2014年1月 1日 (水)

2014年の年明け

2013hinode

皆さま、あけましておめでとうございます。

本年も皆さまに、そして僕にも、釣りに行ける程度の幸せが訪れ、また続きますように祈りたいと思います。

去年は本当にいろいろあった一年でした。

離婚もしたし、子供のころかわいがってもらっていた叔母が亡くなったり、その他にもかなり気持ち的に重いこともあったりして、年末も近づいてから、ブログを書く気にもなれなくて、あれこれ放置してしまいました。

年が明けたからといって、何がどうした、という訳でもない。

脈々と続く、昨日から明日への移り変わりの一つに過ぎず、それさえも、脈々と続く時間の流れを自分たちの都合で切り取った区切りの変化でしかない。

けれど、こういうけじめのつけ方は、人間にとってもしかしたら一番大事な発明の一つなのかも知れない。

年々、年末年始の区切りがぼやけてきているような気もするけれど、あえて、この年明けという大事な区切りをもう一度認識して、今日から、また新たな気持ちでいろいろと頑張っていこうかと思います。

三日坊主でも、三日やれば何かは残る...そう思えば、新しいことにちょっとだけトライしてみるのもいいかも知れない。

重たい気持ちを抱えてはいるけれど、それに捉われることを望んでいる人なんてほとんどいないはずだから、あえて踏ん張って、みんなで前に行けばいいのだと思う。

そうだな。

今年の目標は、前に進む、ということにしようかな。

右でも左でもいいけれど、右前、左前と、同じ位置で考え込まずに、少しだけ前に進もうかと思います。

では、縁のある皆様、また今後縁のできる皆様、今年もよろしくお願いいたします。

続きを読む »

2013年11月10日 (日)

冬が来る前に...今年3度目の周防大島紀州釣り

昨日、11月9日。

釣りに行ってきました。周防大島で今年最後の紀州釣り。

・・・う~む、何か書こうかと思ったのだけれど、「いつも海を見ていた」に書いたので、そちらをご参照ということで...

珍しく、短く終わってみたりするのでした。

2013年10月20日 (日)

怒涛の奥飛騨露天4連発

いや、本当にここのところバタバタしてしまって、おそらくかなり疲れている。

釣りのHPを書いているときは、それこそ、ある種の自主的?脅迫概念のようなもので、釣りに行くたびにその模様をアップロードしていたのだけれど、今となっては...というより釣りでないと、それほどそういうものも感じず、また、ブログだからiphoneからアップしてもよさそうなものだけれど、それもなんだか気が乗らず、回らず、という状況。

まあ、誰が見ているというわけでもない...というよりそれを意識もあまりしていなくて、単に書くのが好きだから書いているだけだから、これも仕方ない。

これから書くのは、10月5~6日の話。

その翌週、10月12~13日は、さらに神戸、奈良をぶらぶらしてきて、相当歩いて、これは歳のせいなのだろうか?左足の踵に激痛が...17日のこと...少し間が空いているので関係ないかも知れないけれど、今もちょっと違和感あって、強く踵を床に着けない状態。

昨日19日は釣りに行こうか、ということも考えたりしていたのだけれど、足が不安だし、これはちょっと休め、ということかな、と考えて、この土日はひたすらダラダラしていた。たまにはこういう週末も必要だなぁ。

 

さて、某社外団体の委員会で長野県は松本に行ったのは10月4日。泊まったのは松本の温泉で一応源泉かけ流し。

松本の温泉場は、どうも周りの雰囲気がいまいち。建物だらけで露天に入っても建物しか見えない。お湯もそうだが、温泉は雰囲気も大事だよな...と思う。まぁ比較的安い温泉宿なので文句をいっちゃぁいけないか。

地元屋という温泉。古びているけれど、アットホームな感じで悪くはなかった。

 

が、今回の話はその翌日がメインになる。

温泉好きのメンバ4人でレンタカーを借りて、松本から奥飛騨まで足を延ばし、温泉三昧といこう!という話になっていた。

 

JR松本駅前でレンタカーを借り、国道158号線を西進。穂高岳の南を上高地方面に登っていく。一路、新穂高温泉郷へ。

雨の予報だけれど、まぁ僕がいる。過去に何度も一緒にこういう後日ふらふらをしている2人は安心している。初めて一緒にふらふらする1人は疑心暗鬼。

つまり、まったく問題ない。露天は雨降ると...まぁ雨は雨の風情はあるけれど、落ち着かないところもあるから、天気はいいに越したことはない。だから僕と一緒に行動すると安心。

驚異の晴れ男として、実は一部では認知されているし、自分でもそう思っている。

 

今回の野趣あふれる露天風呂のセレクトはIさん。このあたりの温泉に実に詳しくて、年に2度は来ているというから安心だ。選りすぐりの露天風呂を案内してくれる。

まずは、こちらは日本秘湯を守る会の会員でもある槍見館。

Pa050011_r
槍見の湯、まんてんの湯という二つの混浴露天風呂が外来で利用可能。

この宿、宿自体がそうとう渋い。古民家を利用したような作りで、なんとも風情がある。一度はちゃんと泊まってみたい宿候補上位ランク(僕の)にあがってきた。

宿の入り口で料金を払って、階段を降りて露天風呂へ向かう。

オープンな脱衣所で服を脱ぎ...おお、素晴らしい!

すぐそばを流れる蒲田川に歩いて降りることができる。少し靄があって槍ヶ岳は見えないけれど、そこそこの天気で晴れ間も覗いていて、形の良い岩に頭と首を預けて湯につかって空を見る、緑を見る、目を閉じる、川のせせらぎとお湯の流れる音を聞く...心地よい...これぞ温泉の醍醐味だな。

単純温泉/炭酸水素塩泉で無色透明のお湯だけれど、きつすぎず、なかなか心地よいお湯だった。

 

が、一つ目の温泉であまりゆっくりしていると、最後まで体力が持たない。

次だ。

二つ目の温泉は、深山荘。

Pa050019_r

 

Pa050014_r

橋を渡っていくのだけれど、その橋の上からの写真。分かるだろうか?
写真中央少し左が湯船だ。まさにフルオープン。丸見えの露天風呂。

Pa050021_r
上から3段の湯船があり、上が一番熱い。一番下の湯船はもうすぐそこが河原で、先の槍見岳よりも容易に河原に出ることができる。夏場なんかは、川で泳いで、また温泉に浸かって...と楽しめそう。ちょっと川の中を素っ裸で歩いてみたけれど、それほど水温が冷たいわけでもなかったが、これはお湯が注ぎ込まれているからかな?

一番下のお湯にゆったり浸かる。槍見館とすぐ近くなのに、まったくお湯の性質が違う。

ここは単純泉なのだが、湯の花が浮いていて、硫黄臭もあって、雰囲気がいい。

 

Pa050023_r
また、形の良い岩に頭と首を預ける。本当に心地いい。・・・が、まだ2つ目なのに、結構疲れてきているのも感じる。温泉だと、さっと入って、さっと出る、という技ができない。4人が4人ともそうだから、なんだかんだで結構じっくり浸かってしまう。そろそろ出ようかな。

2段目には別のお客さんがいたので、挨拶をして、一番上のお湯に少し浸かってから...さぁ、次へ行こう。

とはいえ、少し疲れたので新穂高ロープウェイの上り口にある施設で昼食を取る。ここにも温泉があるようで、こういった公共温泉特有の休憩場所があった。食事をしただけで休ませてもらうのも気が引けたが、皆疲れているようで、ここで30分ほどの小休止。皆は寝れるようなのだが、こういうとき寝つきの悪い僕は、早々に起きだして、トイレにいって、施設内をぶらぶらする。

さて、最後は、水明館 佳留萱山荘。巨大な露天風呂を持つ温泉だ。

Pa050035_r_2
ここはたくさんのお客さんが入っているので、湯船周りの写真は撮れない。けれど、今は各温泉宿のHPも充実しているので、そこを見れば足りるから、あまり写真撮影に固執する必要はない...のだけれど、実は、最近、ミラーレス一眼を買ったので、ちょっとうれしくなって写真を撮りたい気分にもなっていたりする...

