石の街、檸檬の国 ~南イタリア旅行記 その6 サレルノ~
マテーラ サッシを出て、ひたすら西へ向かう。
この日は一気にアマルフィまで移動する。車の運転もかなり慣れては来ているが、未だ時折ウィンカーを出すつもりでワイパーを動かしたり、慣れない左ハンドル右シフトにまごつき、また右に寄らないように気を使いながらの運転であることには変わりはなく、疲れることが朝から想定できそうな日だ。でも、いよいよマテーラだ。わくわくする。
例によってWi-Fiの電池を気にしながら、iphoneのGoogleマップ頼りの移動。
高速道路に乗り、potenzaを過ぎる。あの、タイヤのpotenzaなのかな?
こうして南イタリアの道路をひたすら走っていると、どうにも、都市(というか街)が山の上、岩山の上と言った方がいいだろうか?そんな高いところにあるのに気づく。
特に水の便を考えると、間違いなく不便なような気がするのだけれど、何故なんだろう?
やはり、過去、戦争が繰り広げられていたころ、攻め込まれにくく、敵を把握しやすい場所に街を作ったのだろうか。
歴史が今を形作っているのだよなあ、などと考えつつ、ひた走っていたのだけれど...
どうにも、途中で道を間違えたようだ。何故だか知らないけれど、南へ進んでいるような気がする。
iphoneのGoogleマップもGPSだけを頼りに位置表示しているため(通常はWi-Fiや携帯基地局の位置で補完されていると思う)、まったく見当違いな位置を表示していたり、何分も自分の位置が変わらなかったりするため、これには往生している。
仕方なく、一旦高速を降りて、Uターンする。ただでさえ疲れる移動なので、こういうロスは結構つらい。
そんなこんなで、アマルフィ海岸に入る手前の街、サレルノが近づいてきた。
サッシからサレルノまでだいたい200km。ここから先、アマルフィ海岸は道もぐっと狭くなり、蛇行してくる。
サレルノで昼食、それと、サレルノ大聖堂くらい見てみようかな。
サレルノ。イタリアの都市は交通が大変。渋滞だらけだし、道が狭いうえに路駐だらけだし、お世辞にも交通マナーがいいとは言えないし...
また、街中に入ると駐車場が少なく、また、駐車場には車があふれている。
道路わきのパーキングスペースへは車間距離ぎちぎちで縦列駐車されているが、こんなところにどうやって車を入れ、また出すのか???想像もつかないような停め方がされていたりする。とても俺には無理だぞ...
サレルノの海岸通り近くをグルグル回り、ようやく、落ち着いた駐車場を見つける。
さて、と。
車は停めた。
しかし...この機械、どう使うんだ??
つまり、駐車券の発券機って、日本でもありますよね。あれ。
でも、まったく使い方が分からない。
ふと見ると、おつりが残ってる。
イタリア、サレルノの駐車場の発券機でおつりのコインを僕が見つける可能性、確率...そんなことを考えると、なんだかとても貴重で、幸運な気がした。
なので、この1ユーロコインは財布に入れておいた。
それはそれとして...つまり結局どうしたらいいのか分からなくて困っていたら、僕らの後ろか感じのいいイタリア人がやってきた。
「お先にどうぞ」と話かけたわけではなくて態度で示すと、サクサクっとお金を入れて、駐車券を出している。
Jに目で合図して、どうやって使うのか、聞いてもらう。
まぁ、当然にそんなに複雑な操作が必用なわけではなくて、お金を入れて、ここを押す、的なところではあったのだけれど。
ともかく、車は停めた。
飯を食おう。
しかし、車の運転、特にサレルノの市街地に入ってからの運転は緊張しっぱなしで、そのせいか全く食欲がない。どちらかというと、お腹が張って、食べたいという気にすらならない。
でも、やっぱり食べておかないとな。
適当に駐車場近くの店を選んで、よく分らないながらに注文する。
こんな店で、こんなショートパスタ。
かぼちゃっぽいソースかかっていたように記憶しているが、食欲がないので、ちょっとしつこく、重くて、あまり進まない。
もう少しフレッシュなものが食べたい。パスタもあっさりした、できればロングパスタが食べたい(ロングパスタのメニューがイタリアはどうにもきわめて少ない)。
スプライトが美味しい。そんな記憶だけが残っている。
サレルノ大聖堂を目指して、Wi-Fiとiphone頼りに歩くが、まったくまともに位置表示してくれない。やはり左右に迫る石積みの建物のせいか?
そんなに遠くないはずなのだけれど...
やもすると、少し怖いような薄暗い路地もある。周りは外人しかいない...当たり前だけど。
かなり歩き回って、ようやく到着。
サレルノのドゥオモ(大聖堂)
閑散としているし、それほどのものには見えない。
しかし、近づいてみると、柱の彫刻や、棺のようなものの彫刻も非常に凝っていて、やはり凄い。
石の文化は、歴史を今に伝える。木の文化の国から来ると、それを痛感する。
中に入ってみる。
ただただ、美しい。
とくに天井画には見惚れてしまう。さすがイタリア。日本の文化とは明らかに違う、きらびやかな、それでいて静謐な、そんな空気。
写真の下から4枚はすべて地下のクリプトの写真。聖マタイのお墓がある。
日本でも、古い歴史をもつ神社は結構好きだ。
その場所のシンとした空気。その場所がもつ空気感、見えないけれど何かしらの力がそこにはあって、心を押し付けて、それでいて苦しくなくて、清々しい。八百万の神という日本の神様。お社を包む木々に宿る、そんな力のような気もするし、そのお社自体にもそれを感じる。
まったく見た目は違うけれど、クリプトには同じような空気がある。いや、ちょっと違うか?
この石、それと芸術で囲まれた空間には、人々が祈った、その祈りが染みついているのかな?
少しだけ、疲れも取れた気がする。
さぁ、行こうか。アマルフィへ。
to be continue...
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