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2014年2月16日 (日)

雪見露天風呂。新潟 越後湯沢にて...

温泉好きなのだけれど、一度もやったことがないことの一つに、豪雪地域での雪見の露天風呂、というものがあった。

そんな話をJとしていて、あっという間に雪見露天風呂の計画ができあがった。

日本秘湯を守る会の本をめくりながら、今回狙いを定めたのは、貝掛温泉と清津館。どちらもJR越後湯沢駅からそれほど遠くないが、秘湯感あふれるところのようだ。

期待値としては貝掛温泉が上。清見館はちょっとどうかな?と思いつつ、予約の電話をすると、すんなり予約できた。もっとも2か月以上前のことだけれど。

さて、広島を出たのは2月8日。10日の月曜は平日だけれど、うちの会社は一斉休暇取得日となっていて、4連休。その初日だ。

ちなみに、これを書いているのは2月16日。テレビをつけると、ソチオリンピック ラージヒルで葛西選手の銀メダルで盛り上がっている。その一方で、再び関東から東を襲った週末2週連続の大雪の被害の話題が繰り返し伝えられている。

そう、東京に移動しようとした日は先週の大雪の日で...新幹線...広島駅をそれでも20分弱遅れで出発したのだけれど、東京へは2時間20分弱の遅れで到着。まぁ、着いてよかった、と思った。何せ、車窓からの風景は、広島から東京までの間、8割方真っ白だ。まぁこれだけしっかり遅れると、ちゃんと2時間は過ぎてもらわないと困る。2時間過ぎたら特急料金払い戻しだしね。ちょっと浮いたな...

東京。これまた凄い。

ちょっと荷物が多かったのでキャリーバッグを持って行っていたのだけれど、当然ながらこれはまったく使い物にならない。キャリーバッグのロードクリアランスではこの積雪は乗り越えられず、ほとんどラッセル車状態で、僕が通った後に道ができている。

雪見に行こうと思ったら、東京で十分に雪見ができてしまった。

さて、明けて2月9日は日曜日。

東京駅から上越新幹線で越後湯沢へ向かう。所要時間は1時間15分なので、あっという間だ。越後湯沢といえば、ガーラ湯沢やその他スキー場がひしめくエリアなのだけれど、さすがに日曜の昼過ぎに到着する新幹線は割と空いていた。

少しだけ遅れて到着した越後湯沢。さて、お昼をどうしよう...

Jが調べた。何かとんでもなくリーズナブルな鍋があるらしい。

越後湯沢の駅から徒歩で5分くらいだろうか。森瀧(もりたき)というお店。

Moritaki 

これだ。2人前だけれど、すごいボリューム。しかも、お出汁がいい味で美味い。

お店の人に「かんずり」というこのあたりの特産のスパイス?柚子胡椒を唐辛子っぽくして、熟成させて少し柔らかくしたような感じ...意味がわからんな...を入れるように進めてもらって、取り皿に入れて出汁に溶かしてみると、これまた美味い。

この鍋にうどんを2人分投入して、もう、お腹いっぱい。いやいや、800円というこの「うどんすき」は...越後湯沢でのっけからインパクトがあった。またこのあたりに来たら、是非寄りたい。

駅に戻って駅レンタカーを借り出そう...としたら、駅レンタカーの場所が分からない。駅の周辺にはトヨタレンタカーとニッポンレンタカーしか見えない。しばし雪に吹き付けられつつ悩んだ結果、というより電話して聞いたのだけれど、駅レンタカーは駅の構内。お土産物売り場あたりのカフェの横にカウンターがあった。

分かりやすいような分かりにくいような...

車は地下駐車場にあるようで、そこまで案内してもらって、今回はマツダ デミオを借り受ける。見てみると四駆だ。スタッドレス無料プランで申し込んでいるので、この四駆とスタッドレスの組み合わせで、心配していた雪道走行に一安心。

若いころはパジェロ(V6 3000cc ショートボディ、しかもMTというレアな?もの)に乗っていたし、ちょっと前まではエクストレイルに乗っていたので、特にパジェロのときは雪道に対する恐怖感はあまりなかったのだけれど、レンタカーで借りるコンパクトカーだと少し不安だった。だが四駆ならね。

一路、貝掛温泉へ。

新潟。豪雪地帯の道路。

積雪時の東京の方が余程怖い、という感じ。除雪は徹底しているし、路面に水を流して凍結を防止しているし、もちろんところどころ圧雪の路面もあるけれど、無茶な走り方をしなければ、何の問題もない。いや、すごいな。

というわけでしばらくは横にスキー場を眺めながら、こんなところまで来てスキーもスノボもやらない自分たちの風変りさ?に苦笑いしながら進んでいく。

あと少しで貝掛温泉、というところまで来て、ようやくこんな風景に。

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さらに圧雪された橋を渡って、貝掛温泉に到着。

何とも雰囲気のいい宿だ。

チェックインすると、メグスリの木のお茶と、笹団子のサービス。

部屋に通される。部屋自体は普通のお部屋。窓からは真っ白な世界が広がっている。

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さて、早速目標達成しに行こう!