湯船は大きく分けて3つある。一番手前のお湯は結構熱い。その次にある湯船は広いのだが...なんだか緑...これ、藻だよなぁ...こういうの野趣あふれる、というのだろうか。

ちょっと僕には落ち着かない。いや、普通、落ち着かないよな。ここのお湯は温めだからゆっくりできるのだけれど、早々に一番奥の湯船に向かう。

ここもそこそこ広く、奥には洞窟になっているところがあって、この洞窟の中に日本秘湯を守る会の提灯がぶら下がったりしていて、面白い。けれど少々湯温が高いので、あまり長湯はできないな。

ここも単純泉だけれど、やはりまたお湯の質が違う。硫黄臭は漂っている。

 

こうやって、3つの露天風呂を制覇して、宿へと向かう。いずれも混浴だけれど、女性は割としっかりとした湯あみ着を着ているので、それほど気にならない。

考えてみると、何故青森の混浴露天では、こういう湯あみ着を着ていなかったのだろう?文化の違いかな?

 

宿は、平湯温泉ひらゆの森。温泉テーマパーク的な巨大な施設だ。

大きなお土産物売り場などがある受付から、驚くほどの長い廊下をひたすら歩いて、ようやく部屋にたどり着く。

まずは温泉だ。...しかし、好きだなぁ ^^;

ちょっと舐めていてた。昼間に訪れた秘湯に比べればはるかに俗っぽい施設だから...

しかし、お湯は結構すごい。湯船は男湯の方は7つ。女湯の方が多いようだ。

宿泊者用には内湯もあって、この内湯と、内湯から出たところにあるヒノキ風呂。それともう一つあたりが湯温も高いが、何しろお湯が濃い。湯の花で完全に白濁している。硫黄臭も強い。

外来のお客さんがいる時間帯なので、子供たちが走り回ったりしていてまったく落ち着かないけれど、これは夜が楽しみだな。

こういう施設にしてはなかなかの食事をいただいて、部屋でさらに少し飲んで(僕はほとんど飲めないけれど...)、深夜に近い時間帯、再びお湯に浸かる。

露天のヒノキ風呂にゆっくりと...少し熱いが、それでも夜風は少し冷たく、気持ちいい。

ふぅ...

いろんなことがあったなぁ、ここ2~3年は。

・・・なんてことを考えるのも、こういう時間か。

 

朝湯もして、そして帰路に着く。

午前中、少しだけ時間があるので、安曇野方面へ。

Pa060062_r
安曇野の大王わさび農場。ワサビというと山間の清流で育てられているイメージがあったのだけれど、こんな平野でも育てられるんだなぁ。鮮烈な湧水がなせる業か。

Pa060065_r

Pa060069_r
そして、安曇野を松本方向へ向かう。

Pa060078_r
♪夢を夢で終わらせたくないと、君はこの町を出る。千切れるほど振るその指先が芒に溶けた秋の日。野分吹く安曇野に君の後姿。まだ明けそめぬ空に名残月。僕の愛を一包み、君の知らぬ間にその小さな荷物に忍ばせた。それに気づくほど疲れた時は、思い出して梓川♪(さだまさし)

安曇野に寄りたい、と言ったのは僕。

季節は違うけれど、安曇野を走る僕の頭の中には、さださんの安曇野の優しく強い詩が何度も流れたな。

ああ、楽しかった。

・・・けれど、正直温泉入りすぎてクタクタに疲れ、身体に染みついた硫黄臭を漂わせながら、ぐったりと、特急、新幹線を乗り継いで広島へ向かった僕だった。

温泉耐久力を身につけなければ...??

 

 

2013年9月19日 (木)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その8 「秘湯 蔦温泉」

P1050106_r_3
蔦温泉。この旅で、宿としては一番楽しみにしていた宿だ。

温泉だけなら、不老不死温泉も楽しみだったが、ここは宿と料理と温泉、すべてが楽しみ。

玄関を開けて中に入る。

右手に番台?とは言わないのか...それじゃ銭湯か...宿の方が受付その他をいろいろやっている部屋がある。廊下がその前を右手側に伸びている。

左手にはストーブが設置された談話室のような部屋。

歴史を感じさせる、けれども清潔で落ち着く空間。

さすがに人気の高い宿だけのことはあるな。

P1050104_r_2

P1050112_r

P1050110_r

P1050117_r

P1050133_r_3

本館へと続く長い階段。

P1050136_r_2

本館は本館で歴史を感じさせる、非常に雰囲気のある空間。

ただ、今回は本館ではなく、鉄筋コンクリートで比較的新しい西館へ部屋をとった。

P1050159_r

雪を眺めつつ、きちんとトイレもついて、蛍光灯もつく、落ち着いた部屋。

青荷温泉のようなところではなく、温川温泉でもなく、やっぱりこれくらいのいい部屋が落ち着く...と考えるあたり、まだまだ素人?秘湯を語る資格はないかも知れないけれど、まぁなんというか、せっかくの休みにお金を使って出かけるのだから、気持ちのいい空間で過ごせた方がいいに決まっている。そんな風に思うあたりも、歳をとったのかな。

 

F1000084_r

人がいなかったので、手元にあった携帯電話のカメラでとったため、暗くてよく分らないけれど、泉響の湯だ。

ヒノキの木肌が優しい。

蔦温泉は、浴槽の底から温泉が湧き出てくる。

底には簀の子が敷いてあるが、その下から、お湯がこんこんと湧き出ている。

もう、それだけですごい。うれしい。

ポコっと泡が浮き上がってくる。あそこ...と思ったら今度は自分の真下から。

無色透明で少し熱めだが、いつまででも浸かっていたいような素晴らしいお湯。

もう一つの久安の湯。こちらの方が歴史のある湯で風情はあるが、新しい分、泉響の湯の方が落ち着くかな。

・・・どうにも、今回の旅では、青荷とか温川とか、古ぼけた(というと聞こえが悪いが)施設の宿に泊まって、特に青荷で苦労した(思った以上に気持ちも心も休まらなかった)からか、清潔でしっかりとしていて、それでいてある程度雰囲気のある設備に気持ちが惹かれるようだ。

いや、それにしても素晴らしい。なんといっても、足元からお湯が湧き出て、湯船からオーバーフローしているのだから。

P1050167_r_2

お料理は部屋食でいただいた。

特に豪勢、というわけではなくて、素材自体は温川とそんなに違わないのかも知れないが、天ぷらは熱くサクサクしているし、それぞれの料理にそれぞれひと手間かけてあって、実に美味しい。

なんだか幸せな気分になってくる。

美味しい料理と素晴らしいお湯。温泉旅館の醍醐味だね。

気持ちよく夜が更ける。

ちょっとだけ、雪を心配しながら...まぁ帰れなければもう一泊...部屋、空いてないかな?

