2014年9月21日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その6 サレルノ~

マテーラ サッシを出て、ひたすら西へ向かう。

この日は一気にアマルフィまで移動する。車の運転もかなり慣れては来ているが、未だ時折ウィンカーを出すつもりでワイパーを動かしたり、慣れない左ハンドル右シフトにまごつき、また右に寄らないように気を使いながらの運転であることには変わりはなく、疲れることが朝から想定できそうな日だ。でも、いよいよマテーラだ。わくわくする。

例によってWi-Fiの電池を気にしながら、iphoneのGoogleマップ頼りの移動。

高速道路に乗り、potenzaを過ぎる。あの、タイヤのpotenzaなのかな?

こうして南イタリアの道路をひたすら走っていると、どうにも、都市(というか街)が山の上、岩山の上と言った方がいいだろうか?そんな高いところにあるのに気づく。

特に水の便を考えると、間違いなく不便なような気がするのだけれど、何故なんだろう?

やはり、過去、戦争が繰り広げられていたころ、攻め込まれにくく、敵を把握しやすい場所に街を作ったのだろうか。

歴史が今を形作っているのだよなあ、などと考えつつ、ひた走っていたのだけれど...

どうにも、途中で道を間違えたようだ。何故だか知らないけれど、南へ進んでいるような気がする。

iphoneのGoogleマップもGPSだけを頼りに位置表示しているため(通常はWi-Fiや携帯基地局の位置で補完されていると思う)、まったく見当違いな位置を表示していたり、何分も自分の位置が変わらなかったりするため、これには往生している。

仕方なく、一旦高速を降りて、Uターンする。ただでさえ疲れる移動なので、こういうロスは結構つらい。

そんなこんなで、アマルフィ海岸に入る手前の街、サレルノが近づいてきた。

サッシからサレルノまでだいたい200km。ここから先、アマルフィ海岸は道もぐっと狭くなり、蛇行してくる。

サレルノで昼食、それと、サレルノ大聖堂くらい見てみようかな。

サレルノ。イタリアの都市は交通が大変。渋滞だらけだし、道が狭いうえに路駐だらけだし、お世辞にも交通マナーがいいとは言えないし...

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また、街中に入ると駐車場が少なく、また、駐車場には車があふれている。

道路わきのパーキングスペースへは車間距離ぎちぎちで縦列駐車されているが、こんなところにどうやって車を入れ、また出すのか???想像もつかないような停め方がされていたりする。とても俺には無理だぞ...

サレルノの海岸通り近くをグルグル回り、ようやく、落ち着いた駐車場を見つける。

さて、と。

車は停めた。

しかし...この機械、どう使うんだ??

つまり、駐車券の発券機って、日本でもありますよね。あれ。

でも、まったく使い方が分からない。

ふと見ると、おつりが残ってる。

イタリア、サレルノの駐車場の発券機でおつりのコインを僕が見つける可能性、確率...そんなことを考えると、なんだかとても貴重で、幸運な気がした。

なので、この1ユーロコインは財布に入れておいた。

それはそれとして...つまり結局どうしたらいいのか分からなくて困っていたら、僕らの後ろか感じのいいイタリア人がやってきた。

「お先にどうぞ」と話かけたわけではなくて態度で示すと、サクサクっとお金を入れて、駐車券を出している。

Jに目で合図して、どうやって使うのか、聞いてもらう。

まぁ、当然にそんなに複雑な操作が必用なわけではなくて、お金を入れて、ここを押す、的なところではあったのだけれど。

ともかく、車は停めた。

飯を食おう。

しかし、車の運転、特にサレルノの市街地に入ってからの運転は緊張しっぱなしで、そのせいか全く食欲がない。どちらかというと、お腹が張って、食べたいという気にすらならない。

でも、やっぱり食べておかないとな。

適当に駐車場近くの店を選んで、よく分らないながらに注文する。

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Img_3683_rこんな店で、こんなショートパスタ。

かぼちゃっぽいソースかかっていたように記憶しているが、食欲がないので、ちょっとしつこく、重くて、あまり進まない。

もう少しフレッシュなものが食べたい。パスタもあっさりした、できればロングパスタが食べたい(ロングパスタのメニューがイタリアはどうにもきわめて少ない)。

スプライトが美味しい。そんな記憶だけが残っている。

サレルノ大聖堂を目指して、Wi-Fiとiphone頼りに歩くが、まったくまともに位置表示してくれない。やはり左右に迫る石積みの建物のせいか?

そんなに遠くないはずなのだけれど...

Img_3684_rやもすると、少し怖いような薄暗い路地もある。周りは外人しかいない...当たり前だけど。

かなり歩き回って、ようやく到着。

P5020346_rサレルノのドゥオモ(大聖堂)

閑散としているし、それほどのものには見えない。

しかし、近づいてみると、柱の彫刻や、棺のようなものの彫刻も非常に凝っていて、やはり凄い。

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P5020363_r石の文化は、歴史を今に伝える。木の文化の国から来ると、それを痛感する。

中に入ってみる。

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P5020419_rただただ、美しい。

とくに天井画には見惚れてしまう。さすがイタリア。日本の文化とは明らかに違う、きらびやかな、それでいて静謐な、そんな空気。

写真の下から4枚はすべて地下のクリプトの写真。聖マタイのお墓がある。

日本でも、古い歴史をもつ神社は結構好きだ。

その場所のシンとした空気。その場所がもつ空気感、見えないけれど何かしらの力がそこにはあって、心を押し付けて、それでいて苦しくなくて、清々しい。八百万の神という日本の神様。お社を包む木々に宿る、そんな力のような気もするし、そのお社自体にもそれを感じる。

まったく見た目は違うけれど、クリプトには同じような空気がある。いや、ちょっと違うか?

この石、それと芸術で囲まれた空間には、人々が祈った、その祈りが染みついているのかな?

少しだけ、疲れも取れた気がする。

さぁ、行こうか。アマルフィへ。

to be continue...

2014年8月31日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その5 サッシを出る~

旅の記憶を文字に綴っている途中だったのだけれど、友達、兄貴分の一人が逝ってしまって、文章を書く気にならない...そんな日々がしばらく続いた。

人生というのは、いつどうなるか分からない。明日がある、と漠然に信じているけれど、そこに確証はあり得ない。もやもやとした気持ちを抱えて、そのまま死んでいくという人生もあるのだけれど、もし、そのもやもやが何かの選択の結果生じたのだと考えてしまったなら、別の選択はした方がいいのかも知れない。

それによって周りを傷つけることもあるから、何が正しいとか間違っているとか、そんなことを言っているのではなくて、少しでも納得感のある道を歩いてみたいというただの我儘。

人はただ生まれて、ただ死んでいくだけ。そこに意味を見出すことはそもそもあり得ない。けれど、人はそこに意味を見出そうと考える唯一の生き物なのだとすれば、少しでも、今より納得感のある人生を過ごせるよう、選択肢があるなら、そこから目を背けず、よく考えて、選択して、実行すべきなのだろうな、と思う。

人の死は、自分の人生を見つめてみるために、故人が与えてくれる機会なのかも知れない。

ニュージーランド、南イタリア、バリ。来年のGWはアメリカ本土に行ってみようかなと思って、計画も始めようとしている。こういうことが考えて実行できる人生も、3年前くらいまでは想像していなかった。

もちろん、もっと昔、釣りを始めたころは、南紀や秋田に釣りに行くことなんかも考えられなかったのだけれど。

変わっていこう。

それから、先月7月末、また人生の転機を迎えた。

2度目の結婚。バリでこぢんまりと、とても素晴らしい式をあげた。

そんなこともあって、イタリア旅行記もすっかり頭の中から遠ざかってしまって、さてさてどうしたものか?と悩んでしまっているところなのだけれど、書きかけたので、心の中にずっと引っかかってしまっていて、これをすっきりさせるには続きを書くしかないかな、と思って、筆を...いや、キーボードを叩くことにした。いつものようにたくさん書くのはしんどいので、少しずつ書くことにしよう。

さて、どこまで書いたっけ?

アルベロベッロから帰ろうとしたところか。

・・・来た道をサッシに向かって進む。相変わらず、南イタリアの原野に草が風にたなびいている。風景を思い出す。イタリアに行ってきたんだなぁ。

疲れを感じつつ、サッシに向かって山を登り、市街地に入る。結構車が多い。狭い道を抜けて、サッシに降りる交差点に差し掛かると、警官に誘導されて、サッシに降りる急な下り坂方面へは入れてくれない。

どうにも、サッシ地区に観光客が車で流れ込むのを阻止しているようだ。

しかし、入れてくくれないと、当然ながらとっても困る。

Jに警官に説明してもらうと、それなら、とサッシへ誘導してくれ始めた...のはいいのだけれど、こちらはすでに交差点を行き過ぎていて、交差点は車が詰まっている。その詰まった車の間をバックして、切り返して、それでサッシへ降りる道に入れ、という。

何度も言うが、左ハンドルで非常に疲れるのだ。バックは。それにもうそもそもクタクタなのだ。などと泣き言いっても始まらないので、頑張る。

そんなこんなで、今日もクタクタになりながら、なんとか車を停めて、石の階段を登って、ホテルの部屋に戻る。うう...疲れた...

正直なところあまり食欲はないのだけれど、そうも言ってられない。一番目立つところにあって、そんなに高くなくて、そこそこの評価、ということで、この日はBACCUSという店に入った。

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ひたすら疲れていて、まったく食欲がないのだけれど、がんばって食べる。

しかし野菜がない。フレッシュなものが食べたい。どうも、このエリアは食事はちょっとしんどいな。

このお店。陽気なおじさんが一人で料理も給仕もする、というスタイルで、雰囲気は悪くなかったのだけれど、これだけ時間が経つと、まったく料理の印象を覚えていない、という感じの味?だった。

P5020313_rサッシの夜が更けていく。なんだか幻想的だ。

部屋に戻り、WIFIその他の充電を確実にしておく。明日はいよいよアマルフィに向かって出発だ。そうなると、WIFIとiphoneが命綱になる。

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翌朝。さすがイタリア、という事件?が起こる。

Jにチェックアウトを任せて、僕は車を移動させて、荷物を積み込んでおくことにする。

しかし、いつまで経ってもJが降りてこない。

う~ん...と思いつつ、そのあたりの写真を改めて撮ったりしつつ時間を過ごす。

30分ほどして、ようやく帰ってきた。

どうしたの?と聞くと、パスポートがない、とかフロントで言われたらしい。

無いはずはないだろう、と延々と言い合って、何度も探させたが見つからず、そこの引き出しは見たのか?と言うと、そこには入れてない、と言う。

結局、その引き出しにパスポートが入っていたとのことなのだけれど、客から預かったもっとも大事なものの一つであるパスポートが見つからなくなるって...ほんと、イタリアだよなぁ。そもそも預からなきゃいいだろうに...

海外旅行歴はたいしてないのだけれど、今まで、パスポートはチェックされるけれど、預かられたことはなかったのだけれど、ヨーロッパは基本的に預かられるのかな?

パスポート預けてしまうと、たとえば街中で警官とかに職務質問などされると、身分を証明するものが出せなくなるんじゃないかと思うのだけれど...