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よい雰囲気。うん、これこ...しかし...ぬるい...

源泉の温度が37度ちょっと。この時間の男湯の方は割と広くて、湯の注ぎ口は一つしかないのだから、まぁ35度もないのではなかろうか。

気温が0度とかそんな感じだろうから、入った瞬間は少し暖かさを感じるものの、いくら浸かっていても温まるという感じはない。

ぬるめのお湯にじっくり浸かるのは好きだけれど、これはあまりにぬる過ぎる。

ここのお湯、市販の目薬の成分に近い成分を持っているそうで、昔から目の養生のために訪れる湯治客が多かったそうだ。注ぎ口のお湯を手で受けながら目を洗う。3~4度そうしてみたのだけれど、湯上りの自分の目をみたら目が真っ赤になっていて、結局目薬を差した。う~む、どう判断すればよいのやら。

ともかく、おかげで雪を眺めながらお湯にじっくり浸かることはできた。

いくらなんでも風邪をひきそうだな、と思うまでそこで過ごして、続いて同じ露天の加温の湯船に浸かる。

うん、この気温ならこれくらいは欲しいよな。

中に入り、また源泉に浸かり、中の加温湯船に浸かって、一旦風呂から出る。

時間が経つほどに内側からホカホカしてくるのは、やはりぬるめのお湯にじっくり浸かったからだろうか。

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Img_3368_r岩魚。

Img_3371_rこの薬膳玄米粥がなかなか美味かった。貝掛温泉の名物、とのことだ。

「古来より、目の湯治には肝臓・脾臓の活療からと云われております」との説明書きが添えられ、クコの実、人参、とうもろこし、さつまいも、いんげん、あずき、胡麻が入っているそうだ。

そのほか、料理は全般的に優しい味付けで西の住人の僕の口にもとても合った。

新潟は言わずと知れた酒どころだが、越後湯沢からほど近い塩沢あたりは激戦区と言える。あの上善如水の白瀧酒造もこのあたりだし、何よりJが大好きだ、という鶴齢の青木酒造がある。

明日は青木酒造を訪れる予定にもしている。

料理に合わせてのお酒は、むろん鶴齢。鶴齢の飲み比べセットがあったので、これを注文。僕は横からちょっともらう。本醸造、大吟醸、純米大吟醸。純米大吟醸を中心にいただいたが、とても美味しい。

部屋に帰って一服してから、再び温泉へ。

19時で男女入れ替えがあったため、今度は手狭な方のお風呂だ。

露天には加温湯船はないので、湯の注ぎ口の近くで星空と時折霞がかる月を愛でて、それから中のお風呂で温まる。よいね。

P2100405_r前客が残したのだろうと思われる、すごく小さな雪だるまの横に、少しだけ大きな雪だるまを作って並べる。

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さて、出発だ。まずは塩見、青木酒造へ。

塩沢の街は観光客対応で景観統一といろいろな配慮がされていて、地方の街として頑張っている感じが伺える。

青木酒造。事前にJが営業の方とメールでやり取りをしていたこともあって、いろいろな話を聞かせてもらい、また醸造所の中も少し見せていただけた。

貝掛温泉では年に数回?青木酒造の見学会のようなものをやっていて、今回そのタイミングには当たらなかったのだけれど、鶴齢ファンのJはどうやっても訪れてみたかったようで、営業の方にいろいろ質問している。これを受ける営業の方も本当にお酒が好きで、また自社のお酒を愛していることが分かるような熱い方で、なんだかいいな、と思うし、僕も鶴齢に対する思い入れが強まった。

製造業と一括りにすると少し違うかも知れないけれど、やはり自社製品に熱のこもった愛をもっている企業の製品は違うと思う。そうありたいものだね。製造業の基本を見た気がした。

本当に楽しめた青木酒造訪問だった。

その青木酒造が経営しているらしいオーギヤカフェに寄り、少し気分を変えて、僕はカレーを、Jはワッフルランチ的なものを注文。・・・いや、実は僕はカレーに追加して苺ワッフルを頼んだ。苺系スイーツは外せない...

このカレーが美味かった。玉ねぎをじっくりと炒めたものと思われる優しい味で、ちょっと感動した。ワッフルも美味しいけれど、このカレーライスはおすすめだ。

さて、次の目的地、清津館に向かう。

貝掛温泉より標高が高いのだろう。積雪量はかなり多いが、後で聞いた話では、例年に比べて雪は少ないとのことだった。ともかくそんな中、清津館に到着。

前日の貝掛温泉は宿の構え、雰囲気からとても期待値を高めるものだったが、こちらの清津館は鉄筋コンクリートの建屋で、それがそれなりに老朽化している感じで、正直なところ、それほどいい雰囲気とは思えなかった。

ともかくチェックインする。

人の良さそうな女将さんと女中さん?が、本当に人当たりよく接してくれて、少し和む。

ここの露天風呂は貸し切り露天風呂のみ。明るい時間に入りたかったので早めの時間で予約しようとすると、加温に時間が40分くらいかかる、とのこと。加温時間を踏まえてできるだけ早い時間で予約する。

しかし、この貸し切り時間がたったの30分。1時間くらいはお湯に浸かっていたい僕としてはかなり物足りない。

一旦部屋に入ってから、あとの時間30分を追加(300円)で借りれないか?と聞いてみたところ、次に入るお客さんが選ばなければ...とのことだった。

だが、18時の夕食前にお風呂に入ろうとすると、その時間しかなかったので、案の定、無理だった。

ふと、窓の外を見る。

あ、いた!

