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2013年9月 1日 (日)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その7 「田酒、そして再び八甲田と恐怖の雪道」

2013年5月3日。

と、書き始める今日は9月1日。暑い日が続いている。ここ2週間ほど週末ごとの雨に見舞われて、なんとなく閉じこもりがちな夏の終わり。

ブログというと、つまり日記で、どちらかというと即時性が特徴なのだろうと思う。そのために書き込みやすいツールが準備されていて、だれでも手軽にアップできる。

こうやって4か月も経って季節感がずれている話題を書くというのは、これはブログとしては不適切なのだろうと思うのだけれど、まぁ、こうやって書き始めたし、当面、この形で書いてみようかな...と、誰に説明しているのだろう?自分か?

この間ブログにアップした久しぶりのチヌ釣りは、そのあと、やっぱり違う、と思ってHPを改めて更新した。当初、ブログに書いたものをコピペして、少しだけ加筆しようかと思ったのだけれど、書き始めると、そもそも書くことが好きな僕は、ほぼ書下ろしになってしまった。

そうなんだよな。昔から書くことは好きで、だから僕のHP「いつも海を見ていた」は、おそらく釣り関係HPの中では群を抜くテキスト量だと思う。つまり文章が長い。こういう長い文章に付き合ってくれる理屈っぽい当時の数人の仲間とは、今も付き合いが続いている。

意識していないが、自然と理屈っぽい僕に合う人を見つけ出してくれたのかも。

ともかく、この青森の話題も完結していないし、実はニュージーランド編もまだ完結していない。そのあと山陰で温泉に浸かった話題もあるのだけれど、これは着手もしていない。普通の人の数倍の文章を(ほとんど無駄話だけれど)書くから、時間かかるんだよな。でも、振り返って自分で読んでみたら、案外それはそれで面白いので、ともかく書きかけた以上、ゆっくりとでも完結させておこうかな、と思う。

即時性をもったブログより、少し時間をおいて、自分の中で出来事を消化して、文章に置き換えていく。そんな作業が好きなんだよね。

さて、頭の中の季節を春とはいえ、いまだ冬の様相の青森に戻そう。

その、2013年5月3日。

温川山荘を出発した僕らは、東北自動車道を北上する。

この日の宿は楽しみにしていた秘湯蔦温泉なので、温川山荘からはさほど離れていない。時間があるのでどうしようか?と考えたところ、Jが青森に行くなら絶対に行きたい、と言っていた場所に行く時間が十分にある...ということで、青森市街へ向かうことにした。

目的地は、知る人ぞ知る東北の銘酒「田酒」の醸造元、西田酒造だ。

醸造所見学ができるのかどうかも分らないが、ともかく、あの田酒を作っているところに行ってみたい、というのがJの希望。

Jと旅行をするようになって、僕一人では絶対に行かなかったと思われる場所に行くようになった。その一つが日本酒の醸造所であったり、ワイナリーであったりする。

少し余談だけれど、仕事関係(...なのかな?)でウィスキーの蒸留所にも行っている。サントリー山崎蒸留所には3~4回行っているし、白州蒸留所にも行ったし、ニッカの余市蒸留所にも行った。

余市の雰囲気は僕をウィスキーの魅力に一気に引き込んでしまったし、山崎ではサントリーの人たちが、本当に好きで好きでたまらずにウィスキーを作っているということを感じさせてくれて、今では、いつかスコットランドを訪れて、アイラやスペイサイドの蒸留所に行ってみたいと思うようにすらなっている。

ビールは工業製品だと思う。工場に行っても全く魅力を感じない。まぁビールは飲む気もない、とういのもあるのだけれど。

一方で、ウィスキーやワインは、時間と、その土地の空気を閉じ込める作業によって生み出される。この長い時間をかけて書かれた手紙を読むような、くすぐったいような感動がそこにあって、せせこましい日常を同じ空間で送る僕らに、時間と空間を飛び越えるような贅沢な気分も与えてくれる。時間が味を変え、空気が味を変える。本当に面白い。

日本酒は、これは職人が生み出す芸術だと思う。日本酒の酒蔵を訪れると、そこは職人の作業場で、熱意と、酒にこだわり続け時間が閉じ込められていて、厳かな雰囲気すら感じる。とくに小さな醸造所がそうだ。

ということで、今回の西田酒造訪問も、僕も結構楽しみだ。

カーナビを頼りに西田酒造を目指す。いつも通りのミスリードで裏手の方をグルグル回らされて、ようやく正面入り口を発見。・・・しかし、どうにも入り難い雰囲気だ。

ともかく車を停めて正面入り口へ行ってみる。やはり、なんとなく入りにくい。

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僕一人なら諦めて帰っていたところだが、Jの執念?はそれでは我慢できない。

決心して入り口の引き戸をガラガラ、とあけてみる。

「こんにちは。すみません。」

緊張...

