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2014年6月

2014年6月 8日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その4 世界遺産アルベロベッロ トゥルッリ~

サッシの夜が明けた。

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ホテルのフロントの横にある朝食スペースに向かう。

ここで...我々には解決しないといけない問題が一つあった。それは...そう、バッファローモッツアレラ。食べなくてはいけない。今はまだホテルの冷蔵庫に入れている。

食べるとなると、やはりパンや...できればトマトなど欲しいところ。

こっそり?と、朝食場所へ持っていく。

朝食は日本風にいえばバイキング...つまりビュッフェだ。これはホテルはどこもそうみたい。日本の旅館の朝食のような個別提供はあまり海外ではないのかな?

パン類、ピザなどが並んでいる。あとはシロップ漬けのイチゴ。どうにも野菜がない。昨夜のリストランテでも野菜がほとんどなかった。せめてトマトくらいあればいいのに...

カプチーノを頼んで、パンとイチゴをもって席に戻る。ピザもとったが、冷えていて美味しくない。

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空の皿を持ってきて、モッツアレラを切れないナイフでとりあえず真っ二つに。

しかし、デカい。

Img_3644_r2さらに取り分けて、食べる。すごくあっさりしていて、かなりしっか噛みごたえがある。チーズだ、と言われなければ、チーズという感じがしない。あまり普段チーズを食べないからかも知れないが、まったくしつこさのないこの味は好感持てるのだが...なにぶん量が多すぎる。

二人で頑張って半分食べたが、もういいや、という感じ。せめてトマトがあればなぁ。

朝のサッシを散歩する。

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P5010180_rカタツムリの多い国で、カタツムリモチーフの置き物なども見かける。そういえば、最近あまり日本ではカタツムリを見なくなったな。

P5010181_rちょっとしたところに、こんな壁画や像がある。

P5010182_rしゃれた門塀の上で鳩が見下ろす。

P5010203_rお土産物屋にあったサッシ全景のミニチュア。人もいる。これは圧巻。素晴らしかった。ここで自分用の記念のお土産にサッシの石灰岩で作った置き物を買った。

さて、出かけよう。また車だ。

今日はサッシからアルベロベッロへの日帰り旅行を計画している。

アルベロベッロにはトゥルッリという石組みの家の群集地域があり、ここも世界遺産に登録されている。世界遺産に泊まり、世界遺産を見に行く。

Img_3656_rイタリアの原野を東へ走る。アルベロベッロまではサッシから約70㎞の道のりだ。Googleマップの出番だ。

ドキドキしながらサッシを出て、マテーラからアドリア海方面へひた走る。

紅の豚のシーンを思い出す。低く飛んでアドリア海へ抜けろ...とか、そんなセリフがなかっただろうか?風にたなびく草が茂る原野。岩が見え隠れする。こんな平原の上をポルコロッソは飛んでなかったか?イタリアだなぁ。

道は、ところどころ不安になるような、畑の中の少し細い道を抜けたり、自動車専用道路のようなところを走ったり、道路工事をしているところでは、びっくりするような細いところを抜けさせられたりしながらも、市中を走ることに比べれば、路上駐車はないし、車も少ないので、比較的楽に走れている。不安だったロータリー交差点もGoogleマップが「ロータリー2番目の出口です」などと案内してくれるので、問題ない。

ところどころ、トルッロ(トゥルッリは複数形とのこと)が道の脇の畑の中や、塀の中に見え始めた。間もなくアルベロベッロだ。

Googleマップの案内通りに走っていると、まさにトゥルッリの中に誘導された。駐車スペースはいくらかあるが、すでに埋まっている。道も細い。ウロウロしているだけで疲れてしまう。周りのトゥルッリの景観もまったく集中できない。

本当にイタリアの街中は走りにくい。古い街だから、自動車が前提になっていないんだろうな。

一旦トゥルッリを抜けて、来た道を少し戻り、大きなバスの駐車場の脇に車を停める。明らかに駐車違反だが...まぁ大丈夫かな?と考える。少し迷いつつ、一旦はトゥルッリに向けて歩き始めたのだけれど、やっぱり不安。

すると、大きな駐車場が目に入った。不安は解消しよう。

車をとりに戻り、有料駐車場に入れる。未舗装の空き地のようなところ。一応誘導員が何人かいるのだけれど、まったくもってお...日本のシルバー人材の方々の誘導の方が相当に優れている。要領が悪い。ほんと、不思議な国民性だ。

