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2015年6月

2015年6月23日 (火)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その12 カプリ島 歩く~

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カプリ島の長い防波堤の内側に船が着けられた。ポジターノからカプリ島までは25分ほどの、あっという間のクルーズだ。

こういう防波堤を歩くと、自然に海をのぞき込んでしまう。偏光グラスをかけて、魚影を探す。人が多すぎるのが難点だが、紀州釣りにはよさそうな防波堤。もちろん、船も沢山、観光客も沢山で、誰も港内向きに釣りなどしていない。港外向きもしていないが。

防波堤を人込みに紛れながら陸へ向かう。

P5051241__r港のすぐ横にあるビーチ。なかなか綺麗。考えてみると、砂浜らしい砂浜はここしか見なかったな...

P5051247__rカプリ島の全景だ。

カプリ島といえば青の洞窟なのだけれど...

今日は天気もよくて、やっぱり日頃の行いの良さだよなぁ、などと思いつつ、さて青の洞窟のツアーは...沢山、小型船が青の洞窟を宣伝しつつ係船してあるのだけれど...なんだか、今日は潮が高くて洞窟に入れないとか...なるほど、天気が良くてもダメなんだ。

なんとも、タイミングの難しい観光だなぁ。

が、まぁそんなことは実はどうでもいい。あまり固執していないので、さほど残念でもない。

ポジターノの港でも青の洞窟ツアーの看板と船、カプリに来てもそればかり。メジャーを嫌う、混雑を嫌う、というJと僕の共通のひねた価値観があって、どうでもいいや、と二人とも思っていたわけだ。

さて、では、カプリ島を楽しめるように楽しもう。旅は無理なく楽しめるように楽しむのが一番...無理なく...無理なく...なんだけどね...このあと、この旅で最大の無理(それはレンタカーかもしれないが)に晒されるなどとは、このときはまだ思ってもみなかった。

P5051248__rチケットを買って、こんな入り口を入る。

P5051542_rこんな感じのチケットで、こんな感じのゲートを通過して、

P5051254__rこんなケーブルカーに乗って、

P5051259__rこんな景色が目に入り、

P5051270__rこんなところに出る。

ここがカプリの街。カプリ島には、カプリとアナカプリという二つの街があり、カプリからアナカプリにはバスが出ている...らしいが、行ってないのでよく分らない。

しかし、極めて日本人的に考えると、こういった島、あるいは沿岸部の街は、だいたい海岸線に沿って開けているような気がするのだけれど、カプリもアナカプリも山之上。平地がないから、なのだろうけれど、少し不思議な気もする。

P5051271__rここでもワンコのお出迎えを受けつつ、少し散策。

P5051274__rカニ。

P5051275__rエビ。

P5051276__r魚。

P5051277__rタコ。

ウィンドウショッピング、という訳でもないが、いちいちアートで面白い。カプリはこういうところなんだな。

揚句、

P5051534_r魚にプチトマトを咥えさせていたり...面白い人たちだ。

何か食べたいなぁ、などと言いながら、相変わらず優柔不断気味な僕はお店を決められず(だって、ピンとこないんだもんなぁ)、ともかく、アウグスト庭園に出てみる。

かなり乱暴なことを言うと、カプリの港、マリナ グランデの位置が四国でいうと新居浜あたりで、アウグスト庭園は高知市くらいにある。

カプリ島は四国に形状が似ている。ただし、四国より愛媛が大きくて、徳島と香川が小さい。例えたら逆に訳が分からなくなるけれど、あとあと便利なので例えておこう。

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P5051307__rふと目に入ったリストランテ。雰囲気が良さそう。

なにより、テラス席から、カプリの象徴ともいえるファラリヨ-ニ(海に突き出た岩山)が見える。

P5051314__rここは、Ristorante il Geranio。

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P5051321__rこれ、小さなイカのフリット(揚げ物)なのだけれど...ちょうど日本のホタルイカのようなサイズで、これが滅茶苦茶美味い。

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いくつかいただいて、まぁ美味しいのではある。景色もいい。

しかし、騒音が...

どうして、食事中、大騒ぎして動き回って...こんなに落ち着きがないのだろう。隣国のアジア人は。周りへの気配りというのは、日本人はそれはそれで気の使い過ぎの面もあるけれど。

なんとなく気分も悪いので、店を出る。

公園を散策。

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P5051359_rマリーナピッコラに降りる九十九折の道。クルップ通り。降りてみたい気もするが、降りたら上がらないといけない。やめておく。

・・・考えてみたら、ここを降りておくくらいにすればよかったんだよな...

