湯のある風景~青森、春遠からじ~ その6 「ミニ白神遊歩道、マタギ飯、そして秘湯温川山荘へ」
絶景の黄金崎を後にして、しばらく走ると、釣り師心をくすぐられるような岩場が目に入った。
ちょっと立ち寄ってみる。
海の中の歩道を歩くと、自然の岩のトンネル。
ここを潜り抜けると、
よだれが出そうな磯場だ。ここ、釣り禁止なのかな?誰も竿出していないけれど。
生憎の小雨交じりの天候なのだけれど、しばし海に見惚れて、そして車に戻る。
今日の宿は、また十和田湖方面に戻り、一昨日の青荷温泉からもそうは遠くない温川山荘(ぬるかわさんそう)だ。
今回の旅で、日本秘湯を守る会の宿を2つ予約していて、温川山荘はその一つ。
基本的に温泉宿にはなるべく早く入って、日が暮れる前に露天風呂に浸かることをポリシーとしているのだけれど、さすがに少し時間がある。
観光マップとiphoneのグーグルマップとを見て、なんとか行けそうな面白そうなところを探す。
世界遺産の白神山地は近いが、あの雪を見た後で、しかもまったくそういう装備もしていない状態なのでさすがに無理だろうし...と思っていたら、ミニ白神遊歩道というのを見つけた。
ここは世界遺産登録エリアからは外れているが、原生ブナ林など、白神山地の生態系を垣間見ることができる、比較的手軽なところらしい。
ルートを変えれば通り道ともいえるところなので、ここへ向かうことにする。
山中の田舎道をひたすら走って、案内表示に従ってさらに山を登る。
・・・雪が...
これ、大丈夫なのか??
2013年5月2日。春だよなぁ。ほんと、北国の春は遅い...
とりあえず、総合案内休憩所「くろもり館」の駐車場に車を停め、施設に入ってみる。
コースは外周コースと内周コースの2コースあるが、内周コースは入山可能とのこと。どうしようかと悩んだのではあるけれど、幸い雨も止んでいるし(晴れ男なので、車から降りるとだいたい止んでいるのだけれど)、長靴も借りれるとのことなので、長靴借りて入ってみることにする。
入り口の雪はとりあえずこんな程度だし、問題ないだろう。
歩道は見えないから、赤い紐を目印にして進むように聞いたが、さてさて、どれほどのものなのか??
こんな感じ。しかし、この季節にダウンが大活躍するとはね...
森に置かれている聴診器でブナの生きている音を聞き、森の湧き壺という鮮烈な水源を感じる。そして大きなブナに、生命の爪痕に感動する。
木の根元は雪が溶け、水の流れも雪を溶かす。春は近づいているのだろうね。
このエリアも入山はちょうど今日かららしく、雪のミニ白神もこのタイミングでないと体験できなかったかも知れない。これはこれで、なかなか貴重な時間になった。
さて、お腹も空いた。実は車もお腹が空き気味なのだ。気になっていたのだけれど、まぁ大丈夫だろう、と山に入ってしまって...考えてみればこんな山中にガソリンスタンドはないし、ここから岩木山の麓というか中腹というか...を抜ける鰺ヶ沢街道を登らないといけない。
まぁ悩んでもいまさら仕方ないし、距離と推定ガソリン残量からだけ考えると、弘前に抜けるまで大丈夫なはず。
岩木山への登山道脇を過ぎたあたり、嶽温泉がある。ここはマタギ飯というのが有名なようだ。
ちょっと通り過ぎてしまったのだけれど、ガソリン残量を気にしながら引き返して、その名もマタギ亭に立ち寄る。
温泉地なので、駐車場あたりを流れる溝からも湯気が立ち上っている。立ち寄り湯に浸かる選択肢もあるのだけれど、まぁ今回は温泉三昧なので(不老不死温泉で朝湯もしてるし)やめることにする。
出てくるまでに相当待たされて、出てきてからも炊き上がるまでさらに待って...と、1時間ほど待たされる。つまり腹が減っているところで気が遠くなるほど待たされて、ようやく食事にありついた。
キジ肉、マイタケなどの釜めしだね。
なるほど、確かに美味しい。ただ、こうして記憶を辿りながら文字を連ねている夏の日にその味の記憶を思い出せるほど、鮮烈なおいしさではなかったかな。
また近くでお昼を食べるなら行ってみてもいいかな、という感じだろうか。
さて、思った以上に時間をつぶして、あらためて出発。ここからはほぼ下り坂なので、ガソリンの消費量も抑えられるだろう。
弘前に近づくと、ガソリンスタンドも目に入ってきた。ほっと一息。
弘前城の脇を抜ける。
最後の一日、もう一度弘前城に立ち寄るつもりなので、少し期待が高まる。
まさに鄙びた温泉宿。少々鄙びすぎているかな...好みの分かれるところ。
玄関から入って右手の扉を外へ出ると秘湯を守る会の提灯。階段を降りると露天風呂、藤助の湯ぅっこへ。
入り口は男女分かれていて、脱衣場も分かれているのだけれど、湯船は一つ。
混浴だ。
不老不死温泉もそうだったのだけれど、東北は混浴の温泉が多い。それは別にいいのだけれど、慣れないんだよね。
こういう秘湯っぽい場所だと、温泉好きの女性は混浴に入ってくる。それもいいのだけれど、慣れない。つまり、視線のやり場に気を遣う。
別に見たいとか見たくないとか、そういうつもりもないのだけれど、不自然なまでに視線を逸らそうとしてしまうから、結構疲れる。景色を見まわしながらゆったりと露天風呂で過ごすのが好きな僕としては少々窮屈。これはまぁ僕の都合なんだけれど。
ここでは、しばらく誰も入ってこなかったので、存分にお湯を楽しんだ。
少し熱めのお湯。無色透明。結構いいお湯だ。
しばらくすると、カップルが入ってきた。う~む。なんかめんどくさい。
仕方ないので一旦出る。
間をおいて、再び露天風呂に行ってみると、まだいる。立ち寄りの方のようなのだけれど、東屋に荷物を置いて、出たり入ったりしているようだ。
内風呂はヒノキ造り。
こちらで間をつないで、あらためて露天へ。今度は誰もいない。また落ち着いて浸かる。
温泉好きである以上、混浴にももう少し慣れないといけないな...
食事の方は、可もなく不可もなく。という感じだろうか。鄙びた温泉宿にはよく似合った、よく言えば落ち着いた、悪く言えば、ちょっと印象に残りにくい食事だった。
素朴な鄙びた温泉が好きであれば、結構はまる温泉かも知れない。
僕はどうか?
今となっては、翌日宿泊した蔦温泉の素晴らしさばかりが記憶に残っていて、ちょっとよく分らない。
そう、翌日の宿泊は、今回の旅では、不老不死温泉と双璧をなす楽しみな温泉。蔦温泉だ。
to be continue...
コメント