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2015年7月26日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 epilogue~

青い海、広がる蒼い空と広がる雲。檸檬の黄色。そして石の家と、石畳の街。

ポジターノの朝。2014年5月6日。

ナポリ空港から11:40のフライト。ルフトハンザ航空でミュンヘン経由。来た時と逆のコースをたどる。

villa Francaをチェックアウト。車はホテルの前まで回してくれているらしい。結局車がどこにどのように滞在中駐車されていたのか分からない。何せ土地がないのだから、凄い状態で保管されていたのだろうなぁ。

ホテルの前に出てびっくり。

Img_3903_rこうやって写真をみると、車が横転しているみたいに見えるな。

おいおい、これ、壁に当たっているんじゃないのか?と思って近寄ってみる。

Img_3904_r当たってない。最接近部は1cmも空いてない。この人たち、これが誇りなのか...いや、そこまでしてくれなくていいんだけどなぁ。万一当てても笑って済ませられそうで、ちょっと怖い。イタリアだもんなぁ。

さて、ナポリ空港まで1時間半ほどの最後のドライブだ。

Img_3912_rアマルフィ海岸の道路とも別れを告げる。

大変だったなぁ。

Img_3915_r半島を横切って、ナポリ方面の街が見えてきた。

ナポリ市街を抜けて、間もなくレンタカー店。そうそう、ここだ。ここで車のミラーをベンツに当ててから、この波乱の南イタリア旅行がスタートしたんだよな~

レンタカー店に到着。ここを出た時に比べると、格段に左ハンドル、右車線通行に慣れたし、ワイパーとウィンカーも間違えなくなった。鈍重な車だったが、ちょっとだけ愛着を感じつつ、レンタカーを返す...

・・・僕一人ならここで素直にレンタカー返して終わりだったと思うのだが...

Jが最後のバトル。理不尽な点はきっちり落とし前つけなければ終われない、という気概と、堪能な英語力、仕事で培った交渉力が火を噴く。

我々にはそもそも命綱となるべきはずだったGPS。たしかに、GPS付というプランで借りたから、GPS分を余分にお金払ったわけではない。

だが、GPSが使えるという前提で車を借りたのに、ほとんど使えず、大変な目にあった。これに対して、どう補償してくれるのか云々...と多分言っているのだ思うけれど、僕には何を言っているのかよく分らない。

受付の女性がバックヤードに入って上司とおそらく相談したり、どうだろう、20分くらい掛かっただろうか?

とうとう、GPSを別に借りた場合必要な費用分をレンタル代から割引、さらにABISレンタカーの金券までもらった。

いやはや、凄い...

なんにせよ、頼れるパートナーだな。

この旅では、こういう直接的なJのパワーにも助けられたし、失敗して同様したり、疲れ果てたり、何か思うようにいかなかったり、色んなことがあったけれど、全部おおらかに、柔らかく包んでくれて、終わってみれば、ときに驚きもあったけれど、とても心地よい時だけが過ぎていたようだ、と気づく。

旅のパートナーとして、本当に最適だな。これからもよろしく。

Img_3931_r

さぁ、帰ろう。

次はどこに行こう?

旅は続く。こうやって、楽しく旅ができる程度の幸せ。本当に贅沢だよね。

fin

2015年6月23日 (火)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その12 カプリ島 歩く~

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カプリ島の長い防波堤の内側に船が着けられた。ポジターノからカプリ島までは25分ほどの、あっという間のクルーズだ。

こういう防波堤を歩くと、自然に海をのぞき込んでしまう。偏光グラスをかけて、魚影を探す。人が多すぎるのが難点だが、紀州釣りにはよさそうな防波堤。もちろん、船も沢山、観光客も沢山で、誰も港内向きに釣りなどしていない。港外向きもしていないが。

防波堤を人込みに紛れながら陸へ向かう。

P5051241__r港のすぐ横にあるビーチ。なかなか綺麗。考えてみると、砂浜らしい砂浜はここしか見なかったな...

P5051247__rカプリ島の全景だ。

カプリ島といえば青の洞窟なのだけれど...

今日は天気もよくて、やっぱり日頃の行いの良さだよなぁ、などと思いつつ、さて青の洞窟のツアーは...沢山、小型船が青の洞窟を宣伝しつつ係船してあるのだけれど...なんだか、今日は潮が高くて洞窟に入れないとか...なるほど、天気が良くてもダメなんだ。

なんとも、タイミングの難しい観光だなぁ。

が、まぁそんなことは実はどうでもいい。あまり固執していないので、さほど残念でもない。

ポジターノの港でも青の洞窟ツアーの看板と船、カプリに来てもそればかり。メジャーを嫌う、混雑を嫌う、というJと僕の共通のひねた価値観があって、どうでもいいや、と二人とも思っていたわけだ。

さて、では、カプリ島を楽しめるように楽しもう。旅は無理なく楽しめるように楽しむのが一番...無理なく...無理なく...なんだけどね...このあと、この旅で最大の無理(それはレンタカーかもしれないが)に晒されるなどとは、このときはまだ思ってもみなかった。

P5051248__rチケットを買って、こんな入り口を入る。

P5051542_rこんな感じのチケットで、こんな感じのゲートを通過して、

P5051254__rこんなケーブルカーに乗って、

P5051259__rこんな景色が目に入り、

P5051270__rこんなところに出る。

ここがカプリの街。カプリ島には、カプリとアナカプリという二つの街があり、カプリからアナカプリにはバスが出ている...らしいが、行ってないのでよく分らない。

しかし、極めて日本人的に考えると、こういった島、あるいは沿岸部の街は、だいたい海岸線に沿って開けているような気がするのだけれど、カプリもアナカプリも山之上。平地がないから、なのだろうけれど、少し不思議な気もする。

P5051271__rここでもワンコのお出迎えを受けつつ、少し散策。

P5051274__rカニ。

P5051275__rエビ。

P5051276__r魚。

P5051277__rタコ。

ウィンドウショッピング、という訳でもないが、いちいちアートで面白い。カプリはこういうところなんだな。

揚句、

P5051534_r魚にプチトマトを咥えさせていたり...面白い人たちだ。

何か食べたいなぁ、などと言いながら、相変わらず優柔不断気味な僕はお店を決められず(だって、ピンとこないんだもんなぁ)、ともかく、アウグスト庭園に出てみる。

かなり乱暴なことを言うと、カプリの港、マリナ グランデの位置が四国でいうと新居浜あたりで、アウグスト庭園は高知市くらいにある。

カプリ島は四国に形状が似ている。ただし、四国より愛媛が大きくて、徳島と香川が小さい。例えたら逆に訳が分からなくなるけれど、あとあと便利なので例えておこう。

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P5051307__rふと目に入ったリストランテ。雰囲気が良さそう。

なにより、テラス席から、カプリの象徴ともいえるファラリヨ-ニ(海に突き出た岩山)が見える。

P5051314__rここは、Ristorante il Geranio。

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P5051321__rこれ、小さなイカのフリット(揚げ物)なのだけれど...ちょうど日本のホタルイカのようなサイズで、これが滅茶苦茶美味い。

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いくつかいただいて、まぁ美味しいのではある。景色もいい。

しかし、騒音が...