そんなこんなで、南イタリアの前半、世界遺産サッシ、そしてアルベロベッロの旅を終えた。

アマルフィに向けて出発だ。

...to be continue

2014年6月 8日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その4 世界遺産アルベロベッロ トゥルッリ~

サッシの夜が明けた。

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ホテルのフロントの横にある朝食スペースに向かう。

ここで...我々には解決しないといけない問題が一つあった。それは...そう、バッファローモッツアレラ。食べなくてはいけない。今はまだホテルの冷蔵庫に入れている。

食べるとなると、やはりパンや...できればトマトなど欲しいところ。

こっそり?と、朝食場所へ持っていく。

朝食は日本風にいえばバイキング...つまりビュッフェだ。これはホテルはどこもそうみたい。日本の旅館の朝食のような個別提供はあまり海外ではないのかな?

パン類、ピザなどが並んでいる。あとはシロップ漬けのイチゴ。どうにも野菜がない。昨夜のリストランテでも野菜がほとんどなかった。せめてトマトくらいあればいいのに...

カプチーノを頼んで、パンとイチゴをもって席に戻る。ピザもとったが、冷えていて美味しくない。

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空の皿を持ってきて、モッツアレラを切れないナイフでとりあえず真っ二つに。

しかし、デカい。

Img_3644_r2さらに取り分けて、食べる。すごくあっさりしていて、かなりしっか噛みごたえがある。チーズだ、と言われなければ、チーズという感じがしない。あまり普段チーズを食べないからかも知れないが、まったくしつこさのないこの味は好感持てるのだが...なにぶん量が多すぎる。

二人で頑張って半分食べたが、もういいや、という感じ。せめてトマトがあればなぁ。

朝のサッシを散歩する。

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P5010180_rカタツムリの多い国で、カタツムリモチーフの置き物なども見かける。そういえば、最近あまり日本ではカタツムリを見なくなったな。

P5010181_rちょっとしたところに、こんな壁画や像がある。

P5010182_rしゃれた門塀の上で鳩が見下ろす。

P5010203_rお土産物屋にあったサッシ全景のミニチュア。人もいる。これは圧巻。素晴らしかった。ここで自分用の記念のお土産にサッシの石灰岩で作った置き物を買った。

さて、出かけよう。また車だ。

今日はサッシからアルベロベッロへの日帰り旅行を計画している。

アルベロベッロにはトゥルッリという石組みの家の群集地域があり、ここも世界遺産に登録されている。世界遺産に泊まり、世界遺産を見に行く。

Img_3656_rイタリアの原野を東へ走る。アルベロベッロまではサッシから約70㎞の道のりだ。Googleマップの出番だ。

ドキドキしながらサッシを出て、マテーラからアドリア海方面へひた走る。

紅の豚のシーンを思い出す。低く飛んでアドリア海へ抜けろ...とか、そんなセリフがなかっただろうか?風にたなびく草が茂る原野。岩が見え隠れする。こんな平原の上をポルコロッソは飛んでなかったか?イタリアだなぁ。

道は、ところどころ不安になるような、畑の中の少し細い道を抜けたり、自動車専用道路のようなところを走ったり、道路工事をしているところでは、びっくりするような細いところを抜けさせられたりしながらも、市中を走ることに比べれば、路上駐車はないし、車も少ないので、比較的楽に走れている。不安だったロータリー交差点もGoogleマップが「ロータリー2番目の出口です」などと案内してくれるので、問題ない。

ところどころ、トルッロ(トゥルッリは複数形とのこと)が道の脇の畑の中や、塀の中に見え始めた。間もなくアルベロベッロだ。

Googleマップの案内通りに走っていると、まさにトゥルッリの中に誘導された。駐車スペースはいくらかあるが、すでに埋まっている。道も細い。ウロウロしているだけで疲れてしまう。周りのトゥルッリの景観もまったく集中できない。

本当にイタリアの街中は走りにくい。古い街だから、自動車が前提になっていないんだろうな。

一旦トゥルッリを抜けて、来た道を少し戻り、大きなバスの駐車場の脇に車を停める。明らかに駐車違反だが...まぁ大丈夫かな?と考える。少し迷いつつ、一旦はトゥルッリに向けて歩き始めたのだけれど、やっぱり不安。

すると、大きな駐車場が目に入った。不安は解消しよう。

車をとりに戻り、有料駐車場に入れる。未舗装の空き地のようなところ。一応誘導員が何人かいるのだけれど、まったくもってお...日本のシルバー人材の方々の誘導の方が相当に優れている。要領が悪い。ほんと、不思議な国民性だ。

なんとか車を停めて、トゥルッリに向かう。

P5010209_r雨だ。晴れ男と言われる僕なのだけれど、今回の旅は全体的に天気が優れなかった。

が、

P5010239_rほら、ちゃんと晴れた。

やはり、真っ白なトゥルッリの壁は青空に映える。

トゥルッリは石組みの家で、そのとんがり帽子の屋根が特徴的だ。

P5010210_r家の中から天井を見上げるとこんな感じ。石を組み上げて作られている。

この屋根は、地主の税金対策だったそうだ。視察があれば、屋根を壊して、ここは家ではない、と主張して、それが終わればまた石を組み上げて屋根を作る。非常にご苦労な話だ。小作人はここでも苦労していたんだな。サッシも、トゥルッリも、世界遺産として今は観光客があふれているけれど、決して幸福な時代を生きた街ではない。少し複雑な気分にもなる。

このトゥルッリは、実際に今も生活している人がいる。

その一人に日本人がいる。陽子の店、と、入り口に書かれたお土産物屋がそれだ。

Jに「楊枝の店があるぞ」と言ったら、「陽子でしょ。」と笑われた。確かに陽子の店だった。イタリアに楊枝の店があったら、それはそれで面白かったのだけれど。

締まっているのかな?玄関を覗いていると、扉が開いて、陽子さんが出てきた。ここは屋上があって展望がいいから、是非見ていって!とのこと。

このお店で、陽子さんの上手な口に乗ってたくさんお土産を買いこんだが(日本のバラマキお土産用)、確かにここの屋上はほかに人もおらず、落ち着いてトゥルッリの風景を見ることができた。

日本の観光客にはおすすめの場所だ。トゥルッリの内部構造(井戸もある)も見せてもらえるし、説明もしてもらえる。

陽子さんは観光でここを訪れ、イタリア人の旦那さんに求婚されて、ご結婚。それ以来こちらにお住まいとか。こんなところに日本人、というTV番組があるけれど、本当にいろんな人生があるなぁ。

ここに住み始めた後、ここが世界遺産に登録されたそうだ。登録された後だと改築もできなかった、ということで、よかった...とのこと。

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P5010304_r陽子の店を出て、ぶらぶらとお店など覗きながら散歩する。

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Jは布好きだ...テーブルクロスやランチョンマットなど、店を覗いて物色している。

このあたりでは、女性が家で麻の織物を作っているようだ。伝統工芸といったら一番近いかもしれない。確かに、雰囲気のある織物があちこちで販売されている。まさにお婆さんがそこで作っていたりする。

Jはテーブルクロス、ランチョンマットを購入して、いい気分になっている。英語ができるお店の方と話をしながら品を選ぶ。それは楽しいだろうな。

僕は、今度はトゥルッリのミニチュア(石でできている)を購入。この店はNHKの取材が来たんだそうだ。

遅めの昼食を...と思うが、良さそうな店は人であふれている。

パニーノ(ホットサンドウィッチのようなもの)でも簡単に食べようか、というJに頷いて、そういう店に入った。

野菜が少し食べたい。が、野菜が使われているメニューはすべて作れない、とのこと。本当に野菜のない地域だ。土地がやせているのだろう。

もさもさとしたパニーノをスプライトで流し込んで店を出る。相当歩き疲れていたので、ゆっくりと奥まった席に座れたのが救いだった。

まさに観光地を観光したような一日だったな。

さぁ、今夜までの我が家、ホテルサッシへ帰ろう。

to be continue...

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2014年6月 4日 (水)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その3 石の街 サッシ 事件~

Google Mapを頼りに、ここ、というところを山手に曲がっていく。

なんとなく、ここを登っていけば、そのまま世界遺産 サッシ(sassi)に入っていくのだろう。なぜなら世界遺産なのだから。それはもうダーん!という感じのはずだ。

・・・こういう感覚は日本だけなのか?ほら、世界遺産に登録されたら、周辺が世界遺産フィーバーに湧きまくるじゃない?石見銀山とかもそうだし。アクセスもいろいろ考えられたりするよね。日本だと。

いやはや、坂を登りきったあたりから、普通に街。というか普通の街。

普通といってもイタリアの街なので、狭い道路に路上駐車がずら~っと。

ちなみに、イタリアでは日本のパーキングチケット的な駐車可能エリアがあるのだけれど、それが必ずしも広い道ではなかったりするし、そういうエリアでなくても路上駐車がびっしり、というのがかなり一般的なようだ。

ここまで、すでに250~260kmほど走っており、朝の事故、行く方は楽とはいいながらも、時差による睡眠不足、何より緊張しっぱなしの運転での疲労もピークに達してきている訳だけれど、その状態でこれは...というような道だ。

もっとも、これがこのあたりでは普通なのではあるけれど、まともに街の中を走るのがここにきて初めてだったため、その緊張感は計り知れない。Jだって、朝のことがあるから、右に寄ってしまうことについて、やはり神経を使っているようだ。

Googleマップの指示に従いつつ、道を間違え、やり直し、狭い交差点を90度以下の角度で曲がり下り坂に入る...と...

P5010119_r突然現れたのは、斜面を覆う古びた石とも岩ともつかぬ...けれどそれは確かに家がひしめき合っている。

確かに、イタリアは古い街がそのまま残っているので、石造り、レンガ造りの家が多いのだけれど、ここは少し様相が違う。

その風景に見惚れて、思わず道路を右寄りに走って...前から車が来て驚く。いかんいかん。

石畳の道路を下っていく。サッシは谷の左右の斜面に街が広がっていて、一番谷の底には道路がある。ここまで到着した。

さて、ホテルはどこ?Googleマップはホテルらしきところを指しているが、右も左も同じような風景で、ホテルがどこか、さっぱりわからない。

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とりあえず、ホテルらしきところが見えるまで、緩やかな登りの道を進んでみる。

つまりは、上の真ん中の写真の真ん中の道だ。

すると、だ。どんどん道が細くなる。いや、確かに上から車は降りてきているから、上に何かがあるはず。道が抜けているのか?駐車場でもあるのか?

しかし、路上駐車の車をよけて進むと、切り返したくなるような細い道だ。

くどいが、進むほど道が細くなる。

僕は釣り師で、かつ地磯師なので、ときどきこういう経験をする。

あのあたりの磯に出たい。そうするとこの道を進めば良さそうだ、と進んでいくと、だんだん道が細くなって、揚句行き止まりになり、長い距離、バックで戻らないといけない羽目になったりするわけだ。長距離をバックするのは、結構しんどい。別にバックするのが苦手という訳ではないけれど、あまり長い距離を進んでいると、首は痛くなるし、気分が悪くなってくる。

さて、このフォード。左ハンドルという事実は僕に車の運転の自由度をかなり奪っていて、しかも無駄にでっぷりとしている。

これ以上進んで、あとでこの両脇を石の壁に挟まれた道をバックして...しかも道は微妙に曲がっているし...引き返すのは、想像するだけで気分が悪くなる。

戻ろう。まずは車を停めて、ホテルが本当にこの上にあるのか?確認してみよう。

しかし、細い道をそこそこ進んでいる。バックするしかない。う~む...

