し訳ないのは、ほとんど意味もなく墓場歩きに付き合わされたSさんだなぁ...

















2013年7月17日 (水)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その5 「憧れの不老不死温泉」

黒石市を抜けて、一気に西へ走る。

つがる市を抜け、いよいよ海岸線に出る。

鰺ヶ沢。すっかり忘れていたのだけれど、ここってもしかして...

あ、やっぱり...いた!

菊谷焼いか商店の看板犬。映画スター!

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元祖ブサイク犬、わさおくんだ。

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わさおと私...

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きくやさん、何も買わずにすみませんでした。

海岸線を西にさらに走る。

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千畳敷海岸。同じ名前の海岸って、全国に結構ありますよね...

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ライオン岩。これも全国にたくさんありますよね...

男鹿半島のゴジラ岩が一番インパクトあったな。そういえば。

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道の駅で魚を売っていて、ついつい魚売り場で足が止まる。

立派なメバル。うまそう...

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お昼は度重なる”食べ過ぎ”を反省し、今後に備えて、道の駅のお弁当で済ます。

ここで、焼き干しを購入。このあたりの出汁といえば焼き干しだ。

出汁に凝っているので、こういうのは見逃せない。

さらにこのあと、このたびでは昆布も買っていたりする。うむ、出汁は基本だし、料理はだから面白い。

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円覚寺という立派なお寺があったので、ちょっと見学。

ここは深浦。太宰治のゆかりの地のようだ。

時折海に触れながら、先を急ぐ。

そして、とうとう来た。

温泉好きなら一度は...と思うであろう、憧れの地...いや、湯。

黄金崎不老不死温泉。

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ちょっと見えにくいが、露天風呂は写真ほぼ中央の先端だ。

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こんな感じ。

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実は、写真撮影禁止、と書いてあることに気づいたのだけれど、ちょうど誰もいない(幸福な)時間帯があったので、ちょっとセルフタイマーで撮影してみる(すみません...)。

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誰しも、ここで夕日を眺めながら時を過ごすことに憧れるのだけれど、そう簡単にはことは運ばない。

旅行晴れ男の僕といえど、そこまではさすがに叶わなかった。

ただ、雲の切れたとき、傾いた太陽の日差しが海を金色に染めて、黄金、というより黄土色のお湯もやはりきらきらと金色に輝く。

少し荒れた海。波濤。音、飛沫。

時間を忘れる時間。

こういう時間を求めてるのかもな。

あの、支笏湖もそうだった。ただ、お湯に浸かり、時間がゆっくりと流れ、空が闇に染まる。

闇に染まった空には星が輝く。あの支笏湖の一人きりの温泉。

さて、どんどん、天候が荒れてきて、質素な脱衣スペースに置かれたゆかたやタオルが時折飛ばされている。

さすがに落ち着かなくなってきたし、もう太陽も水平線の向こうに落ちているはず(雲で見えない)だ。

そろそろ上がろうか。

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エビは食べれないので、まぁともかくとして、料理は(写真写り悪いが)、それなりにきっちりとしたもので、なかなか美味しい。

普段よく行っている小規模な宿と違って、この不老不死温泉は結構大きな宿だから、過度な期待は禁物だけれど、十分満足できるものだった。

施設も古びてきてはいるけれど、カメムシもいないし、清潔に保ってある。

総じて好印象。

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窓からの景色も素晴らしいしね。

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あ~、楽しかった。

2013年7月16日 (火)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その4 「奥入瀬とランプの宿」

山を越えて下り...つまり十和田湖川にはいると、途端に雪がなくなってきた。

奥入瀬渓流に入る。

とりあえず、圧倒的な雪と、もし路面に積雪していたらどうしよう...という恐怖感を乗り越えた疲れもあり、昼食を取ることにする。

ちょっと雰囲気変えて、星野リゾートの奥入瀬渓流ホテルに車を寄せる。

ラウンジでランチだ。

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なかなか...絶景。もっとも新緑も紅葉もない葉を落とした閑散とした風景ではあるが、それはそれ。葉を茂らせるだけが木ではなく、美しさにもいろいろある。

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こんなカレーライスをいただいた。結構うまい。さすが星野リゾート。

要所要所で車を停めながら、奥入瀬渓流を巡る。

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水を見れば魚を想う。

釣り師とはそういうもので、渓相を見つめ、ここならどこがポイントか?