どうして、食事中、大騒ぎして動き回って...こんなに落ち着きがないのだろう。隣国のアジア人は。周りへの気配りというのは、日本人はそれはそれで気の使い過ぎの面もあるけれど。

なんとなく気分も悪いので、店を出る。

公園を散策。

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P5051359_rマリーナピッコラに降りる九十九折の道。クルップ通り。降りてみたい気もするが、降りたら上がらないといけない。やめておく。

・・・考えてみたら、ここを降りておくくらいにすればよかったんだよな...

さて、このあとどうしよう?と考えた。

四国で言うところの室戸岬方面に、どうにも遊歩道がありそうだ。海岸線というか断崖絶壁の上を歩く感じ。距離的にいって、室戸岬を回り込んで、経常的には阿南市。位置的にはもっと南かなぁ、というところに、天然のアーチ、という景勝地があるらしい。

とりあえず、トラガナ展望台というところに行くが、ここが通常の観光客のビュースポットである、ということも知らずに、ずんずんと先へ進む。

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P5051418_rたしかに景色は素晴らしい。トレッキングモードで歩いている人もそれなりにいるが、それほど多いわけではない。

当初は、別荘かな?という建物がおしゃれに並ぶ小路を歩いている感じだったのだが、どんどん道がハードになってくる。起伏も激しい。

P5051419_r分かるだろうか?カモメではないよ。これはアルバトロス、アホウドリだ。初めて見た。

P5051421_rこんな道を延々と歩く。Jはだんだん無口になる。僕はこういう状況は結構燃えてくる。

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P5051442_rそして、Jにとってはとどめ。こんな登り階段が延々と続く。

P5051446_rこんな洞窟が途中にある。

P5051468_r洞窟を抜けても階段は続く。

P5051477_r入口にようやく到着。

ここにリストランテっぽいものがあるのだけれど、さほどおいしそうな雰囲気ではない。

ここからは、今度は海へと下る坂道が実は続いている。

Jは、ここを降りたらもう登れない、と断念。

ここまで付き合わせて、歩かせて、肝心の天然のアーチが見れないというのは申し訳ないのだけれど...

仕方なく、独りで行ってみる。

P5051481_rこれが天然のアーチだ。なかなかの景観。Jのために沢山写真を撮る。

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こんな感じにいくつか展望場所がある。ただ、近すぎて、全体感がカメラに収まらない。

坂を登り、一休みしたJと合流。

帰り道、ヴィラ ジョヴィスという宮殿跡地など近くにあったようなのだけれど、もうできるだけ歩きたくない、というJの心をくみ取って、カプリの街の方に戻る。

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白い石の歴史。そんな街並みを臨む。

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ケーブルカーに乗り、港へ。流石に疲れたので甘いものを...ジェラートをいただく。

かなりの疲弊。

カプリって、なんと疲れる島なのだろうか。

本来、見るべきところではなくて、あまり行かないようなところを見てきた、というのと、その分思い出にはなるけれど、犠牲にした体力は大きかった。

個人的にはちょっと面白かったのだけれど、Jには悪かったなぁ。

船に乗り、ポジターノへ戻る。

少し、砂浜で夕暮れの風に吹かれる。気持ちいい。

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P5061559_r何が釣れるのだろう?

P5061575_r夕方なのだけれど、まだ空は昼間だね。

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ホテルのリストランテで夕食を取る。南イタリア最後の夜が更けていく。

to be continued...

 

2015年6月17日 (水)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その11 坂の街ポジターノ~

2014年5月4日になっている。

テラスでゆったりと食事をとる。景色は本当に素晴らしい。Grand Hotel Excelsior Amalfi。

ホテルをチェックアウトし、玄関に回されたフォードに乗る。いまだ愛着が湧く、ということもないこの鈍重な車だけれど、アマルフィ海岸を走るのもこれで最後だし、少しは左ハンドルにも慣れてきているので、今日は少しは颯爽と?走れるかな?

山を降り、アマルフィの街をかすめるように抜けて、海岸線を西に向かう。このアマルフィ海岸は、はたから見ていると走って楽しそう、気持ちよさそうだが、道は狭いし、イタリアっ子の運転は荒くてどこででも追い抜きを掛けてくるし、車はドン臭くて走らないし、左ハンドルだとやっぱり運転もエッチラオッチラだし、海側の景色は石積みのガードレール?でほとんど見えないし...正直なところ、まったく心地よくない。

ちょっとフライングするけれど、この南イタリア編を書き終わったら、1年の時間を飛んで、2015年のゴールデンウィークのサンフランシスコ旅行の記憶を記しておこうと思っている。

サンフランシスコでも1泊2日でレンタカーを借りたのだけれど、こちらは車は面白いし、道は広いし、運転していても景色がいいし...ドライブはアメリカ西海岸の方が楽しいなぁ、と心底思った...

ともかく、若干スムーズになった運転で、本来なら小一時間程度の距離のはずのドライブだったのだけれど...

トンネルを抜けたあたりで、また渋滞。これもまったく動かない。先の渋滞は少しずつ動いていたけれど、今度の渋滞はまったく進まない。

30分くらい待っただろうか。それでも動かないし、イタリア人のドライバーや同乗者は車を降りて、様子を見に行っている。

僕もJを車に残して、様子を見に行ってみる。

言葉ができれば、帰ってきている人に「どうなってるの?」と聞けるのだけれど、それができない僕としては、とりあえず小走りに渋滞の先頭を目指していってみる。

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ちょっと海側を覗いてみたら、こんな感じ。こういう崖の上の道を走っている訳だ。

さて、どうにも、警察が車を止めているようだ。あとで分かったのだけれど、祭りがあったようで、そのパレード?というほど大掛かりではないけれど、日本の地方都市で子供神輿が出るようなお祭り?そんなものだったのかな。それで交通整理が入っていたらしい。

この交通量が多くて、かつ抜け道のない道路。そんなに長いこと止めるなよな~

と、旅人の僕としては思ってしまう。

渋滞の先頭あたりを見ていると、なんだか、車を動かしそうな気配が見えてきた。

慌てて走って車に戻る。

やれやれ...

ようやく走り始める。

あれ?この日はお昼をどうしたんだっけ?かなり疲労困憊だった記憶はあるのだけれど...

記憶は、ポジターノの狭く、またグネグネとした急な坂を海の方に下っているところに飛んでいる。食べなかったのかな?

ホテルに着いたのはいいのだけれど、そんな狭い曲がりくねった道の脇にひっそりとホテルの入り口がある。車、どうしたらいいんだろう...