ちょっと想像してみてほしい。両脇は石の壁(家)だ。道は緩やかに円弧を描いている。しかも路上駐車がある。怪訝な顔でこちらを見ている人がいる。

左ハンドルの車でバックするのが、これほど感覚が違うとは思わなかった。

どうにも思うように車が操れず、壁に寄ってしまう。こりゃいかん、と、ちょっと前に出て、少しハンドルを切って、慎重に下がる。

こんなにドキドキしながら運転しているのに、左に路上駐車があるところで、右にトラックをとめて作業しているバカ...あ、失礼。この時点での僕の価値観です...がいる。もう涙目になりそうだ。

どうにも車幅的に抜けられない。どうしてもドアミラーどうしが当たってしまいそう。仕方なく、窓をあけてドアミラーを倒し(電動格納ミラーじゃなかった)、右側のドアミラーがトラックに当たらないよう注意しながら、ギリギリ抜ける。ボディを当てないように、車全体をそこから抜く。

Jは感心していた。褒めてくれた。それはいいが...疲れた。

一台だけ車を停めれるスペースを発見したので、最後の力を振り絞って、そこにバックで車を入れる。やれやれ。

しかし、ここに車を停めていいのかどうかが分からない。

二人して車を離れるのも心配なので、Jにホテルを探してきてもらうことにした。車を停める場所も聞いてきてもらう。

Jは、先ほど立ち往生しかかった道を登っていく。雨に濡れた石畳の道は滑りやすいので気を付けて...

その間、周辺を散策する。

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なんとも雰囲気のある街だ。

ちなみにこのサッシは、決して明るい歴史を抱えている街ではない。

サッシとは、石とか岩を表す言葉らしい。イスラム勢力に追われた修道僧がもう8世紀には隠れ住んでいたとか。その後、小作農家が住んでいたが、人口増加により衛生状態が悪くなり、たくさんの死者を出し、結果、この街は捨てられ、廃墟となった。

写真では、きちんとした石造りの家に見えるが、これは前面側だけで、家の中に入れば、そこは石灰岩の浸食によりできた洞窟だ。洞窟であるため、暑さ寒さには強いのだろうけれど、採光性が悪い。もともと住居として設定されている家は光が中まで届くようだが、人口増はこれ以外の洞窟にも人を住まわせ、それが衛生状態の悪化につながったとのこと。

廃墟となったこの街が、文化的資産価値を認められ、世界遺産に登録された。かつての廃墟は一大観光地となったわけだ。(一部Wikipediaで後日調べ)

今日泊まろうとしているホテルサッシは、まさにその洞窟住居に泊まることができる、この世界遺産の中にある唯一のホテルらしい。

それにしても帰ってこない。

30分以上は待っていたと思う。

ようやく、あれ?と思う方向からJが現れた。

なんでも、思った方向にホテルはなくて、あちこちで訪ねて、随分探し回って、ようやくホテルを見つけたそうだ。ホテルはあの道の上ではなくて、今車を停めているところから少し下ったあたりから、この道に直角に上がっている石の階段の上にあるらしい。

P5010091_r2つまり、この階段の上だ。

ホテル、っていうからには、車寄せくらいあるのかと思ったら、イタリアはだいたいそういう常識は通用しないようだ。そもそも平地がないから、なのか?

スーツケース。でっかいの2つ。この階段を持ってあがれということのようで...

車を停めているところは、居住者?用か何からしく、ここは停めてはダメとのこと。路上駐車スペースを見つけて停めるか、少し下った街の外れに空き地的な駐車できる場所があるから、そこに停めろ、とのこと。

サービス悪いなぁ...

ともかく、石畳なので、普通の道の上もスーツケースはごろごろとスムーズには動かない。一旦、階段の下あたりに無理やり車を停めて(ちょっとだけなので許してね)、スーツケースを2つ。ほら、俺は男だからね。それを抱えてえっちらおっちらと階段を登る。休憩。登る。

すると、唐突に道のわきの扉を指して、Jが、ここ、という。

周辺の住居やらなにやらわからないが、そういうのとまったく違わず、小道の脇にある普通の扉だ。

ホテルというと、ロビーがあって、そこを通って部屋に行く、というようなイメージを持ってしまうが、ここはこういう昔の洞窟住居をホテルの部屋として改装して、そのまま提供しているようだ。

いかめしい鍵で、いかめしい扉を開けて中に入ってみる。

P5010094_rこんな部屋だ。

壁はそのほとんどが石灰岩の地肌だ。感動。すごいな、これは。

ひとしきり部屋の中を見て、触って回って、とりあえず車をちゃんと駐車しに戻る。

大した距離ではなかった。少し下ったところに舗装もされていない少し広いスペースがあり、車が何台か停められている。

車を停める。

正面眼下には、深い谷が刻まれていて、その底辺に川の流れがある。谷の反対側の頂付近には、山賊でも住んでいそうな、もっと荒々しい洞窟住居が見える。あそこは廃墟なのだろう。

P5010069_r来た道を戻り、部屋に着く。

チェックインの際、パスポートをフロントに預けないといけなかったらしく、僕のパスポートがまだ出せていないので、パスポートをもってJと二人でフロントに向かう。といっても、外の細い道をさらに少し登り、ようやく、ホテルサッシの看板と出会う。

P5010115_rこの門を抜けて、階段を降りると、そこがフロントだ。

P5010118_r雰囲気、いいね。

P5010126_rパスポートを預ける、というのだけれど、普通コピーとったりするだけじゃないのかなぁ、と思ったりする。

預けてしまうと、滞在中はパスポートを持っていない状態になるわけだから、外国人観光客としては不安だ。しかもいい加減な...らしい...イタリア人だし。

ともかく、パスポートを渡し、Jは周辺のおすすめのレストランの場所を聞いている。

フロントのお姉さんはベジタリアンらしいが、一応、ここと、ここと...と進めてくれるお店のうち一つに決めて、フロントから予約を入れてもらう。

部屋に戻る。

ふぅ、疲れた。

インパクトがあって面白い部屋だが、やはり暗いし、通気性が悪く、少し埃っぽく、湿っぽい気がする。

そんなに高いホテルではないのでやむを得ない。

きちんとしたホテルに泊まりたい場合には、あまりお勧めしない。サッシの上のあたりには、三ツ星、四つ星のりっぱなホテルがあるので、そちらの方がいいかも。ただ洞窟住居はこのホテルサッシでしか体験できない。

利便性がよい、とはいえないけれど、なかなかいい経験ができたと思っている。

それにしても、イタリア...だけじゃないな...海外のコンセントって、どうしてこうもいい加減なのだろう?日本では、どんな古いホテルや旅館でも、コンセントにプラグを差せば電気は来る。今回の場合、Wi-Fiとiphoneの充電は最優先事項だ。

3か所ほどコンセントがあるのだけれど、普通に差しても電気が来ない。

しかも、差し込みがゆるゆるで、差しても抜けてくる。イタリアのプラグ形状は2本ピン。日本のような平たい向かい合う2枚の板ではなくて、丸い2本のピンが日本のプラグの板の幅より広い幅で立っている感じだ(伝わるかな?)

プラグ変換コネクタを使って差すのだけれど、どうにも落ち着かない。なんとかだましだまし、プラグの下に台を置いて抜けないようにしながら、2か所では充電が開始できた。

さて、食事に行こう。

ホテルとは谷の反対側の斜面にあるらしい。OSTERIA PICOという店だ。

少し周辺を散歩しながら、レストランに向かう。

Jがホテルを探しながらさまよった道を歩く。結構遠くまで..一番上まで歩いたんだなぁ。上に行くと、お土産物屋などが並んでいて、普通の小さな観光地のような雰囲気だ。大聖堂もある。広場がある。

雨の後なので、石畳が少し滑る。気を付けて...

レストラン方向に下る。その事件が近づいてくる。

なだらかな下り坂を進む。レストランの方向にいくには、その道から谷の下に向かう細い階段を降りていくと近そうだ。その階段を降りると途中、石をくりぬいたようなアーチ、いやトンネルを抜ける感じだ。

雨の後なので...

さて、少し調子に乗った僕は(だいたい調子に乗るとろくなことがない)、この階段とトンネルを歩いて降りる様子をiphoneの動画で撮影しようと、左手にミラーレス一眼カメラを、右手にiphoneを持って撮影しながら降りていた。

そう、勘のいい方はもうお分かりですね。

このiphoneの動画は、永久保存版になります。ここでお見せできないのが残念。滅茶苦茶臨場感あふれる映像となっています。

階段をおり、踊場にあるレストランの前を通って、再び階段。トンネルになっているので薄暗い。足元は濡れている。

急に映像が躍り、暗転する。暗い天井が映っている。「きゃ!」というJの声が入っている。レストランから飛び出てきたおじさんの声も。大丈夫、と見栄を張る僕の声も。

つまり、すべって尻餅をついた。

お尻を強打。左手、つまりカメラを持っていた手は肘を強打。そして小指から血が滴っている。ここも打撲だ。動かしてみる。動く。ただしびれて感覚がない。

カメラは?背面の液晶画面がグシャっとなっている...が、よく見ると、これは表面の保護フィルムがグシャっとなっているだけで、液晶自体、またカメラ本体にも奇跡的に傷がついていない。つまり、小指でカメラをガードしたんだな。

このあとカメラが使えないとなると、かなりもったいない。折角のイタリアだ。

ちょっとほっとして、電源を入れてみる。電源は入るが画面は真っ暗。げ...壊れた??

ともかく、お尻は痛いし、肘も痛い。

これを書いているのは6月4日。この事件は4月30日だから、すでに1ヶ月以上経っているのだけれど、実はまだ左肘をテーブルについたりすると、イテッっというくらい痛い。かなり収まっては来たけれど、相当ひどい打撲だったようだ。

レストランに、できるだけ何食わぬ顔で入り、トイレで負傷した左の小指を洗う。

血は止まってきた。こちらは大したことはなさそうだ。

しかし、病院に行かないといけないようなことにならなくて、本当によかった。

ここでの食事は...正直あまり覚えていない。ショートパスタを食べたと思う。そのほかいろいろ食べたはず。iphoneにはここの食事の写真もあって、何か説明を聞いたし、何か美味しかったものもあったような気がするけれど...

それにしても、振り返ってみると、なんともドン臭く、また、なんとも奇跡的(に大きな問題にまでは発展しなかった)な、そしてなんとも事件だらけの一日だったのだろう。

狭すぎる、窮屈すぎるバススペースで、あちこち身体をぶつけながらシャワーを浴びる。

そうして、サッシの遅い夜は更けていく。事件は事件を呼ぶ。これだけいろいろあって、それでも悲観的な気分にならず、また大事に至らなかったのは、陽気な雰囲気を崩さなかったJのお蔭かも知れないね。

明日は平和でありますように...

to be continue...

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2014年5月23日 (金)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その2 水牛 そしてレンタカーの悲劇その2~

CASEIFICIO。

いや、ここまでの道のりもなかなか...高速をおりてから一般道を走ってきた訳だけれど、相変わらず曲がる意思表示のためにワイパーを動かす、という...いや、必ず間違えるだけだけれど。ほんと、ワイパーとウィンカーのレバーまで反対についていなくてもよさそうなものだけれど...