さて、このあとどうしよう?と考えた。

四国で言うところの室戸岬方面に、どうにも遊歩道がありそうだ。海岸線というか断崖絶壁の上を歩く感じ。距離的にいって、室戸岬を回り込んで、経常的には阿南市。位置的にはもっと南かなぁ、というところに、天然のアーチ、という景勝地があるらしい。

とりあえず、トラガナ展望台というところに行くが、ここが通常の観光客のビュースポットである、ということも知らずに、ずんずんと先へ進む。

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P5051418_rたしかに景色は素晴らしい。トレッキングモードで歩いている人もそれなりにいるが、それほど多いわけではない。

当初は、別荘かな?という建物がおしゃれに並ぶ小路を歩いている感じだったのだが、どんどん道がハードになってくる。起伏も激しい。

P5051419_r分かるだろうか?カモメではないよ。これはアルバトロス、アホウドリだ。初めて見た。

P5051421_rこんな道を延々と歩く。Jはだんだん無口になる。僕はこういう状況は結構燃えてくる。

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P5051442_rそして、Jにとってはとどめ。こんな登り階段が延々と続く。

P5051446_rこんな洞窟が途中にある。

P5051468_r洞窟を抜けても階段は続く。

P5051477_r入口にようやく到着。

ここにリストランテっぽいものがあるのだけれど、さほどおいしそうな雰囲気ではない。

ここからは、今度は海へと下る坂道が実は続いている。

Jは、ここを降りたらもう登れない、と断念。

ここまで付き合わせて、歩かせて、肝心の天然のアーチが見れないというのは申し訳ないのだけれど...

仕方なく、独りで行ってみる。

P5051481_rこれが天然のアーチだ。なかなかの景観。Jのために沢山写真を撮る。

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こんな感じにいくつか展望場所がある。ただ、近すぎて、全体感がカメラに収まらない。

坂を登り、一休みしたJと合流。

帰り道、ヴィラ ジョヴィスという宮殿跡地など近くにあったようなのだけれど、もうできるだけ歩きたくない、というJの心をくみ取って、カプリの街の方に戻る。

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白い石の歴史。そんな街並みを臨む。

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ケーブルカーに乗り、港へ。流石に疲れたので甘いものを...ジェラートをいただく。

かなりの疲弊。

カプリって、なんと疲れる島なのだろうか。

本来、見るべきところではなくて、あまり行かないようなところを見てきた、というのと、その分思い出にはなるけれど、犠牲にした体力は大きかった。

個人的にはちょっと面白かったのだけれど、Jには悪かったなぁ。

船に乗り、ポジターノへ戻る。

少し、砂浜で夕暮れの風に吹かれる。気持ちいい。

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P5061559_r何が釣れるのだろう?

P5061575_r夕方なのだけれど、まだ空は昼間だね。

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ホテルのリストランテで夕食を取る。南イタリア最後の夜が更けていく。

to be continued...

 

2015年6月17日 (水)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その11 坂の街ポジターノ~

2014年5月4日になっている。

テラスでゆったりと食事をとる。景色は本当に素晴らしい。Grand Hotel Excelsior Amalfi。

ホテルをチェックアウトし、玄関に回されたフォードに乗る。いまだ愛着が湧く、ということもないこの鈍重な車だけれど、アマルフィ海岸を走るのもこれで最後だし、少しは左ハンドルにも慣れてきているので、今日は少しは颯爽と?走れるかな?

山を降り、アマルフィの街をかすめるように抜けて、海岸線を西に向かう。このアマルフィ海岸は、はたから見ていると走って楽しそう、気持ちよさそうだが、道は狭いし、イタリアっ子の運転は荒くてどこででも追い抜きを掛けてくるし、車はドン臭くて走らないし、左ハンドルだとやっぱり運転もエッチラオッチラだし、海側の景色は石積みのガードレール?でほとんど見えないし...正直なところ、まったく心地よくない。

ちょっとフライングするけれど、この南イタリア編を書き終わったら、1年の時間を飛んで、2015年のゴールデンウィークのサンフランシスコ旅行の記憶を記しておこうと思っている。

サンフランシスコでも1泊2日でレンタカーを借りたのだけれど、こちらは車は面白いし、道は広いし、運転していても景色がいいし...ドライブはアメリカ西海岸の方が楽しいなぁ、と心底思った...

ともかく、若干スムーズになった運転で、本来なら小一時間程度の距離のはずのドライブだったのだけれど...