朝、雪は止んでいて、交通規制も解除されている様子。

お湯に浸かり、朝食を食べ...散策できるコースがあるようだぞ。

蔦沼。南祖の坊に片恋した蔦子姫が身を沈めたといわれる沼。

この沼をはじめ7つの沼を巡るコースだ。

長靴を借りて歩いてみようかと...だって、結構歩いてる人いたし...いやぁ、まいった。

P1050178_r

蔦沼。このあたりは何の問題もなかった。

それどころか、ここは岩魚がつれたりするらしく、それを想像するだけでうれしくなっていた。

P1050182_r

雪山だ。

時折、ボコっと足を取られながら次の沼を目指してあるいていく。

道が見えない。

人の歩いた跡を辿るが、なぜか消える。ズボっと沈む。

あれ?どっちから来たっけ?

・・・危うく遭難するところだった...といえば大げさだが、ほんとにどっちに帰っていいかわからなくなって、結構焦ったお散歩だった。

P1050191_r

いつか、また来たいなぁ。


少し走りやすくなった八甲田山ろくの道を雪を眺めつつ下る。

さて、弘前。

桜はどうなった?

to be continue...

2013年9月 8日 (日)

いい加減過ぎた...

周防大島で再度紀州釣りをしてきました。9月7日。

釣りについては、「いつも海を見ていた」を更新したので、興味あればそちらを見ていただければ、と思うところ。まぁ要約すると、まったく反応なかったのだけれど。

潮回りを気にせず、釣果も実はまったく気にせず、工夫もできず...ということだから、結果はやむを得ないのではあるけれど...でも、海はやっぱりいい。

すっかり涼しくなった。

午後、夕方前くらいからは雨の予報だったし、午前中も曇り予報で少し油断したんです。

麦わら帽子被っているし、長袖だし。

右手だけ、シャツの袖をたくし上げていた。

時折夏の名残の日差しが射しこんでいた。

結果が...

Ude

これだ...

う~む、恥ずかしい。なんか罪人みたいだ...やれやれ...

2013年9月 1日 (日)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その7 「田酒、そして再び八甲田と恐怖の雪道」

2013年5月3日。

と、書き始める今日は9月1日。暑い日が続いている。ここ2週間ほど週末ごとの雨に見舞われて、なんとなく閉じこもりがちな夏の終わり。

ブログというと、つまり日記で、どちらかというと即時性が特徴なのだろうと思う。そのために書き込みやすいツールが準備されていて、だれでも手軽にアップできる。

こうやって4か月も経って季節感がずれている話題を書くというのは、これはブログとしては不適切なのだろうと思うのだけれど、まぁ、こうやって書き始めたし、当面、この形で書いてみようかな...と、誰に説明しているのだろう?自分か?

この間ブログにアップした久しぶりのチヌ釣りは、そのあと、やっぱり違う、と思ってHPを改めて更新した。当初、ブログに書いたものをコピペして、少しだけ加筆しようかと思ったのだけれど、書き始めると、そもそも書くことが好きな僕は、ほぼ書下ろしになってしまった。

そうなんだよな。昔から書くことは好きで、だから僕のHP「いつも海を見ていた」は、おそらく釣り関係HPの中では群を抜くテキスト量だと思う。つまり文章が長い。こういう長い文章に付き合ってくれる理屈っぽい当時の数人の仲間とは、今も付き合いが続いている。

意識していないが、自然と理屈っぽい僕に合う人を見つけ出してくれたのかも。

ともかく、この青森の話題も完結していないし、実はニュージーランド編もまだ完結していない。そのあと山陰で温泉に浸かった話題もあるのだけれど、これは着手もしていない。普通の人の数倍の文章を(ほとんど無駄話だけれど)書くから、時間かかるんだよな。でも、振り返って自分で読んでみたら、案外それはそれで面白いので、ともかく書きかけた以上、ゆっくりとでも完結させておこうかな、と思う。

即時性をもったブログより、少し時間をおいて、自分の中で出来事を消化して、文章に置き換えていく。そんな作業が好きなんだよね。

さて、頭の中の季節を春とはいえ、いまだ冬の様相の青森に戻そう。

その、2013年5月3日。

温川山荘を出発した僕らは、東北自動車道を北上する。

この日の宿は楽しみにしていた秘湯蔦温泉なので、温川山荘からはさほど離れていない。時間があるのでどうしようか?と考えたところ、Jが青森に行くなら絶対に行きたい、と言っていた場所に行く時間が十分にある...ということで、青森市街へ向かうことにした。

目的地は、知る人ぞ知る東北の銘酒「田酒」の醸造元、西田酒造だ。

醸造所見学ができるのかどうかも分らないが、ともかく、あの田酒を作っているところに行ってみたい、というのがJの希望。

Jと旅行をするようになって、僕一人では絶対に行かなかったと思われる場所に行くようになった。その一つが日本酒の醸造所であったり、ワイナリーであったりする。

少し余談だけれど、仕事関係(...なのかな?)でウィスキーの蒸留所にも行っている。サントリー山崎蒸留所には3~4回行っているし、白州蒸留所にも行ったし、ニッカの余市蒸留所にも行った。

余市の雰囲気は僕をウィスキーの魅力に一気に引き込んでしまったし、山崎ではサントリーの人たちが、本当に好きで好きでたまらずにウィスキーを作っているということを感じさせてくれて、今では、いつかスコットランドを訪れて、アイラやスペイサイドの蒸留所に行ってみたいと思うようにすらなっている。

ビールは工業製品だと思う。工場に行っても全く魅力を感じない。まぁビールは飲む気もない、とういのもあるのだけれど。

一方で、ウィスキーやワインは、時間と、その土地の空気を閉じ込める作業によって生み出される。この長い時間をかけて書かれた手紙を読むような、くすぐったいような感動がそこにあって、せせこましい日常を同じ空間で送る僕らに、時間と空間を飛び越えるような贅沢な気分も与えてくれる。時間が味を変え、空気が味を変える。本当に面白い。

日本酒は、これは職人が生み出す芸術だと思う。日本酒の酒蔵を訪れると、そこは職人の作業場で、熱意と、酒にこだわり続け時間が閉じ込められていて、厳かな雰囲気すら感じる。とくに小さな醸造所がそうだ。

ということで、今回の西田酒造訪問も、僕も結構楽しみだ。

カーナビを頼りに西田酒造を目指す。いつも通りのミスリードで裏手の方をグルグル回らされて、ようやく正面入り口を発見。・・・しかし、どうにも入り難い雰囲気だ。

ともかく車を停めて正面入り口へ行ってみる。やはり、なんとなく入りにくい。

P1050055_r

僕一人なら諦めて帰っていたところだが、Jの執念?はそれでは我慢できない。

決心して入り口の引き戸をガラガラ、とあけてみる。

「こんにちは。すみません。」

緊張...