ふと...GPSを見ると、バッテリの残量がほぼない。

ここまで、なんとかGPSを頼りに、時折ミスリードされつつも走ってきたのだ。

目を疑った。

バッテリの残量がない、ったって、電源はソケットから取っているはず。さては、きちんとはまっていない?

Jが差しなおしたり、ぐりぐり回してみているが、充電されない。

おいおい...

ともかく、水牛モッツアレラの工場CASEIFICIO近くまでたどり着いた。入り口を一旦通り過ぎてしまい、ちょっと戻ってようやく到着。

ふぅ...

駐車場に車を停めて、エンジンを切る。どっと疲れが寄せてくる。

GPS問題はとりあえず置いておいて、水牛モッツアレラのショップに行ってみる。

P4300012_rJが英語で話しかけている。

以下、想像だ。

「バッファローモッツアレラ、あるんですか?」

ちなみに、ガラスのケースにはモッツアレラは見えない。

「ええ、あるわよ。どれだけいるの?1kgが普通だけど。」

「??1kg!ちなみに、どれくらい日持ちするの?」

「そうね、3日くらいかしら」

「じゃぁ、やっぱりお土産にはならないわね。」

「ハーフサイズもあるわよ。500g。」

それにしてもだ、500gものチーズ、いつ、だれが、どうやって食べるのか??俺たちは旅行中だ。

だが、こういうとき、それを買わない、というのは、何か違うのだ。そういう感覚はJと共有できる。そう、買うしかないのだ。ここまで来たら、買うしかないのだ。買うのだ、J。

「じゃあハーフサイズでください。」

どん!

0194de87a071708af07323b1d459c54a02fこれは後日の写真だけれど、そう、500gのモッツアレラチーズというのは、いうなればソフトボールだと思ったらいい。

乳清のような水の入った透明なビニール袋に、金魚よろしく入れられて、そしてこのソフトボールはやってきたわけだ。

まぁ...これは追々なんとかするしかない。

さて、ここで水牛...バッファローモッツアレラチーズを買う、というJの小さな夢はとりあえず実現したわけだ。

あとは、水牛や~い。どこだ~

ほのかに香ってくる牛臭さ。放牧されている水牛をイメージしたのだが、広大な牧場っぽいものはあるが、牛は1頭もいない。ともかく、においのする方に行ってみよう。

P4300027_rこの子(犬)。

なんだか知らないけれど...いや、きっとこの人はいい人だ、と思ったのだと思うけれど、この後、ず~っと我々の後を愛嬌ふりまきながらついてきた。なかなかかわいい犬だ。この旅で出会った犬猫の一匹目だ。

まだ、猿も雉も出てこないけれど、とにかく犬を連れて牛を探す。

あ!

P4300034_rいた!

P4300046_rいっぱいいた。

巨大な牛舎に、数百頭いるのではないか?100頭以上はいるよな。というくらい、牛だらけだ。バッファローなどというから、少々気が荒いのかと思ったら、実に大人しくエサを食べている。

立派なつのだな。オスかな...といったら、Jが、「ミルクとるんだから、メスに決まってるじゃん」

・・・ああ、そりゃそうだね...たしかに。

さて、犬と一緒にひとしきり水牛を見て回って、まぁ臭いし、そろそろちょっと併設のヨーグルテリアで何か食べるかな。

P4300065_rこんな感じの雰囲気のあるカフェのようなもの。中ではヨーグルト、ジェラート、エスプレッソやカフェラテなどのドリンクと、なんだかよく知らない形をした(聞いたけれど忘れた)パンケーキのようなものが売られている。それとヨーグルトだ。

適当に頼む。パンケーキとヨーグルトのセットにエスプレッソ。なんというか、ボリュームがありすぎて辛い...

エスプレッソは、なんだか飲むというほどの量がないので、今一つ釈然としないコーヒーだ。日本式のコーヒーがやっぱりいいなぁ。濃くて苦いコーヒーに砂糖をたくさんいれてごくっと飲む。何がいいのかよく分らない。いや、正直なところ。苦すぎて繊細な風味も分らないし。

さて、次は勇気を出して初めてのおつかいだ。

Jと一緒に行動していると、海外では自然に頼ってしまう。しかし、それでは立派な大人になれないので、頑張って、ソフトクリームを買ってみる。そう、僕は甘いもの好きだ。苺ソフトなんて、もうメロメロになってしまう。今回は、え~っと、何味だったか忘れた。が、おいしそうなのを選ぶ。見た目だ。

カフェのお姉さんに、これ!コーンでね!いやいや、そっちじゃなくてそっちのワッフルコーン。うん、そうそう。ほとんど手振りだ。

ともかく、そうやって買ったジェラートは、濃厚かつ爽やかで、とても美味しかった。

0196bd0b4b8703d0caba1a8e36b2a0d24c7

さて、今日はこれからマテーラまで行かないといけない。

距離にして約190㎞。高速走って2時間とか。う~む、朝の事故以来、1日がとても長くなりそうだ。

出発前に、ずっとついてきた犬にお別れを。もう一匹犬が出てきて、なんだか立場が弱いように見える。

なんだか気に入らないので、手に持っていたコーンを、こっそりずっとついてきた方の犬にあげる。じゃあね!

GPS。そう、問題は解決していない。

もう一度ぐりぐり、ぬきさし、してみる。全然だめだ。本体が悪いのか、コードが悪いのか...

こうなると、もう唯一の頼りは空港で借りてきたwifi。そしてiphone。

結論的にいうと、これがあったら、GPSはほんとにいらない。iphoneとgoogleマップは最強だ。

僕もJもiphoneユーザなので、とりあえずJのiphoneを使う。バッテリが切れたら僕のに変えることにする。そう、バッテリの持続時間が命だ。

そして、バッテリといえばもっと困るのはWIFI。こっちのバッテリが切れれば、すべて終わる。

高速をひた走るときはWIFIの電源を落とす。走行距離からそろそろ高速を降りる、とか、曲がる、とか、そういうときに電源を入れる。涙ぐましい努力だ。

どうにも、これから行こうとしているマテーラ。そして世界遺産サッシ。そして洞窟ホテル。そんなに広い道をドン、と行けるような場所じゃなさそうだ。バッテリが切れたら終わりだ。

随分長い時間、走った気がする。ずいぶん雨も降っていないのにワイパー動かした。

イタリアの交差点はロータリー交差点。これも経験した。未経験の皆さん、大丈夫です。GPSでなくて、googleマップを使いましょう。

「次の交差点、ロータリー、2番目の出口です」と教えてくれる。反時計回りにロータリーを回りながら、一つ、二つ、と数えて、そこから出ればいい。素晴らしい。このロータリー交差点は、慣れると非常に効率的であることが分かる。曲がり損ねても、もう一周すればいいだけだし。

マテーラ。

そして、サッシの表示が見える。

あそこかな?いや、まだ。あそこ曲がるのかな?いや、まだ。随分走って、あ、そこ。

・・・いや、ほんと、そこからが大変だった。イタリアでの車の運転。ほんと、大変...

to be continue...

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2014年5月18日 (日)

石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その1 ナポリ 悲劇。レンタカーについて~

P4300004_r朝、ホリデイインナポリの部屋の窓から見た風景。

P4300006_rヴィスヴィオ火山が遠く霞んでいる。

眠く、また怠い身体に鞭打って、とりあえず朝食をとりに行く。

さすがに大きなホテルだけのことはあって、メニューも豊富で、結構楽しい。

前日の無駄な食事と不規則な生活?から、お腹はあまり空いていなくて、それほど胃や腸の調子は良くないのだけれど、ついつい興味から食べてしまう。

ホテルから空港への送迎バスを待ち、これでナポリ カポディキーノ国際空港に戻る。

しかし、この旅でつくづく思ったのだけれど、イタリア人のおじさんが妙にかっこいい。この送迎バスの、そうただのホテルから空港への送迎バスのおじさんなのに、妙にダンディで、おしゃれで、気取っていて...う~む、そろそろ俺もこういう路線でいきたいものだ。ん?無理か??

そのかっこいいおじさんに荷物を降ろしてもらい、一旦空港に入り、レンタカーのオフィスを探す。探すが見つからない。日本の空港だと、レンタカー会社のカウンターが空港内にあったりするのだが、ない。

レンタカーこっち、という表示はあるのだが...Jに案内カウンタで聞いてもらうと、外にあるレンタカー用バス乗り場でバスに乗って移動するのだそうだ。

ちょうどバスがいたので、ちょっと待って!と意思表示したのだが、無視された。

冷たいなぁ。

すると間もなくバスがやってきて、今度は我々二人が乗っただけなのに、すぐに出発した。この人たち、せっかちなんだな、きっと。

BaggetとAVISが同じ系列とは知らなったが、複数のレンタカー会社が入った建屋で、同じカウンタで両社を取り扱っていた。

Img_3923_r

ここに行き、楽天レンタカーで予約したときのプリントを渡すと、「日本語で書いてあるから読めないわ?しょうがないわね、この子ったら。」的な指摘を受けているらしい。Jが教えてくれた。

英語もよくわからん。イタリア語はまったくわからん。という状態なので、こうして文章にしていても、実際相手がどういっているかなど分かるわけもなく、ニュアンスもろもろ...勝手に顔つきやしゃべり方から想像していること、あらかじめご容赦を。

しかし、楽天レンタカーの予約サイトでは、これを印刷して持っていけ、と書いてあるのだ。俺が悪いんじゃないぞ。楽天、恥かいたじゃないか。ちなみに、必要なところは英語も並記してあったので、僕的にはこれで十分だとも思ったりする。

こだわったのは、できればイタリア車に乗りたい、ということ。「こだわる」と「できれば」を続けるのは日本語的におかしいような気もするが、イタ車を希望してそれ以外の車が配車されても、それを交渉でどうこうしようとするつもりはない、という意味だ。

で、結局のところ、指定された駐車区画に停まっている車を探すと...なんだ、フォードかよ...アルファロメオ ジュリエッタ、または同クラスの車、というのが条件だったのだが、フォードC-MAXというフォードフォーカスのミニバン仕様だ。デカくて、鈍重そうだ。まぁこのフォーカスはヨーロッパ生まれのフォードらしいから、まぁいいのか。でもマツダ アクセラと同じプラットホームらしいが。

Jが、ジュリエッタに変えてもらえるように交渉しようか?と言ってくれていたが、すでに気後れ感満載の僕は、「いや、もういいよ」と小声で答える。

荷物をラゲッジに入れる。大きなスーツケースが普通に二つ横に並んで入って、なお余裕がある。ジュリエッタだと無理かも。

さて、エンジン。まずかからない。キーレスエントリーでスタートボタンを押すのだが、電源は入るが、エンジンはかからない。

ちなみにこの車、マニュアルミッションだ。ヨーロッパではAT車は少ないらしい。加えてディーゼルだ。同じくヨーロッパではディーゼルが主流らしい。

クラッチを踏んでスタートボタンを押すとかなんとか、適当にやっていたらようやく始動。

次に、GPSを借りていたので、こいつの様子をみる。どうにもイタリアには日本車のようにビルトインされたGPSはないのかな?ハンディタイプのGPSが貸し出された。こいつがないと、とてもイタリアをドライブなどできないので、これは命綱だ。日本語表示できる。

行先(後述)をセットし、シガーソケットに電源を差して..よし、出発だ。

リバースギアはシフトレバーを一番左にして、前に倒すといいようだ。

久しぶりのマニュアル車で、少々緊張する。ちなみに、僕が最初に車に乗ったのは(親の車とかは別として)、大学生のころ、バイト先のカローラバンを3万円で譲ってもらったのが最初。当然マニュアル。何しろもう23年くらい前だ。

その後、2馬力をいいことに、一気に車をグレードアップして、パジェロのショートボディ V6 3000 DOHC しかもマニュアル、というマニアックな仕様の車を買った。このパジェロを12年くらい乗っていたので、もともとマニュアル車自体に抵抗感はない。ただその後はずっとATなのでね。

で、バックで駐車スペースから出ようとしたら、なぜか車が前に行きたがる。

いやいや、後ろに行くんだよ、となだめすかして、なんどシフトレバーをリバースに入れても、前に行きたがる。

「誰か、呼ぼうか?」

「はい、お願いします...」前途多難だ。

パジェロは確か、リバースギアはオーバートップ(5速)の下側、つまり一番右の手前側だったように思うが、違ったかな?

