湯のある風景~青森、春遠からじ~ その8 「秘湯 蔦温泉」
蔦温泉。この旅で、宿としては一番楽しみにしていた宿だ。
温泉だけなら、不老不死温泉も楽しみだったが、ここは宿と料理と温泉、すべてが楽しみ。
玄関を開けて中に入る。
右手に番台?とは言わないのか...それじゃ銭湯か...宿の方が受付その他をいろいろやっている部屋がある。廊下がその前を右手側に伸びている。
左手にはストーブが設置された談話室のような部屋。
歴史を感じさせる、けれども清潔で落ち着く空間。
さすがに人気の高い宿だけのことはあるな。
本館へと続く長い階段。
本館は本館で歴史を感じさせる、非常に雰囲気のある空間。
ただ、今回は本館ではなく、鉄筋コンクリートで比較的新しい西館へ部屋をとった。
雪を眺めつつ、きちんとトイレもついて、蛍光灯もつく、落ち着いた部屋。
青荷温泉のようなところではなく、温川温泉でもなく、やっぱりこれくらいのいい部屋が落ち着く...と考えるあたり、まだまだ素人?秘湯を語る資格はないかも知れないけれど、まぁなんというか、せっかくの休みにお金を使って出かけるのだから、気持ちのいい空間で過ごせた方がいいに決まっている。そんな風に思うあたりも、歳をとったのかな。
人がいなかったので、手元にあった携帯電話のカメラでとったため、暗くてよく分らないけれど、泉響の湯だ。
ヒノキの木肌が優しい。
蔦温泉は、浴槽の底から温泉が湧き出てくる。
底には簀の子が敷いてあるが、その下から、お湯がこんこんと湧き出ている。
もう、それだけですごい。うれしい。
ポコっと泡が浮き上がってくる。あそこ...と思ったら今度は自分の真下から。
無色透明で少し熱めだが、いつまででも浸かっていたいような素晴らしいお湯。
もう一つの久安の湯。こちらの方が歴史のある湯で風情はあるが、新しい分、泉響の湯の方が落ち着くかな。
・・・どうにも、今回の旅では、青荷とか温川とか、古ぼけた(というと聞こえが悪いが)施設の宿に泊まって、特に青荷で苦労した(思った以上に気持ちも心も休まらなかった)からか、清潔でしっかりとしていて、それでいてある程度雰囲気のある設備に気持ちが惹かれるようだ。
いや、それにしても素晴らしい。なんといっても、足元からお湯が湧き出て、湯船からオーバーフローしているのだから。
お料理は部屋食でいただいた。
特に豪勢、というわけではなくて、素材自体は温川とそんなに違わないのかも知れないが、天ぷらは熱くサクサクしているし、それぞれの料理にそれぞれひと手間かけてあって、実に美味しい。
なんだか幸せな気分になってくる。
美味しい料理と素晴らしいお湯。温泉旅館の醍醐味だね。
気持ちよく夜が更ける。
ちょっとだけ、雪を心配しながら...まぁ帰れなければもう一泊...部屋、空いてないかな?
朝、雪は止んでいて、交通規制も解除されている様子。
お湯に浸かり、朝食を食べ...散策できるコースがあるようだぞ。
蔦沼。南祖の坊に片恋した蔦子姫が身を沈めたといわれる沼。
この沼をはじめ7つの沼を巡るコースだ。
長靴を借りて歩いてみようかと...だって、結構歩いてる人いたし...いやぁ、まいった。
蔦沼。このあたりは何の問題もなかった。
それどころか、ここは岩魚がつれたりするらしく、それを想像するだけでうれしくなっていた。
雪山だ。
時折、ボコっと足を取られながら次の沼を目指してあるいていく。
道が見えない。
人の歩いた跡を辿るが、なぜか消える。ズボっと沈む。
あれ?どっちから来たっけ?
・・・危うく遭難するところだった...といえば大げさだが、ほんとにどっちに帰っていいかわからなくなって、結構焦ったお散歩だった。
いつか、また来たいなぁ。
少し走りやすくなった八甲田山ろくの道を雪を眺めつつ下る。
さて、弘前。
桜はどうなった?
to be continue...
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