すると中から、人の良さそうな女性が出てきてくれて、一安心。

話を聞くと、やはり西田酒造さんでは見学の受け入れはしていなくて、ここでのお酒の販売もしていないらしい。

それでも、Jの熱意と田酒愛にほだされたのか、いろいろ話を聞かせてくれた。

田酒は生産量が非常に少なく、付き合いのある特定の酒屋へほとんどが卸されているようだ。

P1050057_r

撮影OKの範囲で記念撮影させてもらい、近所で田酒を扱っている酒屋を紹介してもらう。

お礼を言って、その酒屋を目指す。

P1050066_r

おお!田酒だ。

しかし、これは空き箱が並んでいるだけで、このお店でも販売できる田酒の量は限られている。お店の方にもJの田酒愛が伝わり、分けていただけるだけの田酒の純米吟醸と、さらに山廃仕込の田酒を購入。

P1050280_r

この田酒。帰って飲んでみたが、やはり旨い。

辛口だが芳醇で柔らかい味わい。僕はお酒に弱いので、アルコール感が舌や喉に刺さるような日本酒は苦手だ。だから、たとえば地元では獺祭や宝剣などの純米大吟醸などのような、どちらかというと女性好みの、香りがよくフルーティで、お酒お酒していない日本酒が好きだ。

田酒はまさにそんなお酒で、これほど飲みやすく美味しい日本酒は多くないと思った。山廃仕込は通常少し飲みにくい(僕のような人間には)らしいのだけれど、田酒の山廃は、これまた美味しい。素晴らしい。

酒屋を後にして、ここまで来たのだから...ということで青森中心部へ向かう。お土産などもここで買っておこう、と、青森観光物産館アスパムの駐車場に車を入れる。ここは青森港のすぐそばだ。

とりあえずアスパムの中の様子をおおよそ把握して、ちょっとお腹も空いたな...ということで、街へ出てみる。食べログを見て目安を付けてお店を訪れると、休みだったり、時間外だったりで、ちょっと困ってしまう。

街を歩いていると雪が舞ってくる。寒い。

青森市街で雪が舞う...大丈夫かなぁ...

青森魚菜センター、というのがある。ここは一般向けに販売している魚市場のような感じなのだけれど、一枚100円のチケットのつづりを買って、ご飯を買って、あとはそのチケットで市場内の各店にあるお刺身などを購入してご飯にのせて丼にする、という面白い趣向をやっている。

ここに行ってみる。

魚がいっぱい。釣り師は魚を見るのも大好き。

お、ホヤだ。

P1050075_r

正直気持ち悪い...

相当な店の数で、それぞれ観光客を呼び込むため、工夫を凝らして丼用の素材を並べている。

P1050077_r

僕の海鮮丼は、せっかくの青森なのでマグロ中心。

Jの海鮮丼はバランスと色合いがよいね。

P1050078_r

ここでは、ダシに凝っている僕は昆布を購入。さらに鮭とばを購入。酒飲まないのに、こういうの好きなんだよな。

ちょっと量が足りないのと、コーヒーを飲みたくなって、喫茶店を探す。

ケーキセットがお得そうな喫茶店を見つけて入る。

P1050084_r

...なんかうれしい...

アスパムに戻り、お土産を購入。そろそろ宿に向かおうか。

国道103号線を南下する。八甲田ゴールドラインだが...みるみるうちに道路わきの積雪量が増してくる。しかも降雪量も増えてくる。道路標識では、夜間通行止めの表示すら出始めている。

タイヤはノーマル。しかもコンパクトカーで車体重量も軽い。普段車に乗らないJは比較的呑気だが、ずっと四駆に乗り続けていた僕だが、雪道では怖い思いを何度かしているので、こちらはかなり緊張してきている。最悪たどり着けない。たどり着いても翌日空港へ向かえないのではないか?

ちなみに、昔僕は20年ほどの前のモデルのパジェロのショートボディ、V6 3000ccのモデル、かつマニュアルミッションという、割と希少価値?のあるモデルに乗っていた。このころ早春の中国山地の山間にアマゴを釣りにいって、雪道で少し無理をして(スタッドレスは履いていない)道路から道路わきの雪の積もった小さな空き地に飛び出したことがある。幸いデフロックして自分で脱出できたけれど...

その後はもうパジェロを買うほどのお金もなかったので、エクストレイルに乗っていた。パジェロに比べるとちゃちな感じだったけれど、パジェロほど壊れなかったな。・・・ほんと、パジェロはよく壊れた。三菱自動車は車をまともに作る能力ないんじゃないか?と思ったくらい。でも、個性的で面白い車だった。好きだったな。

と...ともかく、再び酸ケ湯温泉のあたりまで来たころには、もう道路の上も積雪していて、接地感がなくなってきている。

P1050091_r

これは相当やばい。

登りはまだ登れる限りなんとかなるが、下りは怖い。しかし、そのうち下らないといけない。

ともかく、いまだ雪は吹雪いている。

P1050196_r

5月だぞ。くそ!

相当まずい状況だ、ということをJは未だ認識していない。

傾斜の緩いところで車をとめて、路面の状況を把握する。幸い夜に向かって冷えていく状況なので、轍も見た目ほど水気は出ていない。

なんとかなるかな?引き返すのも勇気だぞ、という声が時分の中に聞こえるが、引き返すにはこの道を下らないといけないという事実もある。ここまで来てしまったら、なんとか行ってしまう方がいいような気もする。明日、帰れなくなれば、それはそれで仕方がない。

ゆっくりと車を進める。スタッドレスを履いた車には素直に道を譲る。

こんな道にノーマルタイヤで入ってくる僕がおかしいのだから、周りに迷惑だけはかけないようにしないと。

道が下りに入る。傾斜がきつく、カーブもきついので怖い。

肩に力が入ってがちがちに凝ってきているのが分かる。

幸い...そういえばそうだった...奥入瀬に行ったとき、下り、つまり十和田湖側は積雪量が少なかったんだった...雪が減ってきた。

一安心...そうして、ようやく、蔦温泉に到着した。

P1050171_r

ああ、疲れた...

to be continue...







2013年8月15日 (木)

湯のある風景~青森、春遠からじ~ その6 「ミニ白神遊歩道、マタギ飯、そして秘湯温川山荘へ」

絶景の黄金崎を後にして、しばらく走ると、釣り師心をくすぐられるような岩場が目に入った。

ちょっと立ち寄ってみる。

P1040975_r


P1040976_r

海の中の歩道を歩くと、自然の岩のトンネル。

ここを潜り抜けると、

P1040985_r

よだれが出そうな磯場だ。ここ、釣り禁止なのかな?誰も竿出していないけれど。

生憎の小雨交じりの天候なのだけれど、しばし海に見惚れて、そして車に戻る。

今日の宿は、また十和田湖方面に戻り、一昨日の青荷温泉からもそうは遠くない温川山荘(ぬるかわさんそう)だ。

今回の旅で、日本秘湯を守る会の宿を2つ予約していて、温川山荘はその一つ。

基本的に温泉宿にはなるべく早く入って、日が暮れる前に露天風呂に浸かることをポリシーとしているのだけれど、さすがに少し時間がある。

観光マップとiphoneのグーグルマップとを見て、なんとか行けそうな面白そうなところを探す。

世界遺産の白神山地は近いが、あの雪を見た後で、しかもまったくそういう装備もしていない状態なのでさすがに無理だろうし...と思っていたら、ミニ白神遊歩道というのを見つけた。

ここは世界遺産登録エリアからは外れているが、原生ブナ林など、白神山地の生態系を垣間見ることができる、比較的手軽なところらしい。

ルートを変えれば通り道ともいえるところなので、ここへ向かうことにする。

山中の田舎道をひたすら走って、案内表示に従ってさらに山を登る。

・・・雪が...

これ、大丈夫なのか??

2013年5月2日。春だよなぁ。ほんと、北国の春は遅い...

とりあえず、総合案内休憩所「くろもり館」の駐車場に車を停め、施設に入ってみる。

コースは外周コースと内周コースの2コースあるが、内周コースは入山可能とのこと。どうしようかと悩んだのではあるけれど、幸い雨も止んでいるし(晴れ男なので、車から降りるとだいたい止んでいるのだけれど)、長靴も借りれるとのことなので、長靴借りて入ってみることにする。

P1040999_r

入り口の雪はとりあえずこんな程度だし、問題ないだろう。

歩道は見えないから、赤い紐を目印にして進むように聞いたが、さてさて、どれほどのものなのか??