どうやら、ここで車を預ければいいらしい。スーツケースを降ろして、鍵を渡す。

このポジターノは本当にほぼ平地がない。崖に建物がへばりついているような状態だ。なので、駐車場なんて、そんなスペースを都合よくホテルの近くに作ることはできないのだろう。

そうか。石の街であるイタリアの都市は、古い歴史をそれぞれが持っている。

馬車が走りやすいように石畳にしているのだろうし、石積みの建物は時間を超えていく。つまり、簡単に建物を撤去して、アスファルトで道を広げる、といったことが難しいのだろうし、石に歴史を宿して生きているヨーロッパでは、古いものを壊す、という考え方も少ないのだろう。だから、自動車社会のいま、これほど走りにくいし、不便なんだろうな。

都市と都市を結ぶ高速道路網は、一方で車社会であるヨーロッパを象徴しているけれど、こんな風に、便利と不便、古代と近代を同居させている文化は、やはり日本とは違うし、きっとアメリカとも違うのだろう。

・・・これもよいね。割と好きかも。こういうの。

P5051148__rHotel Villa Franca。立地ゆえにコンパクトな部屋だけれど、雰囲気はいい。

だがコンパクト過ぎて、スーツケースを二つ開くのに少々苦労する。

P5051161__rなんだかんだで、移動だけですでに黄昏時を迎えようとしている。部屋の窓からの風景。

P5051168__rホテルのリストランテ。

さて、晩御飯を...

ポジターノの街に降りれば、美味しいお店は沢山あるらしい。歩いて降りることもできるらしい。

歩いてみる。一昨日のアマルフィの山下り、昨日のラヴェッロの散策で疲労している足は少々嫌がっているが、これまた、降り始めてみると、なかなか下に着かない。バスにすればよかった...

Img_3802_r結局、夜はこんなところで過ごした。

地元のリストランテ、という感じで、気さくかついい加減そうなイタリアンな店員に案内され、少し寒い思いをしながら、道路わきの外席で過ごす。雰囲気は悪くない。味も上品ではないけれど悪くない。

バスを待って、ホテルに戻る。

翌朝、少し早目に起きる。

P5051169__rポジターノの朝。

バスでポジターノの街へ降りる。

今日はカプリ島へ行く予定だ。

P5051180__r船のチケットをどこで買ったらよいのか?さっぱり分からない。

チャーター船のチケット売り場も沢山あるし(カプリの青の洞窟のツアーなど)、しばらくウロウロして、ようやくチケット売り場を把握し、購入。

P5051182__rここだった。

船を待つ間、しばしそのあたりをウロウロしながらくつろぐ。

P5051183__r絵になる街だなぁ。

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P5051210__r君は何を思うのかな?

船が来た。

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さて、カプリに行こう。

...to be continued...

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その10 天空の街ラヴェッロ~

P5040923__r天空の街 ラヴェッロ。

アマルフィの街から車だと20~30分というところだろうか。

印象としては、もっと時間がかかったような気がする。ホテルから海岸通りまで坂を下りて、海岸線をサレルノ方面に少し戻る。海岸線からこれこそ九十九折と言えるようなヘアピンカーブをいくつか越えて、急激に高度を稼ぐ。ああ、そういえばそこそこ車が走っていたから、結構時間が掛かったんだったな。どこも道は狭い。

ここは車で来るしかないから(観光バスは別として)、駐車場は結構ある様子。朝も早めに出てきたから、割と街の近くの駐車場に停めることができた。

車を置いて、階段を登る。

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ドゥォーモ(大聖堂前)の前の広場。お土産物屋やオープンカフェ。少し落ち着いた雰囲気だ。

織田裕二のアマルフィでは、アマルフィとの実際の距離は無視されて、この街でのロケもされている。

まずは、兎にも角にも目的地を目指す。Villa Cimbrone(ヴィラ チンブローネ)。天空の庭園だ。

大聖堂前の石畳の広場から、石畳の細い路地を上がったり下がったり。進んでいく。

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P5040888__r入り口だ。

すべて石。11世紀から栄えている街。10世紀分の時間がそこに宿って、まだ生きて、時の流れを刻み続けている。これがヨーロッパ。木と紙の文化である日本との違い。どちらが良いとか、そういう話ではなくて、ただただ、それは圧倒されるし、やはり美しい。

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P5040935__r冒頭の写真。ラヴェッロの代表的なカットの一つだと思う。

天空の庭園からアマルフィを見下ろす。

P5040951__r真下をみるとこんな感じ。結構怖い。

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そして空と海。ただただ圧倒される。まさに無限のテラス。

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離れ難い気持ちを抑えて、広い庭園を歩く。

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ちょっと一休み。

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昼食はJが是非行ってみたかった場所で取ることにしている。アマルフィのホテルから昼食の予約は入れてある。ランチでも結構気合の入った値段設定であるのは当然であるが、フラッと行ったのでは入れない可能性が高いため、予約はしておいた方がいい。

ヴィラ チンブローネ。この庭園は、実はホテル ヴィラ チンブローネのお庭であって、このホテルはラヴェッロでは最高級の5つ星ホテルで、11世紀の建物を改装して使っているらしい。

ここはリストランテだけの利用ができるのだ。

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Img_3799_r高いだけあって美味しいのか、高いお金を出しているから美味しく感じるのか?

まぁともかく美味しい。

そして何より、素晴らしい雰囲気。

P5041000__r宿泊客専用のプライベートガーデン、プールもある。

絵に描いたようなお金持ちそうな(よくイタリアンマフィアのドンがプールサイドで悪巧みしているような)人たちが、絵に描いたように過ごしている。

食後のカプチーノをいただいた後、お店の人に庭に出てもいいか?と恐る恐る聞いてみると、気さくに許してくれた。

庭に降りると、絵に描いたような人たちは決してマフィアではなくて、気のいいお金持ちのようで、笑いかけてくれている。挨拶して、庭を探索する。

P5041006__rプールの後ろがリストランテだ。さっきまでそこでランチを食べていた。

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今度ラヴェッロに来た時は、少し無理してここに泊まろうか?

そんな話をJとしながら、標高350mに吹きあげてくる優しい地中海の風に吹かれる。そんな幸せ。

大聖堂に戻る。P5041040__r

P5041061__r櫓?を支えるライオン達。すべて表情が違う。

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大聖堂を出て、少し街を歩く。

路地に僕はいる。上を見ると...

P5041050__r猫に見下ろされる。どこに行っても、猫ってゆったりと、優雅に見える。

天空の街の石塀の上で君は何を思うのかな?

P5041090__r青空に花々が映える。

P5051095__rそんな空や花や猫を見ながら、ぼーっとした時間を過ごしていたわけは、Jがこの店にこもってしまったから。

焼きもの好き、陶器好きのJは、こういうお店には目がない。じっくり時間を掛けて選んで、購入。そして日本へ発送。自由自在だなぁ。

P5051119__r青い人が浅い池に横たわっている...