P2100437_r拡大すると

P2100437ニホンカモシカだ。

ミラーレス一眼、OLYMPUS PEN Lite E-PL6を買ったのだけれど、このときダブルズームキットを買っていた。初めて、40~150mmズームが活躍した。かなり離れていたのだけれど、思った以上にちゃんと撮影できた。よく知らないのだけれど、僕が中学生のころ買った250mmレンズと同じくらいの倍率とかなんとか...

さて、時間だ。

ともかく、露天風呂に向かう。

宿で長靴を借りて一旦外に出て、宿の方が作ったかまくらを通り過ぎて露天風呂へ。

鍵を開けて脱衣所に入り、湯船へ向かう。

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Dcf00232雪の清津峡を望む絶景の露天風呂だ。

こちらの露天風呂には、源泉と加温されたお湯両方の注ぎ口があり、一方は源泉のみでかなりぬるい。大きい方が加温されたお湯が合わせて注ぎ込まれていて、この寒さには心地よい暖かさだ。返す返すも時間が短いのが辛い。

お湯も貝掛温泉に比べるとかなり濃いもので、泉質の違いがあるから一概にどちらがいい、悪いとは言えないけれど、硫黄臭が漂い、湯の花が漂うここのお湯は、柔らかく、心地よかった。

部屋に帰り、夕食用の部屋に向かう。

こちら、よい方に裏切られた。期待していた以上の料理で、実に美味い。

囲炉裏端をイメージした卓を挟む。

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鯉のカルパッチョ、また鯉こくと、山間部で無理やり海の幸を出さないところにも好感が持てるし、鯉もしっかり泥を吐かせているようで臭みもなく、脂がのって結構おいしい。

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山菜の天ぷらもサクサクして美味しいし、ヤマメも美味い。

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煮物も家庭的な味付けで好ましいく、山菜もうまい。

総じて思った以上にレベルの高いお料理だった。

とくに贅沢なものでもなく、とくにずば抜けてどうこう、というのではないのだけれど、こういう山間の宿にはよく似合う。こういうのがいい。秘湯にはね。

内湯に浸かる。窓からは雪景色だ。

Dcf00228ふぅ、よい気持ちだ。

翌朝、せっかくなので、清津峡見学してみようと思い立ち、宿の人に聞いてみる。

すると、冬季はやってないのでは...とのこと。むむ?そうなの?と思っていると、午前中だけ、管理される方が行かれているので、見学可能ですよ、とのことだった。

宿で長靴を借りて清津峡の観光用トンネルに向かう。

渓谷内の登山道が崩落で通行できなくなり、このトンネルが作られたといったことが説明に書かれていた。清津峡からこのトンネルの入り口まではすぐ近くだ。

P2110446_rこんなトンネルの中を歩く。中にはちょっとした展示物(熊のはく製はちょっと口が怖い...)や清津峡の案内ビデオが流されたりしているエリアがある。

そして、3か所のビュースポットがあって、ここではトンネルが進行方向左手側に伸び、渓谷の中腹に開口していて、終点には展望エリアがある。

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P2110468_rなかなかの景観。

往復しても40分ほどなので、ここまで来たら、是非行ってみればいいかな。

宿に戻り、ダメ元で冷えた身体を温めるためにもう一度露天に入れないか聞いてみる。

それは問題ない、ということなのだけれど、温めるのに40分掛かるとか。「出かける前に言ってもらえていればよかったですね。でも、内湯なら入れますよ。」とのこと。

残念だが時間もないので露天は諦めて、内湯で身体を温める。ふぅ、気持ちいい。

Jが貝掛温泉にiphoneのアダプターを忘れてきたことに気づいて、一旦貝掛温泉に戻り、それから越後湯沢へ戻る。

へきそば。やはり蕎麦好きの僕としては、これは食べたいところ。

Img_3428_r順番待ちすること40分くらいだろうか。

越後湯沢駅からすぐという立地もあって、このあたりでは有名な中野屋のへきそばにたどり着く。

これまた...思った以上に美味い!

調子に乗って2人で3人前を頼んで、出てきたときの量に驚いたのだけれど、腹いっぱいにはなったものの、最後まで美味しくいただけ。

新潟。美味いものが多いな。しかも温泉多いし。よいところだね。

レンタカーを返し、土産を少し買って、上越新幹線に乗る。

ああ、今回もいい旅だったな。

海外も面白いけれど、日本はまだまだ楽しめそうだ。

一度断念したあと、再び集めている日本秘湯を守る会のスタンプカード。今回の旅で、いよいよ残り2つで10個スタンプがたまる。今回は期間中にたまりそうだな。

今度は何処に行こうかな?




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