おじさんが「やれやれ」という顔でやってきて、なんと、シフトレバーノブの下のカバーの部分の一番上端の金属リング(留め金的な)を上に引き上げながら、1速よりさらに左に倒して前に倒すと、リバースに入った。

・・・んなもん、知るか!

一応ね、レバー自体を引っ張るのかな?とか、その程度は試していたんだよ。カバーの上端をまさか引っ張らないといけないとは...

さて、とにかく、車は動いた。

このあたり、非常に緊張していたので、写真は一切ありません。あしからず。

とりあえず、この大型駐車場のようなレンタカーの敷地を出よう。

走り始めるとすぐにJが「右、怖い!」と訴える。

よくあることだ。なにせ、僕が左ハンドルの車に乗ったのは、それこそ25年ほど前、バイト先のちょっとやんちゃなお兄さんが中古のポルシェ911を持っていて、それを少し運転させてもらったことがあって、それ以来だ。

こういう状況は、事前にチェックしたブログ等の記載にもよく書かれていた。

「あ、ごめん。大丈夫大丈夫。」・・・ちっとも大丈夫ではない。

少し進むと、やっぱり右に寄っていく。

しかも、シフトレバーのストロークが大きくてシフトチェンジもし難いし、どうにもドロっとした感じで、どこに入っているかも分かりにくい。さらにさらに、余計なことにオーバートップの上に、6速がある。その癖に、というよりディーゼルの癖に低速のトルクが妙に弱くて、いや、馬力の割にこの車体が重すぎるのか、ローで発進しないとエンストしそうになる。絶対に自分では買いたくないような車だ。

ジュリエッタがよかったな~ と、まだここでは少しだけ、頭の片隅で思っていた。

そして駐車場を出る。

・・・悲劇はすぐにやってきた。

駐車場を出るとそこは道路だ。当たり前だけど。

つまりは道路を走らないといけない。超がつくほど舞い上がってしまっていた俺。

Jが危ないだ、怖いだ、と言っているのに、本人的にはまったく大丈夫なつもりで、ひきつった笑顔で車を進めていたら...

バキッ!

とても嫌な音がした。

道路脇はすべて路上駐車で、道路は実質車幅よりかなり狭い。

右ハンドル、左車線に慣れている僕らは、通常、自分の右側に中央線なりを見なが走っている。なので、中央線が自分の左側にあると、何か妙な錯覚にとらわれてしまって、中央線から一定の距離を置こうとするようだ。

結果、何が起こるか、というと、慣れない海外でのこういう悲劇だ。

血の気が引いた。

で、小心者の僕としては、当たったのはドアミラーで、相手の車もドアミラーのはずなので(音からして)、まぁ不運だと諦めよう(相手にも諦めてもらおう)、ほら、なんて言ったって、駐車するときに前後の車にバンパーを当てるらしい国なんだから、まぁいいだろう。

と、無視して進んだ。すると、後ろからクラクションが聞こえる。

なんと、間の悪いことに、その車には人が乗っていたようだ。

「止まった方がいいみたい。」とJ。

僕も、当然ながらこのヨチヨチとした運転で逃げれるわけもないし(逃げる気もないが)、道路脇の建物前が開けている(歩道への縁石が切れている)ところに停めることにした。が、停めようと車を寄せると、本人的には当たるはずがないのに、タイヤが縁石に乗り上げる。もう無茶苦茶だ。

車を停めると、後ろから問題の(いや、問題なのはこっちだが)車だ。

・・ああ、まじかよ...

よりによってベンツだ。日本なら、東京湾に沈められるか、中途半端に社会的地位が高いと自覚しているような人にネチネチといじめられそうな状況だ(すみません、冗談です)。

どんなことになるやら、と思いつつ、いざとなったら腹をくくるタイプの僕は(まぁ、ここまでの状況になると、どうしようもないけれど)、車を降りて、相手の比較的体格のいいイタリアのおじさんに、誠心誠意と見えるように努めながら「I'm sorry!」を連呼する。いや、それ以外にこの状況でどうこうと語る語学力がない。

ああ、不自由だ。

相手のおじさんも、まさか出てくるのが言葉もできない、ちょっとだけいかついという噂の顔をした日本人(というかアジア人)とは思わなかったのだろう。少々動揺している。

とにかく、何かひたすら訴えていて、その中には、お前の車は大丈夫か?的なことを言っているような気もする。いいおじさんなのか??

仕方なく、Jに通訳を頼む。というか、それは結局交渉してもらうことになるのだけれど。

Jは、某社の国際法務部門にいて、NY州弁護士の資格を持っている。帰国子女で、さらに留学経験もある。つまり英語はネイティブ並で、企業間のややこしいビジネス上の契約交渉で最前線に立っているという、極めてドメスティックな知財マンの僕とは次元の違う能力を持っている。

英語での交渉が続く。ベンツのドアミラーには、確かに少し黒い傷のようなものが見えるが、見様によっては大したこともなく、実際それ以外の傷もついていて、本人もあまり気にしていないようにも見える。

このイタリアのおじさん。やっぱりこちらが逃げたように見えて(まぁ、そう言われればそうなのだけど)、それが気に入らなくて追いかけてきた様子。まぁ逆でも僕もそうする。

でも、まぁそれほど怒っているようにも見えず、だんだん会話の内容が小さくなってくる。なんだか、20ユーロだか、小金をくれ、と言っている。ベンツに乗っているのにみみっちい話だ。まぁこっちが悪いのでそれくらいは出してもいいかな、と思ったのだけれど、そこはさすがに国際法務。

「何言ってるの。それ、大した傷には見えない。払う必要ない!」的なことを主張して、とうとう押し通してしまった。

・・・凄い。こりゃ、勝てないな。・・・なんとも力強い味方を得たものだ。

かわいそうな立場のイタリアのおじさんなのだけれど、お前のミラーの部品落ちてるぞ、と教えてくれて、車に戻っていった。

とにかく、気を落ち着けよう。

建物の方から車が出てきて、どけ、と言われたので、少しだけ車を動かすと、そんなつもりはないのに、また縁石に乗り上げる。落ち着け、落ち着け。

なのに、先ほどのベンツのおじさん。いい人を最後まで演じてくれようとして、先に出ろ、と合図している。もういいから早く行って...

しばし粘って、ようやくベンツが出発してくれた。

さて、改めて外に出て、先ほどまで悪態ついていたフォードC-MAXへの影響を見る。

この段階では、アルファロメオじゃなくてほんとによかった、とつくづく思う。あの美しいイタ車に傷はつけたくない。

見てみると、ドアミラーの先端に、最近よくある、ウインカーがついているタイプの車だった(今頃気づく)。そして、そのウインカー部分の透明なカバーが吹っ飛んでいた。つまりは、ウィンカーのランプがぶらぶらしていた。

さて、次の問題は、レンタカー店への面倒な説明。また、この壊れた状態でこの先1週間、車に乗り続けても大丈夫なのだろうか?ということだ。

普通に考えると、レンタカー店にもどって、事情を説明することになるのだろうけれど、そうすると、時間的なものも含めて、この後のスケジュール(というほどのきついスケジュールはさすがに立てていない)に影響がある。すぐに治らない場合、車の変わりがないと、非常に困る。

ともかく、ランプ自体は生きていて、ウィンカーを入れると...ここでウィンカーを入れると、かならずワイパーを動かすという状態もある。なにせ、ウィンカーのレバーとワイパーのレバーが日本車と逆なのだ...ちゃんと点滅している。

とりあえず、吹っ飛んだウィンカーのカバーを探しに行くことにした。とりあえず、接着剤とかで1週間持たせられないか?

Jに車の番をしてもらい、走って問題の場所まで戻る。駐車できる場所を探している間にかなり前に進んだので、そこそこ距離はある。

だいたいこのあたりだよな。まあレンタカー店を出てすぐなのだけれど。

あ、あった。

幸い、ほかの車にも踏まれず、カバーが原型をとどめてそこに転がっていた。

回収!

また走って車に戻る。イタリア、ナポリで、早々にウィンカーのカバーを掴んで走り回ることなるとは...人生、何が起こるかわからないものだ。

さて、一応理系。工学部卒。知財の仕事はしているけれど、会社もがちがち製造業だ。加えて自分でバイクに乗っていたころは、ちょっとしたことは自分でやっていたし、こういうときの対応は...一応なんとかしてみよう、という気になる。

ようは、外れただけなのだ。もしかすると、少しくらい欠けたところがあるかもしれないけれど、致命的な外傷はない。奇跡的なくらいだ。

こういう部品のはめ込みは、ようは気合だ。ようするに、ちょっとした爪で引っかかっているだけなので、その分、はめ込みはきつい。バックミラー側のカバーをたわませて、隙間を広げて、がんばって押しこむ。

Jは心配そうにしているが、ここは文系より理系の出番だ?

5分ほど粘って、まだ入らない。なにかコツがあるはず。

Jに声を掛けられて、あとちょっと待って、たぶん、治るから、と伝える。

その2分後。はまった。えらい、俺。

完全に元通りに見える!走行振動で外れて落ちたりするようなレベルでなく、しっかりとはまっている。

落ち着いた。

なんというか、厄払いになったかも。

冷静に考えれば、つまりは自分が中央線になるべく寄って走るようにだけ気を付ければいい。あとは、徐々に、無駄に1.8mを超える車の車幅間隔になれればいい。

再スタート。気を付けて車を進める。うん、大丈夫そうだ。やっぱり緊張でかなり舞い上がっていたみたいだ。

しかし、相当に神経を使いながら、とにかく、ナポリからの脱出を目指す。高速道路に入ってしまえば、負担は減る。

シフトチェンジがぎこちない。思うところにシフトが入らない。ローに入れたつもりが3速に入っていて、エンストしそうになったり...

曲がるたびにワイパーが動いたり...

寝不足を忘れるほどの緊張感で車を進め、ようやく高速道路っぽいところに入る。

料金所のシステムがよく分らないけれど、しばらく走っていたら料金所があった。TELEPASSという日本のETCのようなものもあって(ETCの先駆けらしい)、それ専用レーンがあるが、ここには用はない。とにかく様子が分からないので、一番手動?っぽいところを常に選択する。

カードの発券機。お決まりのように車幅のつかめない車なので、シートベルトをはずして、身体を窓から乗り出して、ようやく取る。やれやれ。

高速道路。ついつい右に寄ってしまい、Jにそれを指摘されながら(助手席は怖いらしい)、ともかく進む。

どこへ進んでいるか?