P5051108__rこんな前衛的なアートと、1200年代の石積みの建物が混在する庭園。こちらはヴィラ・ルーフォロ。チンブローネと並ぶラヴェッロの庭園。

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チンブローネの方がゆったりとしていて、好きかな。

とてもよい風と時間の中で過ごせる。素敵なところ。天空の街。また来たいね。

しかし、とにかく歩き回っているので、さすがに疲れてきた。

・・・そろそろ帰ろうか。アマルフィへ。

明日はアマルフィを離れ、アマルフィ海岸を西へ。小さな港町、ポジターノへ入る。

そして、明後日は船でカプリ島へ。

この旅もそろそろ終盤だ。

...to be continued...

 

2015年5月24日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その9 アマルフィ~

アマルフィ。

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美しい海岸線から立ち上がる急な山肌にへばりつくように家々が建ち、檸檬などのかんきつ畑がやはり急な山肌に広がる。

どうにも違和感がない。気持ちが馴染む。

ああ、そうか。瀬戸内の風景と似ているんだ。

僕が生まれ育ったのは、広島県は尾道市。海沿いではなかったけれど、家にはみかん畑もあったし、釣りに行くのに自転車を漕いで向島にフェリーで渡り、山を乗り越えて走ると、周りはみかん畑や八朔などのその他の柑橘の畑が広がっていた。

広島県は広島市中心部のデルタを除くと平地がほとんど無いところで、家も畑も山肌にへばりついている。

穏やかな地中海と相まって、とても似た雰囲気を感じた。

さて、このイタリア編のブログを書き始めて何か月になるのだろう。

少なくとも、これは2014年のゴールデンウィークの話で、実は、2015年、今年のゴールデンウィークはサンフランシスコ界隈に行ってきたりもしていて、その前にバリ島にも行ったりしていて、とっても今更な感じがしながら、久しぶりにペン...いや、キーボードに触っているところ。始めたことは収束させねば...

記憶も薄れてきてはいるのだけれど、逆に、鮮明に記憶に残っていることだけにセレクトされてきているともいえるから、そんなレベルで少し駆け足で残りを紡いでみたい。

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眺めの良いテラスで朝食を食べ、とりあえずアマルフィの街に降りてみることにする。

聞くと、小路

をひたすら下っていくと、歩いて街に行けるらしい。では、行ってみよう。

降り始めるとすぐに、作業用のモノレール...みかん畑を知っている人は知っているかも知れないけれど、みかんを畑から降ろすためのものがあって、それを乗用に変えたようなもの...があった。

下からおじさんと子供があがってきた。あ、これ、使っていいのかな?と思って、乗ってボタンを押してみる。

お、動いた!

道沿いにゆっくりと下っていくのだが...あれ?人の家の敷地に入ってしまった!

と思ったら、家の中から人が出てきて怒られた...どうも個人的に敷設しているようだ。けど、この小路、個人所有の道じゃないよね??それを一部占有しているような気もするのだけれど...

まぁ、なんて言って怒っているのか僕には分からないので、とりあえず謝る。

P5030564_rこんな感じの小路をひたすら降りる。景色はいい。

しかし遠い...J、へばり気味。

下の方に来ると、生活道、という雰囲気になってくる。はためく洗濯物。いかにもイタリアらしい建物。これはこれで楽しい。体力のある人にはおすすめするが、少なくとも僕は登る気にはならんな。

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降りたところから海に向かって突堤が伸びている。アマルフィの街を見る。

振り返る。

P5030638_r_2ここを降りてきたんだな。ほとんど崖だよなぁ。

P5030659_r街に向かって歩く。

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P5030668_r大聖堂。

P5030671_r人、多い。

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P5030741_r豪華絢爛。美しい天井画、モザイク、彫刻。

宗教がこれほど華美であれば、そこにはお金の匂いが感じられるけれど、そういう余裕があればこそ発展する芸術もあるのだろうから、何が正しいとか間違いとか、そいう話ではないような気がする。

その時代の香りと感じられるこの石の街は、やはり素敵な場所だと思う。

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なんだかイタリアっぽい店先。

レモンのジェラートを食べながら歩く。

急な雨。

駆け込んだ店でカプチーノとピザを食べる。

Img_3736_rデカすぎ!

とても全部食えない。

どうにも、海外旅行に来るとお腹が張って調子悪くなる傾向がある。これは時差の影響なのか、緊張(ストレス)が原因なのか、はたまた食べ物のせいなのか。だから、あまり大量の味の濃いものはちょっと食えない。

土産物屋を覗く。陶器の店を覗く。歩き疲れてくたくただけれど、そうして時間が過ぎていく。よいね。

帰りはバスに乗ろう、と思ってバス停らしきところで延々待つのだけれど、なかなかそれらしいバスが来ない。

Jはバス停近くのお土産物屋に行ってしまって、僕はバスを見張る。けれど、携帯電話が使えないから、バスが来てもJに伝えられない。でも、Jはなかなか出てこない。う~む...なんとなく、1年以上経っても記憶に残っているということは、結構イライラしてたんだな。俺。

ディナーの話はもうしたね。

さて、明日は天空の街だ。

to be continue...

2014年10月22日 (水)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その8 アマルフィのディナー~

フロントに戻って、どこか美味しいお店がないか?とJが聞いている。

教えてもらったのは、ホテルよりさらに山の上側に進んだところにある、La Carcaraというリストランテ。

そんなに気取った店ではないようだけれど、美味しいそうだ。フロントから予約してもらう。嬉しいことに送迎付き。

正直なところ、マテーラでの食事、また昼のサレルノの食事も、もう、辛い...という状況。イタリアンってこんなもんじゃないだろう?と思ってしまう。野菜などフレッシュな素材にほとんど出会っていない。

さてさて、どんなもんだろうか。

迎えの車が来て、これに乗り込む。・・・速い...俺の運転とはエライ違いだな。

5分ほど走っただろうか?もう少しかな?La Carcaraに到着。

店内に入ると、本当に気取らない食堂、という雰囲気のお店。店員は優しげで雰囲気がいい。落ち着くな。席に案内されて少し待つと...

Img_3698_rでーん!!

来た来た!これだよな。見るからに新鮮そうな、美味しそうな魚。

真鯛?スズキ、チヌっぽい魚も。

どれか選んで料理してもらう、というスタイルなんだな。こっちは。

おすすめの魚を聞くと、真鯛?のような魚を勧められた。料理の仕方もおすすめに従う。

Img_3700_rもう料理の名前もチーズの名前も忘れたけれど、生ハムとなんとかチーズがかけられたサラダだな。新鮮な野菜、久しぶり。野菜をみて嬉しくなるなんて...

Img_3701_rこのパスタ、こいつがまた美味い。ようやくあっさりとしたロングパスタに出会えた。

誰が何と言おうが、僕はパスタはロングが好きだ。ペンネやニョッキやファルファッレはいらん。

それに、ソースもペペロンチーノでいい。

Img_3702_r真鯛?はこんな感じ。なんていう??アクアパッツアでいいのかな?