なんとか車を停めて、トゥルッリに向かう。

P5010209_r雨だ。晴れ男と言われる僕なのだけれど、今回の旅は全体的に天気が優れなかった。

が、

P5010239_rほら、ちゃんと晴れた。

やはり、真っ白なトゥルッリの壁は青空に映える。

トゥルッリは石組みの家で、そのとんがり帽子の屋根が特徴的だ。

P5010210_r家の中から天井を見上げるとこんな感じ。石を組み上げて作られている。

この屋根は、地主の税金対策だったそうだ。視察があれば、屋根を壊して、ここは家ではない、と主張して、それが終わればまた石を組み上げて屋根を作る。非常にご苦労な話だ。小作人はここでも苦労していたんだな。サッシも、トゥルッリも、世界遺産として今は観光客があふれているけれど、決して幸福な時代を生きた街ではない。少し複雑な気分にもなる。

このトゥルッリは、実際に今も生活している人がいる。

その一人に日本人がいる。陽子の店、と、入り口に書かれたお土産物屋がそれだ。

Jに「楊枝の店があるぞ」と言ったら、「陽子でしょ。」と笑われた。確かに陽子の店だった。イタリアに楊枝の店があったら、それはそれで面白かったのだけれど。

締まっているのかな?玄関を覗いていると、扉が開いて、陽子さんが出てきた。ここは屋上があって展望がいいから、是非見ていって!とのこと。

このお店で、陽子さんの上手な口に乗ってたくさんお土産を買いこんだが(日本のバラマキお土産用)、確かにここの屋上はほかに人もおらず、落ち着いてトゥルッリの風景を見ることができた。

日本の観光客にはおすすめの場所だ。トゥルッリの内部構造(井戸もある)も見せてもらえるし、説明もしてもらえる。

陽子さんは観光でここを訪れ、イタリア人の旦那さんに求婚されて、ご結婚。それ以来こちらにお住まいとか。こんなところに日本人、というTV番組があるけれど、本当にいろんな人生があるなぁ。

ここに住み始めた後、ここが世界遺産に登録されたそうだ。登録された後だと改築もできなかった、ということで、よかった...とのこと。

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P5010304_r陽子の店を出て、ぶらぶらとお店など覗きながら散歩する。

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Jは布好きだ...テーブルクロスやランチョンマットなど、店を覗いて物色している。

このあたりでは、女性が家で麻の織物を作っているようだ。伝統工芸といったら一番近いかもしれない。確かに、雰囲気のある織物があちこちで販売されている。まさにお婆さんがそこで作っていたりする。

Jはテーブルクロス、ランチョンマットを購入して、いい気分になっている。英語ができるお店の方と話をしながら品を選ぶ。それは楽しいだろうな。

僕は、今度はトゥルッリのミニチュア(石でできている)を購入。この店はNHKの取材が来たんだそうだ。

遅めの昼食を...と思うが、良さそうな店は人であふれている。

パニーノ(ホットサンドウィッチのようなもの)でも簡単に食べようか、というJに頷いて、そういう店に入った。

野菜が少し食べたい。が、野菜が使われているメニューはすべて作れない、とのこと。本当に野菜のない地域だ。土地がやせているのだろう。

もさもさとしたパニーノをスプライトで流し込んで店を出る。相当歩き疲れていたので、ゆっくりと奥まった席に座れたのが救いだった。

まさに観光地を観光したような一日だったな。

さぁ、今夜までの我が家、ホテルサッシへ帰ろう。

to be continue...

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2014年6月 4日 (水)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その3 石の街 サッシ 事件~

Google Mapを頼りに、ここ、というところを山手に曲がっていく。

なんとなく、ここを登っていけば、そのまま世界遺産 サッシ(sassi)に入っていくのだろう。なぜなら世界遺産なのだから。それはもうダーん!という感じのはずだ。

・・・こういう感覚は日本だけなのか?ほら、世界遺産に登録されたら、周辺が世界遺産フィーバーに湧きまくるじゃない?石見銀山とかもそうだし。アクセスもいろいろ考えられたりするよね。日本だと。

いやはや、坂を登りきったあたりから、普通に街。というか普通の街。

普通といってもイタリアの街なので、狭い道路に路上駐車がずら~っと。

ちなみに、イタリアでは日本のパーキングチケット的な駐車可能エリアがあるのだけれど、それが必ずしも広い道ではなかったりするし、そういうエリアでなくても路上駐車がびっしり、というのがかなり一般的なようだ。

ここまで、すでに250~260kmほど走っており、朝の事故、行く方は楽とはいいながらも、時差による睡眠不足、何より緊張しっぱなしの運転での疲労もピークに達してきている訳だけれど、その状態でこれは...というような道だ。

もっとも、これがこのあたりでは普通なのではあるけれど、まともに街の中を走るのがここにきて初めてだったため、その緊張感は計り知れない。Jだって、朝のことがあるから、右に寄ってしまうことについて、やはり神経を使っているようだ。

Googleマップの指示に従いつつ、道を間違え、やり直し、狭い交差点を90度以下の角度で曲がり下り坂に入る...と...