P1050008_r

こんな感じ。しかし、この季節にダウンが大活躍するとはね...

P1050007_r

P1050018_r

森に置かれている聴診器でブナの生きている音を聞き、森の湧き壺という鮮烈な水源を感じる。そして大きなブナに、生命の爪痕に感動する。

P1050024_r

木の根元は雪が溶け、水の流れも雪を溶かす。春は近づいているのだろうね。

このエリアも入山はちょうど今日かららしく、雪のミニ白神もこのタイミングでないと体験できなかったかも知れない。これはこれで、なかなか貴重な時間になった。

さて、お腹も空いた。実は車もお腹が空き気味なのだ。気になっていたのだけれど、まぁ大丈夫だろう、と山に入ってしまって...考えてみればこんな山中にガソリンスタンドはないし、ここから岩木山の麓というか中腹というか...を抜ける鰺ヶ沢街道を登らないといけない。

まぁ悩んでもいまさら仕方ないし、距離と推定ガソリン残量からだけ考えると、弘前に抜けるまで大丈夫なはず。

岩木山への登山道脇を過ぎたあたり、嶽温泉がある。ここはマタギ飯というのが有名なようだ。

ちょっと通り過ぎてしまったのだけれど、ガソリン残量を気にしながら引き返して、その名もマタギ亭に立ち寄る。

温泉地なので、駐車場あたりを流れる溝からも湯気が立ち上っている。立ち寄り湯に浸かる選択肢もあるのだけれど、まぁ今回は温泉三昧なので(不老不死温泉で朝湯もしてるし)やめることにする。

P1050037_r


P1050042_r


出てくるまでに相当待たされて、出てきてからも炊き上がるまでさらに待って...と、1時間ほど待たされる。つまり腹が減っているところで気が遠くなるほど待たされて、ようやく食事にありついた。

キジ肉、マイタケなどの釜めしだね。

なるほど、確かに美味しい。ただ、こうして記憶を辿りながら文字を連ねている夏の日にその味の記憶を思い出せるほど、鮮烈なおいしさではなかったかな。

また近くでお昼を食べるなら行ってみてもいいかな、という感じだろうか。

さて、思った以上に時間をつぶして、あらためて出発。ここからはほぼ下り坂なので、ガソリンの消費量も抑えられるだろう。

弘前に近づくと、ガソリンスタンドも目に入ってきた。ほっと一息。

弘前城の脇を抜ける。

P1050043_r

お!桜、ちょっと開いてきてる!

最後の一日、もう一度弘前城に立ち寄るつもりなので、少し期待が高まる。

P1050054_r

そして温川山荘へ到着。吉川英治が静養したという温泉だ。

まさに鄙びた温泉宿。少々鄙びすぎているかな...好みの分かれるところ。

F1000083_r

玄関から入って右手の扉を外へ出ると秘湯を守る会の提灯。階段を降りると露天風呂、藤助の湯ぅっこへ。


F1000072_r

F1000073_r

入り口は男女分かれていて、脱衣場も分かれているのだけれど、湯船は一つ。

混浴だ。

F1000076_r

不老不死温泉もそうだったのだけれど、東北は混浴の温泉が多い。それは別にいいのだけれど、慣れないんだよね。

こういう秘湯っぽい場所だと、温泉好きの女性は混浴に入ってくる。それもいいのだけれど、慣れない。つまり、視線のやり場に気を遣う。

別に見たいとか見たくないとか、そういうつもりもないのだけれど、不自然なまでに視線を逸らそうとしてしまうから、結構疲れる。景色を見まわしながらゆったりと露天風呂で過ごすのが好きな僕としては少々窮屈。これはまぁ僕の都合なんだけれど。

ここでは、しばらく誰も入ってこなかったので、存分にお湯を楽しんだ。

少し熱めのお湯。無色透明。結構いいお湯だ。

しばらくすると、カップルが入ってきた。う~む。なんかめんどくさい。

仕方ないので一旦出る。

間をおいて、再び露天風呂に行ってみると、まだいる。立ち寄りの方のようなのだけれど、東屋に荷物を置いて、出たり入ったりしているようだ。

内風呂はヒノキ造り。

F1000082_r

こちらで間をつないで、あらためて露天へ。今度は誰もいない。また落ち着いて浸かる。

温泉好きである以上、混浴にももう少し慣れないといけないな...

食事の方は、可もなく不可もなく。という感じだろうか。鄙びた温泉宿にはよく似合った、よく言えば落ち着いた、悪く言えば、ちょっと印象に残りにくい食事だった。

素朴な鄙びた温泉が好きであれば、結構はまる温泉かも知れない。

僕はどうか?

今となっては、翌日宿泊した蔦温泉の素晴らしさばかりが記憶に残っていて、ちょっとよく分らない。

そう、翌日の宿泊は、今回の旅では、不老不死温泉と双璧をなす楽しみな温泉。蔦温泉だ。

to be continue...

2013年8月14日 (水)

久しぶりに...海を見てきた ~周防大島。竿を出す。~

Img_2677_r

2013年8月13日。真夏の容赦ない陽射しが...地面をも溶かすような日が続いている。

心は釣り師。

だから、炎天下とはいえ、時間があるときに車さえあれば、釣りに行こうかな、という気分になるくらい、気持ちの方は落ち着いてきたし、「釣り」に対してあまり感じられなくなっていた高揚感もいくらかは感じられるくらいに気持ちも戻ってきている。

ときどき、釣りの夢を見る。

盆の連休は6日間。

その5日間、レンタカーを連続で借りてみた。格安レンタカーは庶民の味方だなぁ。それだけ借り続けても1.7万円弱。

連休の前半はJが広島に遊びに来ていたので、実はちょっと周防大島に行って、小一時間ほど、それこそ何年振りか覚えていないくらい久しぶりに海に浸かってみた。

・・・これほど疲れるか?というくらいその短時間で疲れたのは、久しぶりだからか、あるいは歳だからか?どっちもかな...

さて...

つまり釣りにいったのは連休に入って3日目。

車はあるので何時に出発してもいいのだけれど、大畠基準で朝の6時半ころが干潮だ。

フカセも考えたのだけれど、この夏場だと入れる地磯が限られるし、なんとなく行きたい場所が頭に浮かんでいたので、紀州釣りを選択。久しぶりに団子を握ることになるが、まぁできる範囲でやってみよう。

上げ5分から、下げはじめの時合までをイメージして、まぁ、8時くらいに出ればいいか、と考えた。

この時点ですでに久しぶりの釣りの弊害が出始めている。

今住んでいるのは広島市佐伯区五日市。以前は旧大野町という宮島より西側だった。

五日市からそこまで行くのに30分掛かるという計算がまずできていない。加えて、こんな通常の人が移動するような時間にスムーズに車を走らせることができるはずもない、という計算もできていない。

結局、家を出たのが8時半ころ。周防大島へ渡る大島大橋に到着したのは10時40分ころ。さらに車を走らせて、釣り場に到着したら...11時半...

う~む...大畠基準で12時47分だから、ここだと13時くらいか?

団子を打って場を作るのに、いくらこの海が高活性な時期でも1時間はかかるから、上げ止まり前の時合ギリギリか...

フカセなら速攻で結果を出せるが、団子はこの仕込みの段階が重要だからね。

ともかく、

紀州マッハ(青)、紀州マッハ攻め深場(緑)を1:1でバッカンに入れて、細挽きサナギを入れる。・・・あ、押し麦買うの忘れた...どうも久しぶりだと...いろいろと...