本当は、まずカゼルタ、という王宮を中心にした広大な公園を見学しようかと思っていた。Jがこの日一番行きたがっていた場所と同じ方向だったと思ったのだけれど、ここはJの勘違いがあって、行きたがった場所をGPSに入れていたら、どんどん南下してしまっていた。カゼルタはナポリから見ると北のはず。

もう高速に入ってしまっているので、カゼルタは無視。ポンペイも無視。

すでに車は位置的にはアマルフィの東側を抜けてしまい、サレルノを抜けている。

Jが行きたがった場所。

チーズ好きのJとしては、この地方で作られる、水牛(バッファロー)モッツアレラチーズの工場見学と、チーズの購入がこの日の第1希望だった。そもそも賞味期間が3日くらいという非常に生っぽいチーズだから、お土産にはならないが...とにかく行ってみたい、とのこと。今回はエリア的にワイナリーにはいけそうにないので(ワイナリーはイタリア北部に多いとか)、これは是非希望に沿いたいところ。

目指すは、CASEIFICIOというチーズ工場だ。

to be continue...

ここまでの走行距離、だいたい80㎞ほど。

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石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 Prologue~

2014年のゴールデンウィーク。

何処へ行こうか?と考えていた。もう何か月も前のことだけれど。

海外が案外気分的に近いし、結構お金もかからないな、と、1年半ほど前に出かけたニュージーランド旅行で感じた。いや、確かに旅行期間がそれなりに長いし、なんだかんだでお金は使うのだけれど、国内で...そう、青森の温泉三昧旅行なんて、相当コスト高だ...それに比べると、あまり贅沢をしなければ(たとえばホテルは4つ星以上とか)、そんなに掛からない。何はともあれ、特典航空券、マイル様様だ。

ということで、一度行ってみたかったところ。

織田裕二主演の映画でおなじみ、南イタリア、アマルフィ。

イタリアには何度も行っているJも南イタリアには行っていない、ということで、今回はアマルフィを中心に、南イタリアを回ってみることにした。

回る、というけれど、南イタリアはどちらかというと田舎...(そんなことはないのかな?)

行きたいところを探してみると、交通の便は至極不便というか、ほとんどない。

それに、そもそも、どうせアマルフィ海岸に行くなら、そこはそれ、車で...できればフェラーリは無理としても、アルファロメオくらいで駆け抜けてみたいではないか。

そういう安易な考えが、後々悲劇?を生み、また疲労を生むとは...いや、まったく考えなかったわけではないけれど、うちの子に限って...という親と同じ心境というか...まぁ俺に限って...と...

とりあえず、楽天経由でBuggetレンタカーを予約。アメリカ系のレンタカーチェーンの方が安心だろうと...何分、気のいい陽気な、かついい加減な?イタリア人を信用するのが怖いというか...

事前にネットでいろいろ先人のコメントなどを見ていると、結構いろいろいい加減なことをされて、困った方もおられるようだしね。

ホテルはあまり高価なところは使わない。けれど、気分がよい程度にはしておきたい。小さな街の小さめなホテル。今回は一番高いところで4つ星(でも、安い方の)。徐々によいホテルへと推移していくプランだ。Jとしては、旅は最後が気分がいい方がいい、とのこと。確かにそれはそうだ。

今回の旅は、4月29日出国、5月7日帰国。イタリアでは7泊の予定だ。

到着当日はナポリに宿泊し、その翌日から本格的に動き始める。マテーラはサッシに2泊。アマルフィに2泊。ポジターノに2泊。

ゴールデンウィークの休暇は4月27日から5月6日。26日の土曜は出勤日だったが、結構休んでいる人も多かった。僕は出社。なぜなら、当然ながら少なくとも5月7日は休まないといけないし、時差ボケと疲れも予測できるから5月8日も休んでしまえ!ということ。

さて、

4月27日、日曜日。少しゆっくり目に広島空港から羽田空港へ飛ぶ。ここも特典航空券を利用。

少し前に御殿場プレミアムアウトレットでスーツケースを購入した。

Img_3924_r2これは帰る直前の状態なので、すでに使用感があふれているが、この派手な色がとても気に入った。

買った後で調べると、エアリアルというシリーズのスリランカ政府観光局とサムソナイトが組んだ限定カラーでサンセットオレンジというカラーらしい。だからどうした、というのではないけれど、こういうオレンジ、結構好きなんだよな。

考えてみると、ダウンジャケットもエディバウアーのこんな感じの色のを着ている。

もっとカッコいいヨーロッパ製のものもあった。これはカーボンブレーディングのシェルでなかなかなのだが、高い。滅多に海外にいかず、出張では中国あたりが中心で、この場合は機内持ち込みのキャリーバッグで十分(・・・だし、うちの会社は上海から国内線に乗り換えたりしないといけないため、荷物を預けると不安だったりする。)なので、あまりコストはかけられない。ちなみにエアリアルシリーズは中国製だったか?と思う。

いつも通り横道にそれていっているが、ともかく他の用事もあったので27日に東京に入って、28日は東京でブラブラしつて、29日に京急で羽田空港国際線ターミナルに向かった。

羽田空港国際線ターミナルは初めて。成田だと、東京からでも行くだけで相当時間がかかるし、結構大変なのだけれど(これは関西空港にも言える。本当に不便だ)、羽田は楽でいい。羽田発着の国際線が増えてくれているのは、今後を考えても本当に助かるね。

今回使う航空会社は、ドイツのルフトハンザ航空。ANA運航便でフランクフルト経由ナポリ、というものあったと思うのだけれど、日程の都合もあって、やむを得ず、ルフトハンザでミュンヘンへ。ミュンヘンからもルフトハンザでナポリへ、ということになった。

このあたりは、おおよそ調べて、ANAのプラチナデスクとかスーパーフライヤーズデスクに電話して相談すれば調べてくれるので、とても助かる。

こうやって、マイルとサービスで一般消費者は抱え込まれていくのだなぁ。

羽田空港国際線ターミナルのルフトハンザのカウンターは、空港の建物から出国ゲート方向に向かって一番左端のようだ。

カウンターに行く前に、予約していたグローバルWIFIの借り受けに行く。予約情報を伝えれば、あっという間に貸し出ししてくる。

ちなみに今回の旅程でWIFIを借りて、税込みで11,216円。これを高いとみるかどうみるか??

だが、これは結果としてはとても大成功で...というよりこれを借りていたから、ほぼ予定通りに行動できた、という...図らずもWIFIを試しに借りてみたことが今回の旅行の最大の功績?だった。このあたりの話は追々。

借りたWIFIをスーツケースに入れて、カウンターへ行く。まだ少し早かったので、カウンターはガラガラ。

そのあと、折角なので一つ上のフロアにあるショップ街をブラブラするが、なんだか疲れるので、Jに、「もう(出国ゲート抜けて)ラウンジに行こうよぉ」と、出国前から弱音をはく。どうも、こういう平らなところをダラダラあるくと疲れる足を持っているようで、こういうの苦手だ。

ゴールデンウィーク中で混雑を心配していたけれど、混み合うこともなくスムーズに出国ゲートを抜けて、ANAのラウンジに入る。

ついつい...そんなにお腹が空いているわけでもなく、また飛行機に乗ると何か食べさせられるのを分かっていて...蕎麦食べたり、おむすびを食べたり、ケーキを食べたり...

そんなこんなで1時間半ほど。旅慣れているJは、「飛行機に早く乗っても、狭い空間に閉じ込められる時間が長くなるだけだから、そんなに慌てなくていい。」と言うのだけれど、僕としては、早めに早めに行動したい。小心者なのだ。加えて、国内線だが飛行機に乗る回数は僕の方がはるかに多いわけだけれど、そこで優先搭乗で感じる最大のメリットは、頭の上の手荷物収納棚の確保だと思っている。

運が悪いと、やたら荷物の多い人が周辺席に座っていて、自分の手荷物を収納するスペースが近くに確保できなくなることがある。

今回、搭乗開始が40分くらい前から始まったようで、そんなにギリギリに言ったわけでもないのだけれど、機内に入ったら、自分の頭上はすでに荷物で埋まっていた。

国際線で搭乗時間が長いと、なんだかんだで荷物を取り出したくなることも多いから、人の頭の上から遠慮しながら荷物を取り出すのはどうも...今度から、もうちょっと早く搭乗しようと改めて心に誓う。

ルフトハンザの座席。狭い。ANAの国内線のシートの方が前席との間隔が広いような気がする。これで12時間か...少々気が萎える。

そう、トランジットのミュンヘンまで12時間。日本とイタリアの時差は+7時間。

出張でいく中国、少し前にいったマレーシア、また1年半前のニュージーランドも、時差が1時間といったレベルなので、あまり時差を感じない。

以前、出張でラスベガスに行ったが、あれで時差が-8時間だから、時差的にはそんな感じか。

いずれにしても欧州は遠い。そもそも、中国成都より西に行くのは初めてだ。あ、正確には九寨溝までは行ったな。

欧州といっても、北欧と南欧はまったく別の世界が広がっているだろうし、イタリアとドイツでは文化も違うし、ひとまとめにする意味は、通貨がユーロで統一されている、というくらいのことだろうか。

・・・と思っていたのだけれど、今回の旅で一番感じたのは、ドイツで入国すると、そこから先は入国、出国という概念なしに国内線に乗る感じで国境を越えられるということの凄さ。

あれほど、戦の歴史を繰り返し、侵略し、侵略され、奪い、奪われ、殺し、殺された歴史をもつこれらの国々が、国境の枠を取り払うことができている。これは凄いことだと思う。

欧州は我々にとって歴史の先輩だろうと思う。中国、韓国と、実は運命共同体であることが分かっていながら、未だにお互いの嫌悪感を高めるような言動が繰り返されているこの状態も、いずれはEUのような概念のもとで、落ち着いた関係を構築できるのではないか?という期待を持たせてくれる。宗教的な諍いが起こりにくい環境なのだから、時間を掛けなくても、まずは経済からでも、できるはずだと思えてくる。

欧州、イタリアなんて、あまり僕の人生には関係がなかったのだけれど、こうやって足を延ばすとなると、少しだけ、考えることも違ってくる...というより、意識しなかったことを意識し始める。旅はいいね。

さて、南イタリアへ向かっているのだけれど、欧州は初めてなのだから、ローマとか、もう少しメジャーなところに行けばいいようなものだけれど、根っからの田舎好きの僕としては、そういう美術観光的な旅行は後回しでもいい。

不安。といえば、治安と車。

ナポリあたりは治安最悪、といろいろなHPやブログを見ていると書いてある。ナポリは初日に一泊するだけなのだけれど、少々怖い。襲われてどうこう、というより、財布やパスポートを紛失すると、それからのリカバリーの面倒さを考えてしまう。

それと何より車。

Kokusaimenkyo2

国際免許証を発行してもらっている。

それにしても、広島。滅茶苦茶不便だった。広島の運転免許センターへの公共交通機関は路線バス、しかも本数が多いとは言えない路線バス。しかも、広島バスセンターまで行くだけで小一時間かかるようなところに住んでいると、とんでもなく時間がかかる。

しかも、国際免許は平日しか発行してくれない。車があればいいのだけれど、免停の人とか、講習を受けに行くのに大変ではなかろうか...ちなみに、免停を繰り返していた、バイクに乗っていた若かりし頃。そのころは広島の街中に免許センターがあったので、大変楽でした。

やむを得ず、わざわざレンタカーを借りて、出勤時刻を少し遅くさせてもらって、なんとか発行してもらったのだった。

しかし、本当にこんなことでいいのだろうか?