すると中から、人の良さそうな女性が出てきてくれて、一安心。

話を聞くと、やはり西田酒造さんでは見学の受け入れはしていなくて、ここでのお酒の販売もしていないらしい。

それでも、Jの熱意と田酒愛にほだされたのか、いろいろ話を聞かせてくれた。

田酒は生産量が非常に少なく、付き合いのある特定の酒屋へほとんどが卸されているようだ。

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撮影OKの範囲で記念撮影させてもらい、近所で田酒を扱っている酒屋を紹介してもらう。

お礼を言って、その酒屋を目指す。

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おお!田酒だ。

しかし、これは空き箱が並んでいるだけで、このお店でも販売できる田酒の量は限られている。お店の方にもJの田酒愛が伝わり、分けていただけるだけの田酒の純米吟醸と、さらに山廃仕込の田酒を購入。

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この田酒。帰って飲んでみたが、やはり旨い。

辛口だが芳醇で柔らかい味わい。僕はお酒に弱いので、アルコール感が舌や喉に刺さるような日本酒は苦手だ。だから、たとえば地元では獺祭や宝剣などの純米大吟醸などのような、どちらかというと女性好みの、香りがよくフルーティで、お酒お酒していない日本酒が好きだ。

田酒はまさにそんなお酒で、これほど飲みやすく美味しい日本酒は多くないと思った。山廃仕込は通常少し飲みにくい(僕のような人間には)らしいのだけれど、田酒の山廃は、これまた美味しい。素晴らしい。

酒屋を後にして、ここまで来たのだから...ということで青森中心部へ向かう。お土産などもここで買っておこう、と、青森観光物産館アスパムの駐車場に車を入れる。ここは青森港のすぐそばだ。

とりあえずアスパムの中の様子をおおよそ把握して、ちょっとお腹も空いたな...ということで、街へ出てみる。食べログを見て目安を付けてお店を訪れると、休みだったり、時間外だったりで、ちょっと困ってしまう。

街を歩いていると雪が舞ってくる。寒い。

青森市街で雪が舞う...大丈夫かなぁ...

青森魚菜センター、というのがある。ここは一般向けに販売している魚市場のような感じなのだけれど、一枚100円のチケットのつづりを買って、ご飯を買って、あとはそのチケットで市場内の各店にあるお刺身などを購入してご飯にのせて丼にする、という面白い趣向をやっている。

ここに行ってみる。

魚がいっぱい。釣り師は魚を見るのも大好き。

お、ホヤだ。

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正直気持ち悪い...

相当な店の数で、それぞれ観光客を呼び込むため、工夫を凝らして丼用の素材を並べている。

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僕の海鮮丼は、せっかくの青森なのでマグロ中心。

Jの海鮮丼はバランスと色合いがよいね。

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ここでは、ダシに凝っている僕は昆布を購入。さらに鮭とばを購入。酒飲まないのに、こういうの好きなんだよな。

ちょっと量が足りないのと、コーヒーを飲みたくなって、喫茶店を探す。

ケーキセットがお得そうな喫茶店を見つけて入る。

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...なんかうれしい...

アスパムに戻り、お土産を購入。そろそろ宿に向かおうか。

国道103号線を南下する。八甲田ゴールドラインだが...みるみるうちに道路わきの積雪量が増してくる。しかも降雪量も増えてくる。道路標識では、夜間通行止めの表示すら出始めている。

タイヤはノーマル。しかもコンパクトカーで車体重量も軽い。普段車に乗らないJは比較的呑気だが、ずっと四駆に乗り続けていた僕だが、雪道では怖い思いを何度かしているので、こちらはかなり緊張してきている。最悪たどり着けない。たどり着いても翌日空港へ向かえないのではないか?

ちなみに、昔僕は20年ほどの前のモデルのパジェロのショートボディ、V6 3000ccのモデル、かつマニュアルミッションという、割と希少価値?のあるモデルに乗っていた。このころ早春の中国山地の山間にアマゴを釣りにいって、雪道で少し無理をして(スタッドレスは履いていない)道路から道路わきの雪の積もった小さな空き地に飛び出したことがある。幸いデフロックして自分で脱出できたけれど...

その後はもうパジェロを買うほどのお金もなかったので、エクストレイルに乗っていた。パジェロに比べるとちゃちな感じだったけれど、パジェロほど壊れなかったな。・・・ほんと、パジェロはよく壊れた。三菱自動車は車をまともに作る能力ないんじゃないか?と思ったくらい。でも、個性的で面白い車だった。好きだったな。

と...ともかく、再び酸ケ湯温泉のあたりまで来たころには、もう道路の上も積雪していて、接地感がなくなってきている。

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これは相当やばい。

登りはまだ登れる限りなんとかなるが、下りは怖い。しかし、そのうち下らないといけない。

ともかく、いまだ雪は吹雪いている。

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5月だぞ。くそ!

相当まずい状況だ、ということをJは未だ認識していない。

傾斜の緩いところで車をとめて、路面の状況を把握する。幸い夜に向かって冷えていく状況なので、轍も見た目ほど水気は出ていない。

なんとかなるかな?引き返すのも勇気だぞ、という声が時分の中に聞こえるが、引き返すにはこの道を下らないといけないという事実もある。ここまで来てしまったら、なんとか行ってしまう方がいいような気もする。明日、帰れなくなれば、それはそれで仕方がない。

ゆっくりと車を進める。スタッドレスを履いた車には素直に道を譲る。

こんな道にノーマルタイヤで入ってくる僕がおかしいのだから、周りに迷惑だけはかけないようにしないと。

道が下りに入る。傾斜がきつく、カーブもきついので怖い。

肩に力が入ってがちがちに凝ってきているのが分かる。

幸い...そういえばそうだった...奥入瀬に行ったとき、下り、つまり十和田湖側は積雪量が少なかったんだった...雪が減ってきた。

一安心...そうして、ようやく、蔦温泉に到着した。

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ああ、疲れた...

to be continue...







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