トンネルを抜けたあたりで、また渋滞。これもまったく動かない。先の渋滞は少しずつ動いていたけれど、今度の渋滞はまったく進まない。

30分くらい待っただろうか。それでも動かないし、イタリア人のドライバーや同乗者は車を降りて、様子を見に行っている。

僕もJを車に残して、様子を見に行ってみる。

言葉ができれば、帰ってきている人に「どうなってるの?」と聞けるのだけれど、それができない僕としては、とりあえず小走りに渋滞の先頭を目指していってみる。

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ちょっと海側を覗いてみたら、こんな感じ。こういう崖の上の道を走っている訳だ。

さて、どうにも、警察が車を止めているようだ。あとで分かったのだけれど、祭りがあったようで、そのパレード?というほど大掛かりではないけれど、日本の地方都市で子供神輿が出るようなお祭り?そんなものだったのかな。それで交通整理が入っていたらしい。

この交通量が多くて、かつ抜け道のない道路。そんなに長いこと止めるなよな~

と、旅人の僕としては思ってしまう。

渋滞の先頭あたりを見ていると、なんだか、車を動かしそうな気配が見えてきた。

慌てて走って車に戻る。

やれやれ...

ようやく走り始める。

あれ?この日はお昼をどうしたんだっけ?かなり疲労困憊だった記憶はあるのだけれど...

記憶は、ポジターノの狭く、またグネグネとした急な坂を海の方に下っているところに飛んでいる。食べなかったのかな?

ホテルに着いたのはいいのだけれど、そんな狭い曲がりくねった道の脇にひっそりとホテルの入り口がある。車、どうしたらいいんだろう...

どうやら、ここで車を預ければいいらしい。スーツケースを降ろして、鍵を渡す。

このポジターノは本当にほぼ平地がない。崖に建物がへばりついているような状態だ。なので、駐車場なんて、そんなスペースを都合よくホテルの近くに作ることはできないのだろう。

そうか。石の街であるイタリアの都市は、古い歴史をそれぞれが持っている。

馬車が走りやすいように石畳にしているのだろうし、石積みの建物は時間を超えていく。つまり、簡単に建物を撤去して、アスファルトで道を広げる、といったことが難しいのだろうし、石に歴史を宿して生きているヨーロッパでは、古いものを壊す、という考え方も少ないのだろう。だから、自動車社会のいま、これほど走りにくいし、不便なんだろうな。

都市と都市を結ぶ高速道路網は、一方で車社会であるヨーロッパを象徴しているけれど、こんな風に、便利と不便、古代と近代を同居させている文化は、やはり日本とは違うし、きっとアメリカとも違うのだろう。

・・・これもよいね。割と好きかも。こういうの。

P5051148__rHotel Villa Franca。立地ゆえにコンパクトな部屋だけれど、雰囲気はいい。

だがコンパクト過ぎて、スーツケースを二つ開くのに少々苦労する。

P5051161__rなんだかんだで、移動だけですでに黄昏時を迎えようとしている。部屋の窓からの風景。

P5051168__rホテルのリストランテ。

さて、晩御飯を...

ポジターノの街に降りれば、美味しいお店は沢山あるらしい。歩いて降りることもできるらしい。

歩いてみる。一昨日のアマルフィの山下り、昨日のラヴェッロの散策で疲労している足は少々嫌がっているが、これまた、降り始めてみると、なかなか下に着かない。バスにすればよかった...

Img_3802_r結局、夜はこんなところで過ごした。

地元のリストランテ、という感じで、気さくかついい加減そうなイタリアンな店員に案内され、少し寒い思いをしながら、道路わきの外席で過ごす。雰囲気は悪くない。味も上品ではないけれど悪くない。

バスを待って、ホテルに戻る。

翌朝、少し早目に起きる。

P5051169__rポジターノの朝。

バスでポジターノの街へ降りる。

今日はカプリ島へ行く予定だ。

P5051180__r船のチケットをどこで買ったらよいのか?さっぱり分からない。

チャーター船のチケット売り場も沢山あるし(カプリの青の洞窟のツアーなど)、しばらくウロウロして、ようやくチケット売り場を把握し、購入。

P5051182__rここだった。

船を待つ間、しばしそのあたりをウロウロしながらくつろぐ。

P5051183__r絵になる街だなぁ。

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P5051210__r君は何を思うのかな?

船が来た。

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さて、カプリに行こう。

...to be continued...