竿を握る自分を夢想する。もう少しいいシーズンに、ここでフライを振ってみたいな...とか、あの流れ、あの澱みだな、とか...

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丸太橋を見れば、渡りたくなる...うむ、少年だ...

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変化にとんだ渓の風景に、心惹かれる。

雪解けの豊かな流れ。

さて、言葉のいらない風景を眺めて、十和田湖に着く。

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で、ふと...そういえば、今夜の宿に確認の電話していなかったな~と思い出す。

ちょっと不安もよぎって、電話してみると...

「え?ちょっとお待ちください...」

この、宿での電話で、「え?」というのは止めてほしい。こっちが「え?」と不安になるから。

大概の場合は、「あ、田中様、お待ち申しております。」などと続くのだけれど、

よぎった不安は現実に...「いえ、田中様のご予約は...え~っと田中〇〇さまですよね?」

・・・沈黙・・・

予約をした僕は立つ瀬なし...

あれ????

Jの視線が心なしか冷たいような...

今回の旅行。何せ、5泊だ。しかも予約はそれなりに余裕をもってやっている。

しかもしかも、僕は出張やらなんやらで宿の予約はたくさんしていて、宿の予約、ということに、まったく緊張感がなくなっていて、言い換えると注意力を失っている。旅行ボケかもしれない。

いろいろ考えるに、今回の旅程では、この近辺に2か所宿を抑えていて、どうにも、日にちと取った宿の関連性が頭の中でごちゃごちゃになっていたようだ。

もう一か所の宿に電話すると、そっちでとれてた...あ~焦った...

が、しかし!どうにも、十和田湖からその宿の方向に向かうルートが通行止めになっている様子。

う~む...

仕方なく、来た道を途中まで引き返し、山越えで宿を目指す。

あの雪を見ているから、さらに山、という雰囲気のところに入りたくはないのだが。

で...

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あまりの雪に、なんとなくいい加減にしろ!と、雪を殴る、の図。

しかも、花粉症気味でマスクをして、サングラスかけてるから、なんだかあやしい...

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十和田湖遠景。

そして、いよいよ温泉連泊一泊目(前日のビジネスホテルの温泉はノーカウント)。

ランプの宿 青荷温泉だ。

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・・・が...

正直、玄関を入ってちょっと「う~む」と思い、当てられた離れの建物、部屋をみて、さらに「う~む」と悩む。

あちこち、カメムシだらけ。季節がら仕方ないが、いろいろ隙間だらけなので、入ってきてもまったく不思議がない。

カメムシ。つまり臭い。踏んづけたりしたら最悪だ。

温泉旅館好き、温泉好きなのだが、鄙びた風情も好きなのだが、今回の旅で、案外僕はワイルドではないな、と実感した。

あまりに粗末すぎて落ち着かない。

写真にとると、雰囲気は悪くないのだが...

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しかし、さぶい...ゆかたで移動するような気温ではないが、お風呂に行くにも外に出ないといけない。

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夕食は、まぁなんというか...ボリューム感とか、高級感とか、そういうものは求めてないのだけれど、冷えた天ぷらとか、ちょっとなぁ、という感じ。

宿の店主の面白いトーク。また真っ暗でランプを頼りにした食事も、趣向としては...いや、僕なんかより旅慣れた人には面白いのかも知れないけれど、とにかく落ち着かない。

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この宿には、電気がない。

いや、正確にはところどころに自家発電の電気は来ているのだけれど、客向けには一切電気の供給がない。

つまり、ドライヤーなどもあるわけがない。

ちなみに、僕は髪の毛に結構癖があるので、ドライヤーは欲しい派なのだ。

この宿の教訓として、帰ってから旅行用のドライヤーをAmazonで買ってしまった。


はたして、この宿にリピートしたい、と思うような日が来るのか???