Img_3703_rサラダも追加。

気取った味ではないけれど、香りもよく、胃が喜ぶような味だ。

最後は自家製ティラミスでしめる。

Img_3704_rこれにJがワインを2杯かな?くらいのんで、70ユーロ 1万円くらい。

あまり日本と変わらないか、少し高いかな、という感じだろうか。イタリアは物価が高い。

さて、少し飛んで、翌日のディナーの話もしてしまう。

今度はもう少し高い、割と有名なリストランテらしい。

DA CICCIO CIELO MAREE TERRA。海辺のリストランテだ。

ホテルで予約してもらって、ロビーで迎えの車を待つ。

今度の車も、陽気なイタリア人ドライバーは、飛ばす飛ばす。峠のワインディングロード的な道を、藤原拓海よろしく、ダウンヒルだ...いやいや、うそうそ、ドリフトはしない(頭文字D知らない人は分からないか)。

完全に海岸線に降り、サレルノとは反対方向に進む。

前夜に比べると、明らかにかなり洒落た店だ。

Img_3754_r

Img_3745_rなんて料理か覚えていないが、ムール貝、タコ、ハマグリ的なものなど。美味しかった。

Img_3746_rこの店でこれは外せない。硝酸紙で包み蒸ししたスバゲッティーニ。これは無茶苦茶美味い。

Img_3750_r何の魚だったか忘れたが、上品な白身魚に檸檬ソースが掛かっている。これも美味い。

Img_3758_rサービスで出してくれたリモンチェロ。当然、僕は舐めるだけ。

Img_3757_rデザート。

さすが本場のイタリアン。南イタリアの料理はこうでなくては。

100ユーロ 1万5千円くらいかかったので、決して安くはないけれど、ここはおすすめのお店だ。トリップアドバイザーでも高評価されている。

ちなみに、僕がワインを飲まないからこれくらいの費用になっている。二人が飲んでたら2万円は超えてるかもね。

しかし、料理というのは、よほど印象に残ったものでないと、時間が経つと記憶が薄れてくる。これだけは早く書かないとだめだなぁ、と思った。ほら、この文章から、あまり美味しそう!って雰囲気、伝わらないでしょ?

でも、両店とも、おすすめです。

to be continue...

2014年9月21日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その7 アマルフィ海岸。その渋滞。~

サレルノの海岸線の道路からすぐに出ることができる護岸では、釣り糸を垂れている人がちらほらいる。そんなに真剣に釣りをしているような雰囲気ではなく、なんとなく、日本でもちょっと気軽に釣りをしている方たちを護岸や防波堤で見かけるけれど、そんな感じ。

あ、真剣に...というのは表現悪いな。スタイルはそれぞれ自由。10万円の竿使っていようが、5000円の竿使っていようが、それはその人の楽しみ方だから、真剣とか真剣じゃないとか、そういう問題ではない。

僕らのようなマニアっぽい釣り師の方が、実は妙な思い込みに捉われて、楽しみ方を減らしているのかも知れない。

Img_3690_r人に迷惑を掛けず、ゴミを捨てず、楽しめれば、それはたぶん一番心地よい釣りなのだろうと、今は思う。

さて、サレルノを出れば、間もなく起伏と九十九折。海沿いの崖の上をひたすら走る、アマルフィ海岸沿いの道路に入る。

日本で地磯で釣りをしていると、こういう道は結構通るのだけれど、何しろ距離が長い。ひたすら同じような道が続き、しかも車幅は狭いし、トロトロ走っていると、まったく先の見えないコーナーで後ろから追い抜かれるし、前からも平気で反対車線、つまりは僕の目の前にはみ出して追い抜きを掛ける車がいるし...で、これがまた大変。

織田裕二のアマルフィの映画では、この道を心地よく駆け抜けていくシーンが記憶に残っているが、走っている本人は海を見ている訳にもいかないし、ひたすらに次から次にやってくるきついコーナーを、まったくトルクのないドン臭い車で抜けていくしかない訳で...本人的にはまったく心地よくはない。

しかし、距離が長い、とはいっても、サレルノからアマルフィまでは25kmほど。25kmこの道を走るというと気が遠くなるが、遠すぎる距離ではない。1時間も走れば着く距離なのだが...

アマルフィ海岸SS163道路は、渋滞する。混むのだ。観光案内にも混む、書いてある。これはほんとだ。観光バスもどんどん入ってきて、どんどん混む。あの映画は美化し過ぎだと思う。

しばらくは、ほどほどに車がいる状態で、先述したような状況ではあるけれど、淡々と距離を稼いでいた。

ところが...だ。

いくつかの街。その海岸通りを抜け、崖の上を走る。

...と、少し海岸から離れて街の中へ入る。道なりだから仕方がない。

あとで地図を見てみると、ここはMINORIという街だったようだ。何故だか知らないが、いきなり90度、山手方向に道が曲がり、180度Uターンして、また海岸方向に出る、という、しかもそのUターンする地点までの距離が無意味に長い、という、意味不明な道路の形状?になっている。しかもしかも、そのUターンポイントが交差点になっていて、もう無茶苦茶。

とにかく渋滞でまったく車が動かない。最初は事故でもあったのか?と思ったけれど、そうではなかった。小一時間、ここでつかまる。

ようやくここを抜けて、心地よく走っていると、ふと海側に、なんだかすごい建物が目に入る。

P5020443_rおそらくは相当古い建物なのだろうけれど、岩場、磯場の景観と馴染んで、圧倒的な雰囲気を醸し出している。

車を停めて、ちょっと近づいてみる。

どうにもリストランテとして営業しているようだ。

P5020446_r階段を降りると入り口がある。

P5020450_r階段の上に足が見えているが、これはJ。

物怖じをしないJは、食事をするわけでもないのに、「ちょっと中を見せてもらっていい?」と聞いて、それで「いいよ!」という返事をもらってくる。

小心者の僕には、本当にありがたいパートナーだ。

P5020451_r当然ながら、圧倒的に見晴らしのいい、素晴らしいリストランテ。

時間が取れたら、ここでディナーしてもいいね、などと言いながら、結局、併設のカフェでカプチーノを...飲むこともなく、お礼をいってここを出る。

しかし、本当に石が伝える歴史は、そのまま後世に伝えられていて、普通に使われている。凄いなぁ。ヨーロッパは。

そしてとうとう...