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その10 天空の街ラヴェッロ~

P5040923__r天空の街 ラヴェッロ。

アマルフィの街から車だと20~30分というところだろうか。

印象としては、もっと時間がかかったような気がする。ホテルから海岸通りまで坂を下りて、海岸線をサレルノ方面に少し戻る。海岸線からこれこそ九十九折と言えるようなヘアピンカーブをいくつか越えて、急激に高度を稼ぐ。ああ、そういえばそこそこ車が走っていたから、結構時間が掛かったんだったな。どこも道は狭い。

ここは車で来るしかないから(観光バスは別として)、駐車場は結構ある様子。朝も早めに出てきたから、割と街の近くの駐車場に停めることができた。

車を置いて、階段を登る。

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ドゥォーモ(大聖堂前)の前の広場。お土産物屋やオープンカフェ。少し落ち着いた雰囲気だ。

織田裕二のアマルフィでは、アマルフィとの実際の距離は無視されて、この街でのロケもされている。

まずは、兎にも角にも目的地を目指す。Villa Cimbrone(ヴィラ チンブローネ)。天空の庭園だ。

大聖堂前の石畳の広場から、石畳の細い路地を上がったり下がったり。進んでいく。

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P5040888__r入り口だ。

すべて石。11世紀から栄えている街。10世紀分の時間がそこに宿って、まだ生きて、時の流れを刻み続けている。これがヨーロッパ。木と紙の文化である日本との違い。どちらが良いとか、そういう話ではなくて、ただただ、それは圧倒されるし、やはり美しい。

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P5040935__r冒頭の写真。ラヴェッロの代表的なカットの一つだと思う。

天空の庭園からアマルフィを見下ろす。

P5040951__r真下をみるとこんな感じ。結構怖い。

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そして空と海。ただただ圧倒される。まさに無限のテラス。

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離れ難い気持ちを抑えて、広い庭園を歩く。

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ちょっと一休み。

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昼食はJが是非行ってみたかった場所で取ることにしている。アマルフィのホテルから昼食の予約は入れてある。ランチでも結構気合の入った値段設定であるのは当然であるが、フラッと行ったのでは入れない可能性が高いため、予約はしておいた方がいい。

ヴィラ チンブローネ。この庭園は、実はホテル ヴィラ チンブローネのお庭であって、このホテルはラヴェッロでは最高級の5つ星ホテルで、11世紀の建物を改装して使っているらしい。

ここはリストランテだけの利用ができるのだ。

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Img_3799_r高いだけあって美味しいのか、高いお金を出しているから美味しく感じるのか?

まぁともかく美味しい。

そして何より、素晴らしい雰囲気。

P5041000__r宿泊客専用のプライベートガーデン、プールもある。

絵に描いたようなお金持ちそうな(よくイタリアンマフィアのドンがプールサイドで悪巧みしているような)人たちが、絵に描いたように過ごしている。

食後のカプチーノをいただいた後、お店の人に庭に出てもいいか?と恐る恐る聞いてみると、気さくに許してくれた。

庭に降りると、絵に描いたような人たちは決してマフィアではなくて、気のいいお金持ちのようで、笑いかけてくれている。挨拶して、庭を探索する。

P5041006__rプールの後ろがリストランテだ。さっきまでそこでランチを食べていた。

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今度ラヴェッロに来た時は、少し無理してここに泊まろうか?

そんな話をJとしながら、標高350mに吹きあげてくる優しい地中海の風に吹かれる。そんな幸せ。

大聖堂に戻る。P5041040__r

P5041061__r櫓?を支えるライオン達。すべて表情が違う。

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大聖堂を出て、少し街を歩く。

路地に僕はいる。上を見ると...

P5041050__r猫に見下ろされる。どこに行っても、猫ってゆったりと、優雅に見える。

天空の街の石塀の上で君は何を思うのかな?

P5041090__r青空に花々が映える。

P5051095__rそんな空や花や猫を見ながら、ぼーっとした時間を過ごしていたわけは、Jがこの店にこもってしまったから。

焼きもの好き、陶器好きのJは、こういうお店には目がない。じっくり時間を掛けて選んで、購入。そして日本へ発送。自由自在だなぁ。

P5051119__r青い人が浅い池に横たわっている...

P5051108__rこんな前衛的なアートと、1200年代の石積みの建物が混在する庭園。こちらはヴィラ・ルーフォロ。チンブローネと並ぶラヴェッロの庭園。

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チンブローネの方がゆったりとしていて、好きかな。

とてもよい風と時間の中で過ごせる。素敵なところ。天空の街。また来たいね。

しかし、とにかく歩き回っているので、さすがに疲れてきた。

・・・そろそろ帰ろうか。アマルフィへ。

明日はアマルフィを離れ、アマルフィ海岸を西へ。小さな港町、ポジターノへ入る。

そして、明後日は船でカプリ島へ。

この旅もそろそろ終盤だ。

...to be continued...