P5010119_r突然現れたのは、斜面を覆う古びた石とも岩ともつかぬ...けれどそれは確かに家がひしめき合っている。

確かに、イタリアは古い街がそのまま残っているので、石造り、レンガ造りの家が多いのだけれど、ここは少し様相が違う。

その風景に見惚れて、思わず道路を右寄りに走って...前から車が来て驚く。いかんいかん。

石畳の道路を下っていく。サッシは谷の左右の斜面に街が広がっていて、一番谷の底には道路がある。ここまで到着した。

さて、ホテルはどこ?Googleマップはホテルらしきところを指しているが、右も左も同じような風景で、ホテルがどこか、さっぱりわからない。

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とりあえず、ホテルらしきところが見えるまで、緩やかな登りの道を進んでみる。

つまりは、上の真ん中の写真の真ん中の道だ。

すると、だ。どんどん道が細くなる。いや、確かに上から車は降りてきているから、上に何かがあるはず。道が抜けているのか?駐車場でもあるのか?

しかし、路上駐車の車をよけて進むと、切り返したくなるような細い道だ。

くどいが、進むほど道が細くなる。

僕は釣り師で、かつ地磯師なので、ときどきこういう経験をする。

あのあたりの磯に出たい。そうするとこの道を進めば良さそうだ、と進んでいくと、だんだん道が細くなって、揚句行き止まりになり、長い距離、バックで戻らないといけない羽目になったりするわけだ。長距離をバックするのは、結構しんどい。別にバックするのが苦手という訳ではないけれど、あまり長い距離を進んでいると、首は痛くなるし、気分が悪くなってくる。

さて、このフォード。左ハンドルという事実は僕に車の運転の自由度をかなり奪っていて、しかも無駄にでっぷりとしている。

これ以上進んで、あとでこの両脇を石の壁に挟まれた道をバックして...しかも道は微妙に曲がっているし...引き返すのは、想像するだけで気分が悪くなる。

戻ろう。まずは車を停めて、ホテルが本当にこの上にあるのか?確認してみよう。

しかし、細い道をそこそこ進んでいる。バックするしかない。う~む...

ちょっと想像してみてほしい。両脇は石の壁(家)だ。道は緩やかに円弧を描いている。しかも路上駐車がある。怪訝な顔でこちらを見ている人がいる。

左ハンドルの車でバックするのが、これほど感覚が違うとは思わなかった。

どうにも思うように車が操れず、壁に寄ってしまう。こりゃいかん、と、ちょっと前に出て、少しハンドルを切って、慎重に下がる。

こんなにドキドキしながら運転しているのに、左に路上駐車があるところで、右にトラックをとめて作業しているバカ...あ、失礼。この時点での僕の価値観です...がいる。もう涙目になりそうだ。

どうにも車幅的に抜けられない。どうしてもドアミラーどうしが当たってしまいそう。仕方なく、窓をあけてドアミラーを倒し(電動格納ミラーじゃなかった)、右側のドアミラーがトラックに当たらないよう注意しながら、ギリギリ抜ける。ボディを当てないように、車全体をそこから抜く。

Jは感心していた。褒めてくれた。それはいいが...疲れた。

一台だけ車を停めれるスペースを発見したので、最後の力を振り絞って、そこにバックで車を入れる。やれやれ。

しかし、ここに車を停めていいのかどうかが分からない。

二人して車を離れるのも心配なので、Jにホテルを探してきてもらうことにした。車を停める場所も聞いてきてもらう。

Jは、先ほど立ち往生しかかった道を登っていく。雨に濡れた石畳の道は滑りやすいので気を付けて...