交通ルールも違う。そもそも右車線を走ったことがなく、左ハンドルの車にも乗ったことがない。イタリアのロータリー式交差点なんて、訳が分からない。

なのに、日本の免許持ってたら気軽に発行される国際免許。

イタリアは交通マナーが(広島以上に?)悪いらしい。追い越し割り込み当たり前。2車線道路を車が3台並走するとか...違法駐車だらけで道も狭い云々。マイナスな事前情報ばかりで、「やめた方がいい」と記載されたWEB上の記事もたくさん。

小心者的には、初めての海外での運転で、こんな国で運転して大丈夫なのか?と不安になる要因は山ほどあった。

そんな不安を抱えつつ、飛行機は西進する。

今回、機中の新兵器として、電子ブックを持ち込んだ。あまり電子書籍は好きでなくて、kindleにも興味を示していなかったのだけれど、bookliveという凸版印刷が中心?で展開している電子書籍専用のlideoという端末をもらったので、ここに本をダウンロードしておいた。

bookliveのいいところは、キャンペーンなどで書籍のディスカウントがあるところだろうか。今回はディスカウントのあった本や、割引セールを利用して購入したものばかりダウンロードしている。

ダンブラウンの「インフェルノ」(イタリアが一部舞台になっている)、まだ文庫化されずに読めていなかった横山秀夫の「64」、池井戸潤はキャンペーン中でいろいろ安かったので適当に...といった感じ。

しかし、kindleはどうなのか知らないが、このlideo。バッテリ弱すぎ...

飛行機の中で読んでいたら、7~8時間も持たない感じ。ゆっくり読んでいると2冊は読めない。旅行中、ホテルで本を読んでいたりするときには随分助かったが、飛行機での移動中には、このバッテリの弱さには少々参った。画面の切り替わりの遅さなど、どうにも処理速度が弱いとしか思えない部分もある。bookliveの書籍販売は結構よいので、もう少し頑張ってもらいたいところだ...けれど、やっぱり本は紙がいいので、自分では買わないだろうな。

ということで、文庫本で池波正太郎とか、村上春樹翻訳のサリンジャー「フラニーとズーイ」など読みつつ、機内を過ごした。

機内といえば食べ物。行きも帰りも含めてだけれど、所詮...というと怒られそうだが、ドイツの航空会社なので、こちらは最悪だった。ニュージーランド航空の方がよほどよかった。帰りの最後の朝食など、食べる気になれないほど酷く、そのまま残してしまった。

さて、あっちこっちと話が飛びつつ、また長くなっている。

いつになったらこの話がイタリアに入れることやら...

飛行機はミュンヘンに到着。入国審査を抜けて、一旦ターミナルの外に出てみる。

預けた荷物はそのままナポリまで行ってくれるので、身軽だ。

初の欧州の空気。それはドイツ。空港に併設される形でスーパーや、その他の商業施設があったので、とりあえずスーパーを覗いてみる。色とりどりの野菜や果物が、ウィンナーとビールの国とは思えないくらい?並んでいる。苺や柑橘類など、結構おいしそう。チーズやヨーグルトなどの乳製品も、さすがに日本とは比べ物にならないくらい豊富だ。

ミュンヘンの時刻で17時過ぎだから、日本ではもう深夜。寝不足でボケボケした頭を引きずりながら、とりあえず、手近にあったマックカフェでカフェラテを頼む。アルバイトと思しき若い女性店員が要領悪くたまった注文を処理していて、やれやれ、と思っていたところでようやく我々のカフェラテ(ホット)を作り始めた。できあがったカフェラテを見て、何を思ったか、冷たい牛乳をどぼどぼと注いでしまった。

・・・量が足りなかったのかい?でも、それじゃ冷たくなるし、そもそもフォームミルクで飲むカフェラテじゃなくなるんじゃないのかい??

店外のオープンエリア。大きなため息をつきつつ、近寄って足元をつつく雀を眺めつつ、半分冷たいカフェラテをいただく。

こういう経験をすると、日本の高校生、大学生のアルバイトのレベルの高さを、つくづく感じる。アルバイトという社会経験だけでもこれだけの教育が行われ、子供のころから実戦できる国民性。日本の教育レベルの高さは本当に素晴らしい。もっと日本は頑張れるね。

ターミナルビルに戻り、チェックインしてルフトハンザのラウンジで、また食べなくてもいいようなものを(お腹が張るなぁ、などと思いつつ)食べてから...そしてナポリへ飛び立った。

広島-東京ほどの時間でナポリへ。もう現地時間で23時。日本は明け方か。

朦朧とした頭を頑張って引きずって、ここからはJにお任せだ。

英語が通じないところも多いらしいイタリアだけれど、空港などでは問題ない。英語が使えればJに任せておけば大丈夫だ。

空港の案内カウンタでタクシー乗り場の位置と、おおよそのタクシー料金(イタリアでは空港からのタクシーはエリアごとに均一料金になっている様子)を聞くなど(ぼられないように)、適切な情報を入手していく。僕一人だとできない技だ。

タクシーでこの日の宿、ホリデイインナポリへ。

深夜だったこともあるが、うら寂しく、大丈夫か?という立地条件にどきどきしつつ、また日本のビジネスホテル並みの狭苦しいロビーに、ほんとに四つ星か?と疑いつつ、また日本のツアー団体に遭遇しつつ、ようやく部屋へ。

ああ、疲れた。とにかく寝よう。

いよいよ明日から本格的なイタリア旅行だ。

to be continue...







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2014年4月 6日 (日)

サクラサク

滅多にないことなのだけれど、公開封切り日に映画見てきました。

さだまさしの短編小説「解夏」に収録されているサクラサク。

新宿バルト9の19:45から。遅い時間だったからか、疎らな人入りだったのは残念だったけれど、なんだか、久しぶりによい日本映画をみた、という感じがしたし、何より、主人公の世代がまさに今の自分の年齢と重なっていて、夫婦の難しさ、親の年齢から来る認知症の問題など、やもすると人ごとではないから、かなり考えさせらもした。

あれくらいの原作の長さだと、2時間くらいの映画にするには丁度いい。
作品にほれこんで映画化を熱望した田中監督の想いが伝わってきて、また、本当に日本らしい美しさがスクリーンを満たしてもいた。
ストーリーばかりを無理やり突っ込んで、原作の良さを表現できず、監督らの作品に対する拘りもよく見えない映画にはうんざりしてたが、これはまるで違った。

この映画のために作られたさださんの新譜「残春」も、さすがによくあっていた。

今年はまともに花見に行けなかったけれど、スクリーンの桜の美しい映像で、我慢できたかも。

僕がさださんのファンだ、というのは置いておいても、よい作品だと思いました。

2014年2月16日 (日)

雪見露天風呂。新潟 越後湯沢にて...

温泉好きなのだけれど、一度もやったことがないことの一つに、豪雪地域での雪見の露天風呂、というものがあった。

そんな話をJとしていて、あっという間に雪見露天風呂の計画ができあがった。

日本秘湯を守る会の本をめくりながら、今回狙いを定めたのは、貝掛温泉と清津館。どちらもJR越後湯沢駅からそれほど遠くないが、秘湯感あふれるところのようだ。

期待値としては貝掛温泉が上。清見館はちょっとどうかな?と思いつつ、予約の電話をすると、すんなり予約できた。もっとも2か月以上前のことだけれど。

さて、広島を出たのは2月8日。10日の月曜は平日だけれど、うちの会社は一斉休暇取得日となっていて、4連休。その初日だ。

ちなみに、これを書いているのは2月16日。テレビをつけると、ソチオリンピック ラージヒルで葛西選手の銀メダルで盛り上がっている。その一方で、再び関東から東を襲った週末2週連続の大雪の被害の話題が繰り返し伝えられている。

そう、東京に移動しようとした日は先週の大雪の日で...新幹線...広島駅をそれでも20分弱遅れで出発したのだけれど、東京へは2時間20分弱の遅れで到着。まぁ、着いてよかった、と思った。何せ、車窓からの風景は、広島から東京までの間、8割方真っ白だ。まぁこれだけしっかり遅れると、ちゃんと2時間は過ぎてもらわないと困る。2時間過ぎたら特急料金払い戻しだしね。ちょっと浮いたな...

東京。これまた凄い。

ちょっと荷物が多かったのでキャリーバッグを持って行っていたのだけれど、当然ながらこれはまったく使い物にならない。キャリーバッグのロードクリアランスではこの積雪は乗り越えられず、ほとんどラッセル車状態で、僕が通った後に道ができている。

雪見に行こうと思ったら、東京で十分に雪見ができてしまった。

さて、明けて2月9日は日曜日。

東京駅から上越新幹線で越後湯沢へ向かう。所要時間は1時間15分なので、あっという間だ。越後湯沢といえば、ガーラ湯沢やその他スキー場がひしめくエリアなのだけれど、さすがに日曜の昼過ぎに到着する新幹線は割と空いていた。

少しだけ遅れて到着した越後湯沢。さて、お昼をどうしよう...

Jが調べた。何かとんでもなくリーズナブルな鍋があるらしい。

越後湯沢の駅から徒歩で5分くらいだろうか。森瀧(もりたき)というお店。

Moritaki 

これだ。2人前だけれど、すごいボリューム。しかも、お出汁がいい味で美味い。

お店の人に「かんずり」というこのあたりの特産のスパイス?柚子胡椒を唐辛子っぽくして、熟成させて少し柔らかくしたような感じ...意味がわからんな...を入れるように進めてもらって、取り皿に入れて出汁に溶かしてみると、これまた美味い。

この鍋にうどんを2人分投入して、もう、お腹いっぱい。いやいや、800円というこの「うどんすき」は...越後湯沢でのっけからインパクトがあった。またこのあたりに来たら、是非寄りたい。

駅に戻って駅レンタカーを借り出そう...としたら、駅レンタカーの場所が分からない。駅の周辺にはトヨタレンタカーとニッポンレンタカーしか見えない。しばし雪に吹き付けられつつ悩んだ結果、というより電話して聞いたのだけれど、駅レンタカーは駅の構内。お土産物売り場あたりのカフェの横にカウンターがあった。

分かりやすいような分かりにくいような...