3年間眠っていたアオハタのコーン缶の空き缶(後生大事に持ってたもんだ...よくも...)で少しずつ、団子の感触を確かめるように海水を入れていく。

こんな感じだったかな?

辿ってみる。記憶は自信ないので、HP「いつも海を見ていた」を開いて記録を辿ってみる。

驚いた。なんと最後に紀州釣りをしたのは、2007年9月8日。6年ぶりかよ...

という訳で、6年ぶりなら当たり前だけれど、すべてが自然にできない。団子作りなんてその最たるものだ。

ちなみに、最後にチヌを釣りにいったのはフカセで、それも2010年5月4日だったのだけれど、そのせいで、フローティングベストのポケットのファスナーというファスナーのすべてが塩噛みで固着し、塩噛み解消用の専用ムーススプレーを買ってなお動かず、少しお湯をいれて洗剤を溶かしたバスタブに丸一日漬けても動かず、最後にペンチで思いっきりひっぱったら、ファスナーの歯?が3本欠けて、ようやく動いた...(一つ目が...)というような状況だった。なにせポケットの中にいろんなものを入れたままなので、開けないと買わないといけないものが山ほど増えるのでね..

とりあえず、一つ握ってみる。

う~ん、ハードワークだなぁ。団子って。などと、この時点で先が思いやられてくる。

下手投げで、昔のように投げてみる。まだ竿を持っていないので普通に飛んで、トッポーンといういい音が聞こえた。

なんとかなるかな?

3つほど団子を放り込んでから、仕掛けづくりだ。

前夜、浮きケースが見当たらなかった。越してきたとき、チヌ釣り道具だけは忘れないようにしたつもりだったのだけれど、忘れたのかな?

いろいろ探してみると、使わないような20本近い棒浮きの中に、ケースに入ったままの永易浮きssサイズがあった。それと、自作の自立浮きが一つあった。

紀州釣りで僕が使う浮きは自立の浮きだけ。思うようなものが売られていない(自立浮きはおもり負荷が大きいものしか売っていない)ので、以前は浮きは自作していた。

永易浮きに出会ってから、僕の紀州釣りのスタイルは変わって、基本的には永易浮きを使うようになり、永易流と言われる、適切なハワセでエサ取りのアタリを消し(感じられる程度に残す場合もある)、本命アタリを演出する...そしてエサ取りの時間を固く握った団子でしのぎ、本命がエサ取りの後に寄ったときに食わせる...ものすごく概略をいうとこんな感じの釣りに傾倒した。

永易さんとももう長いこと会っていないな。まぁ釣りをしていないのだから当たり前だけれど。

あれから、彼はもっともっと進化して、もっともっと道を究めたんだろうな。いろんな葛藤はあると思うのだけれど、あれだけ一つの道を歩める永易さんには、今更ながら尊敬の念を感じるところ。

さて、唯一の永易浮きをセットして、ハリスはたぶん3~4年前に買ったのだと思うけれど、Vハード1.25号。少なくとも紫外線は浴びてないし、まぁ大丈夫だろう。

空バリを団子に包んで、握る握る握る。

・・・なんか自信ない...

エイっと投げたら、案の定空中爆発。やれやれ。こりゃだめだ。

今の僕にはこの団子の水分量じゃ握れないな。・・・と早々に諦め、悟って、水分補充。

握って、投げる。今度はうまくいった。

棚を取りたい。このポイントはよく知っていて、だいたい今の水位だと竿2本というところのはず。

Img_2680_r


竿2本+1mくらいの棚設定で投げているのだけれど、団子の着底が分からない。これじゃ棚もつかめないので、次は70cmほど詰めてみる。浮きが浮き止めに引きずられて沈む。

と、思ったら浮いてきた。これは団子のほぼ真上まで浮きが移動して顔を出したのではなくて、団子が割れたっぽい。

いかんなぁ。これはいかん。

もっとしっかり握る。しかし、こりゃ腕がもたんぞ...しかも思うように固く握れない。手が痛いばかりで力が逃げる。参ったなぁ。

浮き止めを20cmほど深くセットして、投げる。

これでトントンかなぁ。しかし、また割れるのが早い。

さらに諦めて、さらに悟って、今度は紀州マッハ緑を追加して、水分を足す。緑は粒子が細かいため、非常に握りやすい。また、水分をある程度増やしても綺麗に割れてくれるのがマッハのいいところ。

たぶん、今日のコンディションだと、糠団子じゃ無理だろうな。

そのあと、さらに3投ほど空バリを包んで、投げて、とりあえず棚設定を終える。

団子は少しは持つようになったけれど、とても1分も持たせることができていない。

相当魚の活性が高いようだ。

とめどなく流れ出る汗。

まったくもって、日ごろ買い物に行ったりしているだけでも暑くて死にそうなのに、日中、一番気温が高くなる時間帯に焼けたコンクリートの波止の上に座り込んでいるのだから、もう、逃げたいくらい暑い。熱い、と書いた方がいいくらいだ。

1時間も団子を握っていると、すでにペットボトル一本の飲料が空になっていて、呼吸も荒くなっている。昔々若いころは、夏場でも水分とらずに一日釣りをしていたのだから、随分普通の身体になったもんだ。

沖アミは瞬殺されている。

ベラを一匹掛ける。こんなやつや、チャリコなんかがウジャウジャいるんだろうなぁ。

コーンを3粒~4粒刺し、団子を握る。・・・すでに結構辛い。

コーンが1粒だけ残る。次はコーンが潰れている。

我慢して団子を握る。投げる。

着底。

軽い団子アタリのあと、浮きがトップまで沈むようなガツンとした団子アタリ。間違いなく出てる出てる。チヌだぞ。

久しぶりの高揚感。

スーッっと、浮きが綺麗に入る...アワセ!

ガツン!

久しぶりだなぁ、この感触。

いまだ使っているがま磯プレシードSP(もう知っている人が少ないだろうなぁ)越しに、底をグーンと切る、そして首を振るチヌの手応え。

本当に久しぶりだなぁ。

底を切って、少しその感触を楽しみ、浮かせに入る。

35cmくらいはあるかな?いや、もうちょっとあるかな?

銀鱗。黒っぽいチヌが現れる。なんだか、こみ上げるような懐かしさを感じる。

玉網を伸ばし、浮かしたチヌを掬う。

Img_2685_r


チヌ。38cm。ほんと、立派な魚だよな。サイズが、じゃないよ。チヌという魚がね。

久しぶりの釣りというのは、このあたりでまたたどたどしさとして影響してくる。

要領が悪い。とりあえず焼けた波止にチヌを置けないので、バッカンに水を汲んで波止にかける。これを3度。その間片手でチヌの入った玉網を持っている。針が外れていないので、クーラーに預けた竿が落ちる。

針を外してストリンガーを...と思ったら、そういえば2010年の最後の釣りでストリンガーを海に忘れて帰って、今日は来る途中に買っていたのを思い出し、ストリンガーをパッケージから出して、使い方にちょっと悩んで...あ、タオル...チヌを掴んでストリンガーにようやく掛け...あ、写真撮らなくちゃ...デジカメがないので、手の糠を海水で流して、首にかけたタオルで手を拭いて、iphoneを取り出して撮影...ようやくストリンガーにかけて一段落。

以前なら、釣りの流れを止めずにできていたこんなことで、随分無駄な時間を食ってしまった。つまりは釣れるはずのチヌを釣り逃したことになる。

今は上げどまり前の時合なのだ。

コーンを刺して団子を握る。

雰囲気はあるのだけれど、団子が持たない。

こんな時に団子のセッティングを変えたくはないが、仕方なくさらに緑マッハを追加、サナギ粉も追加して水分ちょっと多めにして、そして団子を握る。

団子はいい感じ。団子アタリも出ている。

くそ~、ボケもないし、せめて練り餌でも買ってくればよかった...