その間、周辺を散策する。

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なんとも雰囲気のある街だ。

ちなみにこのサッシは、決して明るい歴史を抱えている街ではない。

サッシとは、石とか岩を表す言葉らしい。イスラム勢力に追われた修道僧がもう8世紀には隠れ住んでいたとか。その後、小作農家が住んでいたが、人口増加により衛生状態が悪くなり、たくさんの死者を出し、結果、この街は捨てられ、廃墟となった。

写真では、きちんとした石造りの家に見えるが、これは前面側だけで、家の中に入れば、そこは石灰岩の浸食によりできた洞窟だ。洞窟であるため、暑さ寒さには強いのだろうけれど、採光性が悪い。もともと住居として設定されている家は光が中まで届くようだが、人口増はこれ以外の洞窟にも人を住まわせ、それが衛生状態の悪化につながったとのこと。

廃墟となったこの街が、文化的資産価値を認められ、世界遺産に登録された。かつての廃墟は一大観光地となったわけだ。(一部Wikipediaで後日調べ)

今日泊まろうとしているホテルサッシは、まさにその洞窟住居に泊まることができる、この世界遺産の中にある唯一のホテルらしい。

それにしても帰ってこない。

30分以上は待っていたと思う。

ようやく、あれ?と思う方向からJが現れた。

なんでも、思った方向にホテルはなくて、あちこちで訪ねて、随分探し回って、ようやくホテルを見つけたそうだ。ホテルはあの道の上ではなくて、今車を停めているところから少し下ったあたりから、この道に直角に上がっている石の階段の上にあるらしい。

P5010091_r2つまり、この階段の上だ。

ホテル、っていうからには、車寄せくらいあるのかと思ったら、イタリアはだいたいそういう常識は通用しないようだ。そもそも平地がないから、なのか?

スーツケース。でっかいの2つ。この階段を持ってあがれということのようで...

車を停めているところは、居住者?用か何からしく、ここは停めてはダメとのこと。路上駐車スペースを見つけて停めるか、少し下った街の外れに空き地的な駐車できる場所があるから、そこに停めろ、とのこと。

サービス悪いなぁ...

ともかく、石畳なので、普通の道の上もスーツケースはごろごろとスムーズには動かない。一旦、階段の下あたりに無理やり車を停めて(ちょっとだけなので許してね)、スーツケースを2つ。ほら、俺は男だからね。それを抱えてえっちらおっちらと階段を登る。休憩。登る。

すると、唐突に道のわきの扉を指して、Jが、ここ、という。

周辺の住居やらなにやらわからないが、そういうのとまったく違わず、小道の脇にある普通の扉だ。

ホテルというと、ロビーがあって、そこを通って部屋に行く、というようなイメージを持ってしまうが、ここはこういう昔の洞窟住居をホテルの部屋として改装して、そのまま提供しているようだ。

いかめしい鍵で、いかめしい扉を開けて中に入ってみる。

P5010094_rこんな部屋だ。

壁はそのほとんどが石灰岩の地肌だ。感動。すごいな、これは。

ひとしきり部屋の中を見て、触って回って、とりあえず車をちゃんと駐車しに戻る。

大した距離ではなかった。少し下ったところに舗装もされていない少し広いスペースがあり、車が何台か停められている。

車を停める。

正面眼下には、深い谷が刻まれていて、その底辺に川の流れがある。谷の反対側の頂付近には、山賊でも住んでいそうな、もっと荒々しい洞窟住居が見える。あそこは廃墟なのだろう。

P5010069_r来た道を戻り、部屋に着く。

チェックインの際、パスポートをフロントに預けないといけなかったらしく、僕のパスポートがまだ出せていないので、パスポートをもってJと二人でフロントに向かう。といっても、外の細い道をさらに少し登り、ようやく、ホテルサッシの看板と出会う。

P5010115_rこの門を抜けて、階段を降りると、そこがフロントだ。

P5010118_r雰囲気、いいね。

P5010126_rパスポートを預ける、というのだけれど、普通コピーとったりするだけじゃないのかなぁ、と思ったりする。

預けてしまうと、滞在中はパスポートを持っていない状態になるわけだから、外国人観光客としては不安だ。しかもいい加減な...らしい...イタリア人だし。

ともかく、パスポートを渡し、Jは周辺のおすすめのレストランの場所を聞いている。

フロントのお姉さんはベジタリアンらしいが、一応、ここと、ここと...と進めてくれるお店のうち一つに決めて、フロントから予約を入れてもらう。

部屋に戻る。

ふぅ、疲れた。

インパクトがあって面白い部屋だが、やはり暗いし、通気性が悪く、少し埃っぽく、湿っぽい気がする。

そんなに高いホテルではないのでやむを得ない。

きちんとしたホテルに泊まりたい場合には、あまりお勧めしない。サッシの上のあたりには、三ツ星、四つ星のりっぱなホテルがあるので、そちらの方がいいかも。ただ洞窟住居はこのホテルサッシでしか体験できない。