Img_3696_r

アマルフィだ。

1時間で着くと思ったら、3~4時間かかってしまった。

最後の渋滞。アマルフィの街中だ。

バスの駐車場かな?その山手側に、これまた石積みの建物?道路の上にアーチが掛かっているような形になって、そこの下を抜ける山へ登る道がある。

この手前で交通整理のおじさんにさんざん停められて、ようやく坂を登り始める。

この日宿泊するホテルは、Grand Hotel Excelsior Amalfi。

ホテルサッシからはグレードアップして、4つ星のホテルだ。

アマルフィはほとんど平地がないため、急峻な山肌にへばりつくようにしてホテルが建てられている。このホテルもそんなホテルのようだ。

しばらく走って、ようやくホテルに到着する。

そんな地形なので、駐車スペースも極めて狭い。

とりあえず、ホテルの入り口前(ロータリーなんてものはない)に車を停め、ホテルの人たちに荷物を預け、車の鍵も預ける。

ふぅ...今日も何事もなく運転を終えられてよかったよ、ほんと。

P5040808_rチェックインはJにお任せ。

完了したら、部屋に案内される。どうも本館?ではないようだ。

本館内のエレベータで下に降りて(ロビーはホテルの一番上にあって、部屋は下の崖沿いにへばりついている)、本館から海側に抜けて右手方向に進むと、石積みのエレベータがある(エレベータが石積みではなくて、外壁がね)。写真に写っているのは、誰か知らないが、これは別の宿泊客。

ガタビシいってるエレベータで下に降りると、客室の建物の入り口がある。

P5040815_r_2ここを入ってすぐ、ようやく僕らの部屋だ。

P5030454_r広くはないが、綺麗な部屋。

ホテルサッシが特殊だったから、なんだか、少しホッとする。

P5030466_rもう、夕暮れ迫るアマルフィの街をホテルの窓から見下ろす。

ふぅ。着いた。

飯、食いにいかなきゃなぁ...

何か、フレッシュなものが食べたいのだけれど、さてさてアマルフィの食事は??

to be continue...

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その6 サレルノ~

マテーラ サッシを出て、ひたすら西へ向かう。

この日は一気にアマルフィまで移動する。車の運転もかなり慣れては来ているが、未だ時折ウィンカーを出すつもりでワイパーを動かしたり、慣れない左ハンドル右シフトにまごつき、また右に寄らないように気を使いながらの運転であることには変わりはなく、疲れることが朝から想定できそうな日だ。でも、いよいよマテーラだ。わくわくする。

例によってWi-Fiの電池を気にしながら、iphoneのGoogleマップ頼りの移動。

高速道路に乗り、potenzaを過ぎる。あの、タイヤのpotenzaなのかな?

こうして南イタリアの道路をひたすら走っていると、どうにも、都市(というか街)が山の上、岩山の上と言った方がいいだろうか?そんな高いところにあるのに気づく。

特に水の便を考えると、間違いなく不便なような気がするのだけれど、何故なんだろう?

やはり、過去、戦争が繰り広げられていたころ、攻め込まれにくく、敵を把握しやすい場所に街を作ったのだろうか。

歴史が今を形作っているのだよなあ、などと考えつつ、ひた走っていたのだけれど...

どうにも、途中で道を間違えたようだ。何故だか知らないけれど、南へ進んでいるような気がする。

iphoneのGoogleマップもGPSだけを頼りに位置表示しているため(通常はWi-Fiや携帯基地局の位置で補完されていると思う)、まったく見当違いな位置を表示していたり、何分も自分の位置が変わらなかったりするため、これには往生している。

仕方なく、一旦高速を降りて、Uターンする。ただでさえ疲れる移動なので、こういうロスは結構つらい。

そんなこんなで、アマルフィ海岸に入る手前の街、サレルノが近づいてきた。

サッシからサレルノまでだいたい200km。ここから先、アマルフィ海岸は道もぐっと狭くなり、蛇行してくる。

サレルノで昼食、それと、サレルノ大聖堂くらい見てみようかな。

サレルノ。イタリアの都市は交通が大変。渋滞だらけだし、道が狭いうえに路駐だらけだし、お世辞にも交通マナーがいいとは言えないし...

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また、街中に入ると駐車場が少なく、また、駐車場には車があふれている。

道路わきのパーキングスペースへは車間距離ぎちぎちで縦列駐車されているが、こんなところにどうやって車を入れ、また出すのか???想像もつかないような停め方がされていたりする。とても俺には無理だぞ...

サレルノの海岸通り近くをグルグル回り、ようやく、落ち着いた駐車場を見つける。

さて、と。

車は停めた。

しかし...この機械、どう使うんだ??

つまり、駐車券の発券機って、日本でもありますよね。あれ。

でも、まったく使い方が分からない。

ふと見ると、おつりが残ってる。

イタリア、サレルノの駐車場の発券機でおつりのコインを僕が見つける可能性、確率...そんなことを考えると、なんだかとても貴重で、幸運な気がした。

なので、この1ユーロコインは財布に入れておいた。

それはそれとして...つまり結局どうしたらいいのか分からなくて困っていたら、僕らの後ろか感じのいいイタリア人がやってきた。

「お先にどうぞ」と話かけたわけではなくて態度で示すと、サクサクっとお金を入れて、駐車券を出している。

Jに目で合図して、どうやって使うのか、聞いてもらう。

まぁ、当然にそんなに複雑な操作が必用なわけではなくて、お金を入れて、ここを押す、的なところではあったのだけれど。

ともかく、車は停めた。

飯を食おう。

しかし、車の運転、特にサレルノの市街地に入ってからの運転は緊張しっぱなしで、そのせいか全く食欲がない。どちらかというと、お腹が張って、食べたいという気にすらならない。

でも、やっぱり食べておかないとな。

適当に駐車場近くの店を選んで、よく分らないながらに注文する。

Img_3682_r

Img_3683_rこんな店で、こんなショートパスタ。

かぼちゃっぽいソースかかっていたように記憶しているが、食欲がないので、ちょっとしつこく、重くて、あまり進まない。

もう少しフレッシュなものが食べたい。パスタもあっさりした、できればロングパスタが食べたい(ロングパスタのメニューがイタリアはどうにもきわめて少ない)。

スプライトが美味しい。そんな記憶だけが残っている。

サレルノ大聖堂を目指して、Wi-Fiとiphone頼りに歩くが、まったくまともに位置表示してくれない。やはり左右に迫る石積みの建物のせいか?

そんなに遠くないはずなのだけれど...

Img_3684_rやもすると、少し怖いような薄暗い路地もある。周りは外人しかいない...当たり前だけど。

かなり歩き回って、ようやく到着。

P5020346_rサレルノのドゥオモ(大聖堂)

閑散としているし、それほどのものには見えない。

しかし、近づいてみると、柱の彫刻や、棺のようなものの彫刻も非常に凝っていて、やはり凄い。

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P5020363_r石の文化は、歴史を今に伝える。木の文化の国から来ると、それを痛感する。

中に入ってみる。

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P5020419_rただただ、美しい。

とくに天井画には見惚れてしまう。さすがイタリア。日本の文化とは明らかに違う、きらびやかな、それでいて静謐な、そんな空気。

写真の下から4枚はすべて地下のクリプトの写真。聖マタイのお墓がある。

日本でも、古い歴史をもつ神社は結構好きだ。

その場所のシンとした空気。その場所がもつ空気感、見えないけれど何かしらの力がそこにはあって、心を押し付けて、それでいて苦しくなくて、清々しい。八百万の神という日本の神様。お社を包む木々に宿る、そんな力のような気もするし、そのお社自体にもそれを感じる。

まったく見た目は違うけれど、クリプトには同じような空気がある。いや、ちょっと違うか?