車は地下駐車場にあるようで、そこまで案内してもらって、今回はマツダ デミオを借り受ける。見てみると四駆だ。スタッドレス無料プランで申し込んでいるので、この四駆とスタッドレスの組み合わせで、心配していた雪道走行に一安心。

若いころはパジェロ(V6 3000cc ショートボディ、しかもMTというレアな?もの)に乗っていたし、ちょっと前まではエクストレイルに乗っていたので、特にパジェロのときは雪道に対する恐怖感はあまりなかったのだけれど、レンタカーで借りるコンパクトカーだと少し不安だった。だが四駆ならね。

一路、貝掛温泉へ。

新潟。豪雪地帯の道路。

積雪時の東京の方が余程怖い、という感じ。除雪は徹底しているし、路面に水を流して凍結を防止しているし、もちろんところどころ圧雪の路面もあるけれど、無茶な走り方をしなければ、何の問題もない。いや、すごいな。

というわけでしばらくは横にスキー場を眺めながら、こんなところまで来てスキーもスノボもやらない自分たちの風変りさ?に苦笑いしながら進んでいく。

あと少しで貝掛温泉、というところまで来て、ようやくこんな風景に。

Img_3352_r

さらに圧雪された橋を渡って、貝掛温泉に到着。

何とも雰囲気のいい宿だ。

チェックインすると、メグスリの木のお茶と、笹団子のサービス。

部屋に通される。部屋自体は普通のお部屋。窓からは真っ白な世界が広がっている。

P2090391_r_2

さて、早速目標達成しに行こう!

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よい雰囲気。うん、これこ...しかし...ぬるい...

源泉の温度が37度ちょっと。この時間の男湯の方は割と広くて、湯の注ぎ口は一つしかないのだから、まぁ35度もないのではなかろうか。

気温が0度とかそんな感じだろうから、入った瞬間は少し暖かさを感じるものの、いくら浸かっていても温まるという感じはない。

ぬるめのお湯にじっくり浸かるのは好きだけれど、これはあまりにぬる過ぎる。

ここのお湯、市販の目薬の成分に近い成分を持っているそうで、昔から目の養生のために訪れる湯治客が多かったそうだ。注ぎ口のお湯を手で受けながら目を洗う。3~4度そうしてみたのだけれど、湯上りの自分の目をみたら目が真っ赤になっていて、結局目薬を差した。う~む、どう判断すればよいのやら。

ともかく、おかげで雪を眺めながらお湯にじっくり浸かることはできた。

いくらなんでも風邪をひきそうだな、と思うまでそこで過ごして、続いて同じ露天の加温の湯船に浸かる。

うん、この気温ならこれくらいは欲しいよな。

中に入り、また源泉に浸かり、中の加温湯船に浸かって、一旦風呂から出る。

時間が経つほどに内側からホカホカしてくるのは、やはりぬるめのお湯にじっくり浸かったからだろうか。

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Img_3368_r岩魚。

Img_3371_rこの薬膳玄米粥がなかなか美味かった。貝掛温泉の名物、とのことだ。

「古来より、目の湯治には肝臓・脾臓の活療からと云われております」との説明書きが添えられ、クコの実、人参、とうもろこし、さつまいも、いんげん、あずき、胡麻が入っているそうだ。

そのほか、料理は全般的に優しい味付けで西の住人の僕の口にもとても合った。

新潟は言わずと知れた酒どころだが、越後湯沢からほど近い塩沢あたりは激戦区と言える。あの上善如水の白瀧酒造もこのあたりだし、何よりJが大好きだ、という鶴齢の青木酒造がある。

明日は青木酒造を訪れる予定にもしている。

料理に合わせてのお酒は、むろん鶴齢。鶴齢の飲み比べセットがあったので、これを注文。僕は横からちょっともらう。本醸造、大吟醸、純米大吟醸。純米大吟醸を中心にいただいたが、とても美味しい。

部屋に帰って一服してから、再び温泉へ。

19時で男女入れ替えがあったため、今度は手狭な方のお風呂だ。

露天には加温湯船はないので、湯の注ぎ口の近くで星空と時折霞がかる月を愛でて、それから中のお風呂で温まる。よいね。

P2100405_r前客が残したのだろうと思われる、すごく小さな雪だるまの横に、少しだけ大きな雪だるまを作って並べる。

P2100414_r

さて、出発だ。まずは塩見、青木酒造へ。

塩沢の街は観光客対応で景観統一といろいろな配慮がされていて、地方の街として頑張っている感じが伺える。

青木酒造。事前にJが営業の方とメールでやり取りをしていたこともあって、いろいろな話を聞かせてもらい、また醸造所の中も少し見せていただけた。

貝掛温泉では年に数回?青木酒造の見学会のようなものをやっていて、今回そのタイミングには当たらなかったのだけれど、鶴齢ファンのJはどうやっても訪れてみたかったようで、営業の方にいろいろ質問している。これを受ける営業の方も本当にお酒が好きで、また自社のお酒を愛していることが分かるような熱い方で、なんだかいいな、と思うし、僕も鶴齢に対する思い入れが強まった。

製造業と一括りにすると少し違うかも知れないけれど、やはり自社製品に熱のこもった愛をもっている企業の製品は違うと思う。そうありたいものだね。製造業の基本を見た気がした。

本当に楽しめた青木酒造訪問だった。

その青木酒造が経営しているらしいオーギヤカフェに寄り、少し気分を変えて、僕はカレーを、Jはワッフルランチ的なものを注文。・・・いや、実は僕はカレーに追加して苺ワッフルを頼んだ。苺系スイーツは外せない...

このカレーが美味かった。玉ねぎをじっくりと炒めたものと思われる優しい味で、ちょっと感動した。ワッフルも美味しいけれど、このカレーライスはおすすめだ。

さて、次の目的地、清津館に向かう。

貝掛温泉より標高が高いのだろう。積雪量はかなり多いが、後で聞いた話では、例年に比べて雪は少ないとのことだった。ともかくそんな中、清津館に到着。

前日の貝掛温泉は宿の構え、雰囲気からとても期待値を高めるものだったが、こちらの清津館は鉄筋コンクリートの建屋で、それがそれなりに老朽化している感じで、正直なところ、それほどいい雰囲気とは思えなかった。

ともかくチェックインする。

人の良さそうな女将さんと女中さん?が、本当に人当たりよく接してくれて、少し和む。

ここの露天風呂は貸し切り露天風呂のみ。明るい時間に入りたかったので早めの時間で予約しようとすると、加温に時間が40分くらいかかる、とのこと。加温時間を踏まえてできるだけ早い時間で予約する。

しかし、この貸し切り時間がたったの30分。1時間くらいはお湯に浸かっていたい僕としてはかなり物足りない。

一旦部屋に入ってから、あとの時間30分を追加(300円)で借りれないか?と聞いてみたところ、次に入るお客さんが選ばなければ...とのことだった。

だが、18時の夕食前にお風呂に入ろうとすると、その時間しかなかったので、案の定、無理だった。

ふと、窓の外を見る。

あ、いた!

P2100437_r拡大すると

P2100437ニホンカモシカだ。

ミラーレス一眼、OLYMPUS PEN Lite E-PL6を買ったのだけれど、このときダブルズームキットを買っていた。初めて、40~150mmズームが活躍した。かなり離れていたのだけれど、思った以上にちゃんと撮影できた。よく知らないのだけれど、僕が中学生のころ買った250mmレンズと同じくらいの倍率とかなんとか...

さて、時間だ。

ともかく、露天風呂に向かう。

宿で長靴を借りて一旦外に出て、宿の方が作ったかまくらを通り過ぎて露天風呂へ。

鍵を開けて脱衣所に入り、湯船へ向かう。

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Dcf00232雪の清津峡を望む絶景の露天風呂だ。

こちらの露天風呂には、源泉と加温されたお湯両方の注ぎ口があり、一方は源泉のみでかなりぬるい。大きい方が加温されたお湯が合わせて注ぎ込まれていて、この寒さには心地よい暖かさだ。返す返すも時間が短いのが辛い。

お湯も貝掛温泉に比べるとかなり濃いもので、泉質の違いがあるから一概にどちらがいい、悪いとは言えないけれど、硫黄臭が漂い、湯の花が漂うここのお湯は、柔らかく、心地よかった。

部屋に帰り、夕食用の部屋に向かう。

こちら、よい方に裏切られた。期待していた以上の料理で、実に美味い。

囲炉裏端をイメージした卓を挟む。

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鯉のカルパッチョ、また鯉こくと、山間部で無理やり海の幸を出さないところにも好感が持てるし、鯉もしっかり泥を吐かせているようで臭みもなく、脂がのって結構おいしい。

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山菜の天ぷらもサクサクして美味しいし、ヤマメも美味い。

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煮物も家庭的な味付けで好ましいく、山菜もうまい。

総じて思った以上にレベルの高いお料理だった。

とくに贅沢なものでもなく、とくにずば抜けてどうこう、というのではないのだけれど、こういう山間の宿にはよく似合う。こういうのがいい。秘湯にはね。

内湯に浸かる。窓からは雪景色だ。

Dcf00228ふぅ、よい気持ちだ。

翌朝、せっかくなので、清津峡見学してみようと思い立ち、宿の人に聞いてみる。

すると、冬季はやってないのでは...とのこと。むむ?そうなの?と思っていると、午前中だけ、管理される方が行かれているので、見学可能ですよ、とのことだった。

宿で長靴を借りて清津峡の観光用トンネルに向かう。

渓谷内の登山道が崩落で通行できなくなり、このトンネルが作られたといったことが説明に書かれていた。清津峡からこのトンネルの入り口まではすぐ近くだ。

P2110446_rこんなトンネルの中を歩く。中にはちょっとした展示物(熊のはく製はちょっと口が怖い...)や清津峡の案内ビデオが流されたりしているエリアがある。

そして、3か所のビュースポットがあって、ここではトンネルが進行方向左手側に伸び、渓谷の中腹に開口していて、終点には展望エリアがある。

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P2110468_rなかなかの景観。

往復しても40分ほどなので、ここまで来たら、是非行ってみればいいかな。

宿に戻り、ダメ元で冷えた身体を温めるためにもう一度露天に入れないか聞いてみる。

それは問題ない、ということなのだけれど、温めるのに40分掛かるとか。「出かける前に言ってもらえていればよかったですね。でも、内湯なら入れますよ。」とのこと。

残念だが時間もないので露天は諦めて、内湯で身体を温める。ふぅ、気持ちいい。

Jが貝掛温泉にiphoneのアダプターを忘れてきたことに気づいて、一旦貝掛温泉に戻り、それから越後湯沢へ戻る。

へきそば。やはり蕎麦好きの僕としては、これは食べたいところ。

Img_3428_r順番待ちすること40分くらいだろうか。

越後湯沢駅からすぐという立地もあって、このあたりでは有名な中野屋のへきそばにたどり着く。

これまた...思った以上に美味い!

調子に乗って2人で3人前を頼んで、出てきたときの量に驚いたのだけれど、腹いっぱいにはなったものの、最後まで美味しくいただけ。

新潟。美味いものが多いな。しかも温泉多いし。よいところだね。

レンタカーを返し、土産を少し買って、上越新幹線に乗る。

ああ、今回もいい旅だったな。

海外も面白いけれど、日本はまだまだ楽しめそうだ。

一度断念したあと、再び集めている日本秘湯を守る会のスタンプカード。今回の旅で、いよいよ残り2つで10個スタンプがたまる。今回は期間中にたまりそうだな。

今度は何処に行こうかな?

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2014年2月 2日 (日)

フカセ

とても久しぶり...2010年5月4日以来だから、4年前に足らないこと3か月...それほどぶりに僕の本業の一つであるチヌのフカセ釣りに行ってきました。

いつも海を見ていた

気が向いたら見てみてください。相変わらずの長文ですが...

ここのところ、少し重たいことが続いて、少しブログを書く気にもなれずにいました。

まぁそれはそれ。いろいろありますね。

HP更新で疲れたので、こちらはこのくらいで...

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