利便性がよい、とはいえないけれど、なかなかいい経験ができたと思っている。

それにしても、イタリア...だけじゃないな...海外のコンセントって、どうしてこうもいい加減なのだろう?日本では、どんな古いホテルや旅館でも、コンセントにプラグを差せば電気は来る。今回の場合、Wi-Fiとiphoneの充電は最優先事項だ。

3か所ほどコンセントがあるのだけれど、普通に差しても電気が来ない。

しかも、差し込みがゆるゆるで、差しても抜けてくる。イタリアのプラグ形状は2本ピン。日本のような平たい向かい合う2枚の板ではなくて、丸い2本のピンが日本のプラグの板の幅より広い幅で立っている感じだ(伝わるかな?)

プラグ変換コネクタを使って差すのだけれど、どうにも落ち着かない。なんとかだましだまし、プラグの下に台を置いて抜けないようにしながら、2か所では充電が開始できた。

さて、食事に行こう。

ホテルとは谷の反対側の斜面にあるらしい。OSTERIA PICOという店だ。

少し周辺を散歩しながら、レストランに向かう。

Jがホテルを探しながらさまよった道を歩く。結構遠くまで..一番上まで歩いたんだなぁ。上に行くと、お土産物屋などが並んでいて、普通の小さな観光地のような雰囲気だ。大聖堂もある。広場がある。

雨の後なので、石畳が少し滑る。気を付けて...

レストラン方向に下る。その事件が近づいてくる。

なだらかな下り坂を進む。レストランの方向にいくには、その道から谷の下に向かう細い階段を降りていくと近そうだ。その階段を降りると途中、石をくりぬいたようなアーチ、いやトンネルを抜ける感じだ。

雨の後なので...

さて、少し調子に乗った僕は(だいたい調子に乗るとろくなことがない)、この階段とトンネルを歩いて降りる様子をiphoneの動画で撮影しようと、左手にミラーレス一眼カメラを、右手にiphoneを持って撮影しながら降りていた。

そう、勘のいい方はもうお分かりですね。

このiphoneの動画は、永久保存版になります。ここでお見せできないのが残念。滅茶苦茶臨場感あふれる映像となっています。

階段をおり、踊場にあるレストランの前を通って、再び階段。トンネルになっているので薄暗い。足元は濡れている。

急に映像が躍り、暗転する。暗い天井が映っている。「きゃ!」というJの声が入っている。レストランから飛び出てきたおじさんの声も。大丈夫、と見栄を張る僕の声も。

つまり、すべって尻餅をついた。

お尻を強打。左手、つまりカメラを持っていた手は肘を強打。そして小指から血が滴っている。ここも打撲だ。動かしてみる。動く。ただしびれて感覚がない。

カメラは?背面の液晶画面がグシャっとなっている...が、よく見ると、これは表面の保護フィルムがグシャっとなっているだけで、液晶自体、またカメラ本体にも奇跡的に傷がついていない。つまり、小指でカメラをガードしたんだな。

このあとカメラが使えないとなると、かなりもったいない。折角のイタリアだ。

ちょっとほっとして、電源を入れてみる。電源は入るが画面は真っ暗。げ...壊れた??

ともかく、お尻は痛いし、肘も痛い。

これを書いているのは6月4日。この事件は4月30日だから、すでに1ヶ月以上経っているのだけれど、実はまだ左肘をテーブルについたりすると、イテッっというくらい痛い。かなり収まっては来たけれど、相当ひどい打撲だったようだ。

レストランに、できるだけ何食わぬ顔で入り、トイレで負傷した左の小指を洗う。

血は止まってきた。こちらは大したことはなさそうだ。

しかし、病院に行かないといけないようなことにならなくて、本当によかった。

ここでの食事は...正直あまり覚えていない。ショートパスタを食べたと思う。そのほかいろいろ食べたはず。iphoneにはここの食事の写真もあって、何か説明を聞いたし、何か美味しかったものもあったような気がするけれど...

それにしても、振り返ってみると、なんともドン臭く、また、なんとも奇跡的(に大きな問題にまでは発展しなかった)な、そしてなんとも事件だらけの一日だったのだろう。

狭すぎる、窮屈すぎるバススペースで、あちこち身体をぶつけながらシャワーを浴びる。

そうして、サッシの遅い夜は更けていく。事件は事件を呼ぶ。これだけいろいろあって、それでも悲観的な気分にならず、また大事に至らなかったのは、陽気な雰囲気を崩さなかったJのお蔭かも知れないね。

明日は平和でありますように...

to be continue...

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