確かに一定のリピーターはおられるようなので、もっと歳とったら?う~む...

今回はとりあえずいい経験をした、というくらいしか考えられないな。

ちなみに、温泉自体はそう悪くはなかったのだが、シャンプーすら置いていなくて、これにはちょっと「おいおい...」という感じだった。

やっぱり、もう来ないだろうな。ここには。

好みの問題だが、ここは僕の好みではない。

そして、僕たちは海を目指す...


2013年7月11日 (木)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その3 「雪」

4月29日。

広島だと、春といっても、もう初夏を待とうか?という時期だろうか。

花粉症のピークも過ぎるころだ。

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それが、これだ。雪原だ。

この雪の上に上がるには、1m以上の雪の壁の上に登らなければいけない。

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どこに向かっているか?

とりあえずは八甲田の中腹を抜け、どう考えても新緑など出ているはずはないな、と今更思いつつ奥入瀬を目指している。

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ん??雪の壁...

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有名な酸ケ湯温泉。今回ここには泊まらない。立ち寄り湯でも...と思ったが、あまりに有名どころなので、車を停めるところがないほど混雑している。

こういうのは萎えるので、無視して先へ。

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わー...

こういう風景、テレビの中だけじゃなかったんだな...





湯のある風景~青森、春遠からじ~ その2

桜はどこぞ...という弘前城。

プラプラと歩いていると、桜まつりの期間中だろうか。屋台が並んでいる。

こういうのは、やっぱりいいね。子供のころを思い出すからか、こころがふわふわする。

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こんな飴細工は、子供のころの縁日の屋台は、土曜夜店にはなかったよな~

僕の郷の尾道では、今はどうか知らないけれど、子供のころ、東西に長いアーケードの商店街の端から端まで、夜店が並んでいた。夏、毎週土曜。

土曜夜店。

嬉しかったな。

弘前城からホテルへの帰り道、寄り道しながら歩く。

弘前にはこだわりのコーヒー店も多いようで、一つに入ってみる。

カウンターに座り、モカのストレートを頼む。

マスターがコーヒーを入れる姿が...実にかっこいい。

家では手挽きミル+ペーパードリップでコーヒーを淹れているのだけれど、今一つ、納得のいくレベルで淹れることができていないのだけれど、これは実に参考になる。

思わず、こっそりiphoneで動画を撮ってしまった。なるほど、こんな感じか。

コーヒーは雰囲気も飲めるものだから、淹れる、という作業にもかっこつけたいものだね。

一度ホテルに帰って、初日はちょっといいレストラン、ということで、ジャケット羽織ってホテルを出る。

しかしこれが寒い。何せジャケットは夏物だから...

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オステリア エノテカ ダ サスイーノ。

食べログで4点以上を付けるイタリアンのお店だ。

弘前はフレンチやイタリアンの店がしのぎを削っている、食道楽にはなかなか魅力的な街のようで、このお店はJが見つけて、あらかじめ予約してあったものだ。

料理の写真を撮るには、フラッシュをたかないと難しかったのでやめた。

なので、時間が経ってしまって覚えていないのだけれど、でも、美味かった。

何の参考にもならんなぁ。

間違いなくよい店なので、興味のある人は、まぁ食べログ見ればいいかもね。ただし、安くはない。二人で22,210円。僕がほとんど飲まないのに、ね。

イタリアンを堪能して、ホテルに戻る。

ドーミーイン弘前にも一応温泉があるので、まぁ明日以降の本格的な温泉に比べたら普通のお風呂なんだけど、足が延ばせるのは気持ちいい。

お湯につかって身体を温め、翌日からのロードに備えるのであった...