仕方ない...ちょっと離れたところで波止のヘリまで距離のあるところを歩いているフナムシにターゲットを絞り、近づいて、手ではたいて弱らせる。

針に刺して、団子を握る。ああ、左腕が痛い。辛い。

投げる。

アタリがうまく出ず、フナムシが半分になって帰ってくる。

またコーンを4粒刺す。

投げる。

団子アタリ。

割れる。

沈む...

アワセ!

ガツン!

よっしゃ!さっきよりは大きいぞ!

少し過剰なほど時間をかけて、ゆっくり...引きを楽しみながら浮かせる。

玉網に綺麗な銀鱗が...さっきより形のいいチヌが滑り込む。

Img_2689_r


チヌ。40cm。肉厚で重厚感あって、なかなか。本当に綺麗なチヌだ。

ここでも若干あたふたして、もう一枚、というころには時合終了。

潮が止まる。

とりあえず、手返しは続ける。

しかし、このころには、竿の上げ下げも辛くなってきた。

握力がない。握ろうと思っても力が入らない。

おまけに暑さもピークで、クラクラする。体力ないなぁ。

まだ釣り始めて2時間半くらいなのにね。

下げはじめの時合は、おそらくチヌがいたと思うのだけれど、そのころからの向かい風に竿先にラインを絡めたり、団子の握りが甘くてうまく持たせられなかったりで、結局逃してしまった。

さらに1時間半ほど頑張って、諦めた。

これ以上、もう釣りにならない。団子が握れない。

せめてもう少し涼しければ...と思うのだけれど、暑いのを分かっていてこの時間帯に竿を出したのだから仕方がない。もともと4~5時間やれれば上等だろう、と思っていたのだから、まぁこんなものだろう。

チャリコを一枚追加しただけで、竿を畳んだ。

Img_2693_r


チャリコは15cmほど。当然リリースサイズなのだけれど、いただいて帰る。

クラクラしながら片付けて、波止を流して車に戻る。

エアコン全開!

ともかくコンビニまで急げや急げ!冷たいものが欲しいぞ!

家に帰る。

今日の釣りからは、釣った魚はすべて自分で調理しなければならないし、基本的にすべて自分で食べないといけない。

40cmクラスのチヌともなると、これ一枚で3人家族で食べれるほどのボリュームだから、もろもろ考えても、持ち帰りは2枚が限界だな、と改めて感じる。

今後、釣りにどう向き合うか?は、よく分らない。

車もないし、結構暇もないので、たまにしか行けないだろうけれど、食を釣りにより一層近づけないといけない。

チヌはすべて3枚におろして、一枚の半身を刺身にする。そのうち3割ほどは翌日チヌ茶漬けにする。残りはその日に食べた。まだちょっと本気のチヌの味ではないな...

アラは塩焼きと汁に。

半身はコブ締めにして、翌日食べる。なかなか美味い。

半身は西京味噌とみりん、日本酒で作った味噌床につけて、2~3日間をおいて西京焼きにしてみよう。

残りの半身は冷凍。これは追々工夫して焼いてみる。

Img_2711_r

チャリコはどうしたか??

Img_2708_r

これ、やってみたかったんだよね。

鯛めし。釜のサイズから、これくらいの鯛が限界なんだよね。

焼いて入れればいいのだろうけれど、まぁそのままでいいだろう。

研いだ米に適量の水を入れた炊飯ジャーの釜に、しめじ、竹輪を乱切りしたものを入れて、醤油、日本酒、みりん、塩を少々。様子が分からないので、少しだけ昆布も入れて、軽く塩を振ったチャリコをおいて炊飯。

結果としては、鯛が小さいので思ったほどダシが出ず、また味付けを薄目にしていたこともあって、少々味が薄くなってしまった。けれど、身をほぐして混ぜ込んだ鯛めしは、なんだかうれしい。

翌日、チヌ茶漬けにはこの鯛めしを使った。やはり味が少し薄いので、コブ締めのチヌに醤油をかけて投入すると、なかなかよいお味に。

うむ。素材から調達する料理は、なかなかまだまだ納得はいかないけれど、結構面白いかも知れない。

包丁も買いそろえるかな~。ヘンケルの万能包丁一本じゃちょっと物足りないし、食材に申し訳ないかも知れないね。

楽しかったか?といわれると、しんどかったし、いまだ手は痛いし...

でも、釣りって、楽しいとかなんとか、そういうもんじゃないよね。いいよね。釣りは。

また、少し季節が変わったころになるだろうけれど、海を見に行こう。






2013年7月27日 (土)

男は結構、好きだったりする…

Image

東京、四ツ谷。
老舗パーラーにて、桃のパフェ。
めちゃくちゃ美味い!桃の美味しさのいろんな部分を引き出して、グラスに盛り込んだ感じ。あと引く美味しさでした。
男の癖に、と言われても、ケーキとかこういうのとか、好きなんですよね〜^_^;

2013年7月22日 (月)

鳥辺野と勘違い ~延暦寺から清水寺へ~

出張、というと、何故?と言われそうだが、まぁ今年もう一年はよくある出張だ。

滋賀県は大津京駅。湖西線。

広島からは新幹線で京都へ。京都から乗り継いですぐだ。ここが滋賀であって京都でない、ということに違和感を感じるくらい、JR京都駅からは離れていない。

タクシーで乗り合わせて比叡山を登る。

ここは仕事なので割愛。

2013年7月20日。

深夜までの宴会で寝不足のまま、車で来ているIさんに乗せてもらって比叡山ドライブウェイを抜ける...といってもここは抜けるのではなくて、結局引き返すことになり、料金も帰りに支払う仕組みのようだ。

先に書いてしまうけれど、この料金には驚いた。

あの短い距離を往復しただけで1600円ちょっとの有料道路って、ぼったくりではないか...

比叡山に車であがった場合の入場料的に取られているのだろうか。あまりの高さに唖然とした。

Img_2539

延暦寺、大講堂。

比叡山延暦寺は、東塔、西塔、横川の3エリアに分かれていて、この区間はシャトルバスか自家用車で移動することになる。まぁ歩いても問題なさそうな距離だとは思うのだけれど。

今回は5人で、しかも車に乗せてもらっていたこともあって、一番メイン?の東塔のみ回ることにした。

大講堂の立派な建物、また生活感すら感じさせられる中を見学。中の方はすべて撮影禁止なので写真はない。

Img_2541_r

大鐘楼。一突き50円...願いを込めて打つといいらしいが、願うにもお金がいる。

まぁいいのだけれど...