この石、それと芸術で囲まれた空間には、人々が祈った、その祈りが染みついているのかな?

少しだけ、疲れも取れた気がする。

さぁ、行こうか。アマルフィへ。

to be continue...

2014年8月31日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その5 サッシを出る~

旅の記憶を文字に綴っている途中だったのだけれど、友達、兄貴分の一人が逝ってしまって、文章を書く気にならない...そんな日々がしばらく続いた。

人生というのは、いつどうなるか分からない。明日がある、と漠然に信じているけれど、そこに確証はあり得ない。もやもやとした気持ちを抱えて、そのまま死んでいくという人生もあるのだけれど、もし、そのもやもやが何かの選択の結果生じたのだと考えてしまったなら、別の選択はした方がいいのかも知れない。

それによって周りを傷つけることもあるから、何が正しいとか間違っているとか、そんなことを言っているのではなくて、少しでも納得感のある道を歩いてみたいというただの我儘。

人はただ生まれて、ただ死んでいくだけ。そこに意味を見出すことはそもそもあり得ない。けれど、人はそこに意味を見出そうと考える唯一の生き物なのだとすれば、少しでも、今より納得感のある人生を過ごせるよう、選択肢があるなら、そこから目を背けず、よく考えて、選択して、実行すべきなのだろうな、と思う。

人の死は、自分の人生を見つめてみるために、故人が与えてくれる機会なのかも知れない。

ニュージーランド、南イタリア、バリ。来年のGWはアメリカ本土に行ってみようかなと思って、計画も始めようとしている。こういうことが考えて実行できる人生も、3年前くらいまでは想像していなかった。

もちろん、もっと昔、釣りを始めたころは、南紀や秋田に釣りに行くことなんかも考えられなかったのだけれど。

変わっていこう。

それから、先月7月末、また人生の転機を迎えた。

2度目の結婚。バリでこぢんまりと、とても素晴らしい式をあげた。

そんなこともあって、イタリア旅行記もすっかり頭の中から遠ざかってしまって、さてさてどうしたものか?と悩んでしまっているところなのだけれど、書きかけたので、心の中にずっと引っかかってしまっていて、これをすっきりさせるには続きを書くしかないかな、と思って、筆を...いや、キーボードを叩くことにした。いつものようにたくさん書くのはしんどいので、少しずつ書くことにしよう。

さて、どこまで書いたっけ?

アルベロベッロから帰ろうとしたところか。

・・・来た道をサッシに向かって進む。相変わらず、南イタリアの原野に草が風にたなびいている。風景を思い出す。イタリアに行ってきたんだなぁ。

疲れを感じつつ、サッシに向かって山を登り、市街地に入る。結構車が多い。狭い道を抜けて、サッシに降りる交差点に差し掛かると、警官に誘導されて、サッシに降りる急な下り坂方面へは入れてくれない。

どうにも、サッシ地区に観光客が車で流れ込むのを阻止しているようだ。

しかし、入れてくくれないと、当然ながらとっても困る。

Jに警官に説明してもらうと、それなら、とサッシへ誘導してくれ始めた...のはいいのだけれど、こちらはすでに交差点を行き過ぎていて、交差点は車が詰まっている。その詰まった車の間をバックして、切り返して、それでサッシへ降りる道に入れ、という。

何度も言うが、左ハンドルで非常に疲れるのだ。バックは。それにもうそもそもクタクタなのだ。などと泣き言いっても始まらないので、頑張る。

そんなこんなで、今日もクタクタになりながら、なんとか車を停めて、石の階段を登って、ホテルの部屋に戻る。うう...疲れた...

正直なところあまり食欲はないのだけれど、そうも言ってられない。一番目立つところにあって、そんなに高くなくて、そこそこの評価、ということで、この日はBACCUSという店に入った。

Img_3665_r

ひたすら疲れていて、まったく食欲がないのだけれど、がんばって食べる。

しかし野菜がない。フレッシュなものが食べたい。どうも、このエリアは食事はちょっとしんどいな。

このお店。陽気なおじさんが一人で料理も給仕もする、というスタイルで、雰囲気は悪くなかったのだけれど、これだけ時間が経つと、まったく料理の印象を覚えていない、という感じの味?だった。

P5020313_rサッシの夜が更けていく。なんだか幻想的だ。

部屋に戻り、WIFIその他の充電を確実にしておく。明日はいよいよアマルフィに向かって出発だ。そうなると、WIFIとiphoneが命綱になる。

P5020336_r

翌朝。さすがイタリア、という事件?が起こる。

Jにチェックアウトを任せて、僕は車を移動させて、荷物を積み込んでおくことにする。

しかし、いつまで経ってもJが降りてこない。

う~ん...と思いつつ、そのあたりの写真を改めて撮ったりしつつ時間を過ごす。

30分ほどして、ようやく帰ってきた。

どうしたの?と聞くと、パスポートがない、とかフロントで言われたらしい。

無いはずはないだろう、と延々と言い合って、何度も探させたが見つからず、そこの引き出しは見たのか?と言うと、そこには入れてない、と言う。

結局、その引き出しにパスポートが入っていたとのことなのだけれど、客から預かったもっとも大事なものの一つであるパスポートが見つからなくなるって...ほんと、イタリアだよなぁ。そもそも預からなきゃいいだろうに...

海外旅行歴はたいしてないのだけれど、今まで、パスポートはチェックされるけれど、預かられたことはなかったのだけれど、ヨーロッパは基本的に預かられるのかな?

パスポート預けてしまうと、たとえば街中で警官とかに職務質問などされると、身分を証明するものが出せなくなるんじゃないかと思うのだけれど...

そんなこんなで、南イタリアの前半、世界遺産サッシ、そしてアルベロベッロの旅を終えた。

アマルフィに向けて出発だ。

...to be continue

2014年6月 8日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その4 世界遺産アルベロベッロ トゥルッリ~

サッシの夜が明けた。

P5010149_r

ホテルのフロントの横にある朝食スペースに向かう。

ここで...我々には解決しないといけない問題が一つあった。それは...そう、バッファローモッツアレラ。食べなくてはいけない。今はまだホテルの冷蔵庫に入れている。

食べるとなると、やはりパンや...できればトマトなど欲しいところ。

こっそり?と、朝食場所へ持っていく。

朝食は日本風にいえばバイキング...つまりビュッフェだ。これはホテルはどこもそうみたい。日本の旅館の朝食のような個別提供はあまり海外ではないのかな?

パン類、ピザなどが並んでいる。あとはシロップ漬けのイチゴ。どうにも野菜がない。昨夜のリストランテでも野菜がほとんどなかった。せめてトマトくらいあればいいのに...

カプチーノを頼んで、パンとイチゴをもって席に戻る。ピザもとったが、冷えていて美味しくない。

Img_3642_r

空の皿を持ってきて、モッツアレラを切れないナイフでとりあえず真っ二つに。

しかし、デカい。

Img_3644_r2さらに取り分けて、食べる。すごくあっさりしていて、かなりしっか噛みごたえがある。チーズだ、と言われなければ、チーズという感じがしない。あまり普段チーズを食べないからかも知れないが、まったくしつこさのないこの味は好感持てるのだが...なにぶん量が多すぎる。

二人で頑張って半分食べたが、もういいや、という感じ。せめてトマトがあればなぁ。

朝のサッシを散歩する。

P5010166_r

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P5010180_rカタツムリの多い国で、カタツムリモチーフの置き物なども見かける。そういえば、最近あまり日本ではカタツムリを見なくなったな。

P5010181_rちょっとしたところに、こんな壁画や像がある。

P5010182_rしゃれた門塀の上で鳩が見下ろす。

P5010203_rお土産物屋にあったサッシ全景のミニチュア。人もいる。これは圧巻。素晴らしかった。ここで自分用の記念のお土産にサッシの石灰岩で作った置き物を買った。

さて、出かけよう。また車だ。

今日はサッシからアルベロベッロへの日帰り旅行を計画している。

アルベロベッロにはトゥルッリという石組みの家の群集地域があり、ここも世界遺産に登録されている。世界遺産に泊まり、世界遺産を見に行く。

Img_3656_rイタリアの原野を東へ走る。アルベロベッロまではサッシから約70㎞の道のりだ。Googleマップの出番だ。

ドキドキしながらサッシを出て、マテーラからアドリア海方面へひた走る。

紅の豚のシーンを思い出す。低く飛んでアドリア海へ抜けろ...とか、そんなセリフがなかっただろうか?風にたなびく草が茂る原野。岩が見え隠れする。こんな平原の上をポルコロッソは飛んでなかったか?イタリアだなぁ。

道は、ところどころ不安になるような、畑の中の少し細い道を抜けたり、自動車専用道路のようなところを走ったり、道路工事をしているところでは、びっくりするような細いところを抜けさせられたりしながらも、市中を走ることに比べれば、路上駐車はないし、車も少ないので、比較的楽に走れている。不安だったロータリー交差点もGoogleマップが「ロータリー2番目の出口です」などと案内してくれるので、問題ない。

ところどころ、トルッロ(トゥルッリは複数形とのこと)が道の脇の畑の中や、塀の中に見え始めた。間もなくアルベロベッロだ。

Googleマップの案内通りに走っていると、まさにトゥルッリの中に誘導された。駐車スペースはいくらかあるが、すでに埋まっている。道も細い。ウロウロしているだけで疲れてしまう。周りのトゥルッリの景観もまったく集中できない。

本当にイタリアの街中は走りにくい。古い街だから、自動車が前提になっていないんだろうな。

一旦トゥルッリを抜けて、来た道を少し戻り、大きなバスの駐車場の脇に車を停める。明らかに駐車違反だが...まぁ大丈夫かな?と考える。少し迷いつつ、一旦はトゥルッリに向けて歩き始めたのだけれど、やっぱり不安。

すると、大きな駐車場が目に入った。不安は解消しよう。

車をとりに戻り、有料駐車場に入れる。未舗装の空き地のようなところ。一応誘導員が何人かいるのだけれど、まったくもってお...日本のシルバー人材の方々の誘導の方が相当に優れている。要領が悪い。ほんと、不思議な国民性だ。

なんとか車を停めて、トゥルッリに向かう。

P5010209_r雨だ。晴れ男と言われる僕なのだけれど、今回の旅は全体的に天気が優れなかった。

が、

P5010239_rほら、ちゃんと晴れた。

やはり、真っ白なトゥルッリの壁は青空に映える。

トゥルッリは石組みの家で、そのとんがり帽子の屋根が特徴的だ。

P5010210_r家の中から天井を見上げるとこんな感じ。石を組み上げて作られている。

この屋根は、地主の税金対策だったそうだ。視察があれば、屋根を壊して、ここは家ではない、と主張して、それが終わればまた石を組み上げて屋根を作る。非常にご苦労な話だ。小作人はここでも苦労していたんだな。サッシも、トゥルッリも、世界遺産として今は観光客があふれているけれど、決して幸福な時代を生きた街ではない。少し複雑な気分にもなる。

このトゥルッリは、実際に今も生活している人がいる。

その一人に日本人がいる。陽子の店、と、入り口に書かれたお土産物屋がそれだ。

Jに「楊枝の店があるぞ」と言ったら、「陽子でしょ。」と笑われた。確かに陽子の店だった。イタリアに楊枝の店があったら、それはそれで面白かったのだけれど。

締まっているのかな?玄関を覗いていると、扉が開いて、陽子さんが出てきた。ここは屋上があって展望がいいから、是非見ていって!とのこと。

このお店で、陽子さんの上手な口に乗ってたくさんお土産を買いこんだが(日本のバラマキお土産用)、確かにここの屋上はほかに人もおらず、落ち着いてトゥルッリの風景を見ることができた。

日本の観光客にはおすすめの場所だ。トゥルッリの内部構造(井戸もある)も見せてもらえるし、説明もしてもらえる。

陽子さんは観光でここを訪れ、イタリア人の旦那さんに求婚されて、ご結婚。それ以来こちらにお住まいとか。こんなところに日本人、というTV番組があるけれど、本当にいろんな人生があるなぁ。

ここに住み始めた後、ここが世界遺産に登録されたそうだ。登録された後だと改築もできなかった、ということで、よかった...とのこと。

P5010280_r

P5010304_r陽子の店を出て、ぶらぶらとお店など覗きながら散歩する。

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Jは布好きだ...テーブルクロスやランチョンマットなど、店を覗いて物色している。

このあたりでは、女性が家で麻の織物を作っているようだ。伝統工芸といったら一番近いかもしれない。確かに、雰囲気のある織物があちこちで販売されている。まさにお婆さんがそこで作っていたりする。

Jはテーブルクロス、ランチョンマットを購入して、いい気分になっている。英語ができるお店の方と話をしながら品を選ぶ。それは楽しいだろうな。

僕は、今度はトゥルッリのミニチュア(石でできている)を購入。この店はNHKの取材が来たんだそうだ。

遅めの昼食を...と思うが、良さそうな店は人であふれている。

パニーノ(ホットサンドウィッチのようなもの)でも簡単に食べようか、というJに頷いて、そういう店に入った。

野菜が少し食べたい。が、野菜が使われているメニューはすべて作れない、とのこと。本当に野菜のない地域だ。土地がやせているのだろう。

もさもさとしたパニーノをスプライトで流し込んで店を出る。相当歩き疲れていたので、ゆっくりと奥まった席に座れたのが救いだった。

まさに観光地を観光したような一日だったな。

さぁ、今夜までの我が家、ホテルサッシへ帰ろう。

to be continue...

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