お寺も大変なんだろうな。と思う。

檀家もいるのだろうけれど、これだけの施設を維持するには相当お金もかかるだろうことは理解できるが、お土産的に売られるお守りとか、こういう対価的なものには、少しばかり違和感を感じる。

鐘を打つにあたり、ご寄付を...と書かれれば、別に抵抗はないのだけれど。

一応、50円払って、鐘を突いた。その大きさから、素晴らしい音が響き渡る。

鐘の音はいい。

Img_2544_r

国宝の根本中堂。・・・の入り口で記念撮影する外国人集団。

単に観光か?というとそうではないようで、外国人の僧侶のような方もいて、延暦寺の僧侶が案内している。観光というよりお参りに来ている感じだ。

門の中に、とても古く、威厳を感じる根本中堂があるのだけれど、ここも写真撮影禁止。

門をくぐると、左右に廊下があって、まずはここを左に進み、正面へ。

靴を脱いで中に入る。薄暗い構内。

正面の暗闇に仏像(薬師如来)が1200年灯り続ける不滅の法灯に緩やかに照らされて揺らめく。

その暗闇の中は一段低くなっていて、そこに仏像などが安置されている。一番右側の足元下でお経をあげる僧の方がいる。

こういう神社仏閣を訪れるといつも思う。何もこれほどの有名で大きなお寺でなくても...なのだが、空気がしんと静まっている。表現が悪いか?なにか、重たく、でも心を落ち着かせるような空気が漂っている。

特定の宗教についてどうこうと思うところのない僕なのだけれど、こういう場所は好きだ。

Img_2545_r

そびえ立つような急な階段をあがると、文殊楼だ。

Img_2552_r_3

この中には、階段、というより梯子と言った方がいいような階段があって、2階へ上がることができる。

・・・といったような、極めて一般的なお参り(観光)をして、今度は京都側へ車で送ってもらう。

そのまま帰ろうか?と思ったのだけれど、googleマップで付近の地図を見ていると、清水寺の下(南西側)に広がるエリアに、鳥辺山管理墓地、という表示が見える。

鳥辺山、といえば、さだまさし「鳥辺野」。

まだ中学生のころにこの曲が入った「うつろひ」というアルバムが出た。

このアルバムには僕の大好きな「黄昏迄」も入っているのだけれど、この当時、どうにもよく分らない曲がいくつかあった。

一つがこの「鳥辺野」だ。いったい何のことを歌っているのか?さっぱりわからない。

♪寂しいからとそれだけで来るはずのない鳥辺野♪で歌いだすのだけれど、鳥辺野が何かわからないので、「来るはずのない」というのは、鳥辺野という鳥??(そんなわけはないが)が来ない、ということ??などと、中学生の田中君は考えていた。

印象的な曲なのに、どうにもよく分らない。

その当時はインターネットもないし、今のようにググってすぐ解決、とはいかなかった。

その後、京都の地名であることは(大人になってから)理解したのだけれど、その程度で、やはり何故こういう詩が書かれたのだろう?という疑問を残したままだった。

一つには、僕のさだ歴は、大学入学ころに少し弱まっているところにも起因する。

あえて探求しようという気持ちがなかったわけだ。

で、今回、鳥辺山の文字を見て、「鳥辺野」、そして「鳥辺山心中」という2曲を消化してみたい、という気になったわけだ。

それなら...ということで、17~18年ぶりに清水寺にも参ってみることにした。

僕と、もう一人、清水寺参拝で途中で車から降ろしてもらう。

まずは一般的な観光道?お土産物屋の並ぶ坂道を上がる。

Img_2553_r

久しぶりの清水寺だ。

仁王門を抜けて少し歩くと、隋求堂。

ここは胎内めぐりができる。・・・ということを初めて知った。

一度やってみたかったので、同行のSさんと一緒にお金を払って説明を聞く。

靴をビニール袋に入れ、右手で持つ。

左手は、壁際に手すりのように渡してある大きな数珠を掴み、これを頼りに先へ進むわけだ。

真の闇。

日常生活から真の闇が失われた現代。不思議な感じがする。怖くはないが、自分の肉体が希薄に感じられる。

少し残念だったのは、エアコンのLEDの緑のランプが途中で見えたことか。ここは徹底してかくして欲しいものだ。

それでも闇の中を進むと、ふと丸い石、またそこに刻まれた梵字が浮かぶ。

その闇の中の明かりは、当然人工的なものなのだけれど、不思議な感じがする。石が、梵字が浮かび上がっているようだ。この石は回るようになっていて、これを回してから先に進む。

すぐに出口だ。

もう少し長い距離を歩いてみたかったが、それでも、なかなかよかった。

ふと、思い出す。そこがどこだったか、いつだったか?それは思い出せないのだけれど、僕たちが子供のころには、真の闇に近い闇が日常にまだ存在していたような気がする。

足を踏み出すのが怖い...接地感の薄まる闇。

闇があるから月明かりは美しいし、星も美しい。でもそれらは常に天にあるわけでもない。

いや、雲の上にはあるんだけどね。

やっぱり、何かを得ると、何かをなくすのかな。

Img_2569_r

本堂と清水の舞台。

Img_2566_r

理系的には、その足組が興味深い。

斜めに梁が入っていない。これは何故なんだろう?斜め梁を入れる方が有利だと思うのだけれど。

Img_2558_r

三重塔。

そして音羽の滝。

Img_2581_r

ここは行列だ。渋滞だ。

並んでいるにも関わらず、ひしゃくですくった水をペットボトルに入れて、しかも口からあふれるくらいまで必死に入れている人がいる。

そうまでしなくてもいいだろうに...人が少ないならまだしも...

こんなところに来ても、人は欲を忘れない。

さて、暑い。

そろそろ清水寺もいいか。

で、「Sさん。ちょっと帰りは通りたい道があるんですけど。墓場なんですが、どうされます?」

と一応聞く。

清水寺から鳥辺山管理墓地へは簡単に入り込むことができる。

が、ここに入り込む観光客はほぼいない。

まぁ墓場を観光地と考えるものもあまりいないだろうし...当然か。

正確には、西本願寺西大谷墓地、でいいのかな。

鳥辺山、といっても、清水寺から下る坂道のような感じで、少しだけ丘になっている。

Img_2586_r

墓場で写真も不謹慎かとは思ったけれど、少しだけ。

調べたところ、この木のあたりが鳥辺山の頂上らしい。

しかし、それにしても墓だけ。

陸軍なんとか...というような大きな墓が目立つ。古い墓所だ。

しかし...

♪木立の間に間に埋もった枯葉♪も、

♪竹はゆら、竹はゆらゆら~♪ の竹も、

当然寒椿の木も見えない。

ん???

この鳥辺山周辺は古くからの埋葬地で、鳥葬、風葬が行われていた場所らしい。

清水寺のにぎやかさが嘘のように、ほんの少し離れただけのこの場所は静かで、もの悲しい。墓所なので当然といえば当然だけれど。

しばらく進むと、

御荼毘所(おだびどころ)という看板があった。

Img_2591_r

説明を読むと、親鸞聖人の火葬地らしい。

少し興味を感じて、訪ねてみることにする。

まさに墓場の中を、案内表示に従って、グネグネと進む。

以前、墓場下といわれるポイントで釣りをするときに、「お邪魔します」と手を合わせていたのと同じように、お邪魔します、と手を合わせて墓場を通り過ぎる。

随分進んだような気がする。

突然に階段。

Img_2592_r

そこだけ、木が伸びている。寂しげな場所。

Img_2593_r

その奥に、親鸞聖人の火葬場所を示す石碑が立っていた。

おそらく、ここまで踏み込む観光客は多くはないだろう。ただ、観光、というような場所でもない。

そんな時間を過ごした。

京都駅にバスで移動し、昼食をとって、新幹線で広島に帰る。

それから、今更ながら鳥辺山について調べてみると(ネットで)...なんと、さださんの歌った鳥辺野は墓場ではなかった...

京都駅から奈良線で東福寺という駅で降りる。つまり今回僕が訪れた鳥辺山から南の方に広がる一帯が鳥辺野のようで、きちんと調べてブログに書いている方がいた。

ちゃんと調べてそこを訪れれば、さださんの歌の世界があったようだ...う~む...

まぁまた今度行ってみよう。思いのほかディープな体験もしたしね。

申し訳ないのは、ほとんど意味もなく墓場歩きに付き合わされたSさんだなぁ...