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2013年5月28日 (火)

羊の国でニジマスと...ニュージーランド旅行記その5 ~雄大なり、鮮烈なり。竿を振る。~

やはり...とても重たい気持ちを引きずってしまうクライストチャーチ。

ガーデンシティと呼ばれるこの街。名物ともいえる美しい庭も見る影もない。少しずつ、しっかりと復興に向けて歩む姿は力強いが、その分重い。

釣りなんてしてもいいのかな?

とはいえ、

これだけは確実にやりたくて、日本から業者を通じてガイドを予約してある。

・・・朝、8:30。

こんな時間でいいのだろうか?

夜討ち朝駆けを基本とする日本の釣り師としては拍子抜けするくらいのゆっくりしたスタートだ。何せ、モーテルにガイドが迎えにくるのがこの時間なのだから。

もっとも、僕の終盤の釣りは、日が昇ってから家を出る、を基本にしていたので、まぁそんなに違いはしないのだけれども、何せニュージーランドにまで来て釣りをしようというのだから、気合が違う。

久しぶりにがまかつのフィッシングパンツに足を通す。かなり年期も入っているが、このあたりも気合の表れ。

こちらに来てからのニュージーランドの寒さは結構なものなので、さらに山間部(だと思っていた...後で甘かったことを思い知るのだが)に行くのだから、もっと寒いだろう。

足はウェーダーを履くだろうからまぁいいとして、上半身は暖かくしないとな。

といっても、釣り用の防寒着なんか当然持ってきていなくて、これも年期が入ったダイワのゴアテックスレインウェアのみ。最近はどうか知らないが、このころのダイワのレインは撥水性を失ってくると、なんだか水がしみてくる。ゴアテックスなのに不思議...

それはさておき寒いのは嫌なので、ユニクロのフルジップのフリースを下に着込むとしようか。

トイレに入っていたら、モーテルの駐車場に車の音がする。

慌てて出てみると、ランクルの脇ですでにJがガイドとにこやかに話をしている。当然英語で...

僕も降りて挨拶する。「おはよう、よろしく、僕田中...」うむ、情けない。

ガイド、フィルは爽やか系タフガイ?な感じで、ニュージーランドの自然に磨かれた、かっこいい男。優しげでよかった。

車に乗り込み、今日だけは、自分にできる最大限のコミュニケーションをとろうと、がんばってフィルに話しかける。

「自分は日本では磯釣り経験はある。でも、フライロッドは1度振ったことがあるだけ。ほぼ素人なのでよろしくね。」などなど...というほどネタは思いつかないが、まぁ見える景色について質問したり、どれくらい走るの?とか、どんなとこ行くの?とか。

Jがいるので、困れば聞けばいい。

車は郊外に向けてひたすら走る。街を抜けると震災のあとはほとんど感じられない。

・・・いた!
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牧場が広がり...いたいた、羊羊羊。牛も。

羊の国に来たつもりが、ここまでほとんど羊を近くで見ていない。

しかし、この羊という生き物、過剰なくらい人見知りなようで、20mほどの距離から一歩踏み出すと、ザザザザっと一斉に退却...

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ほら、こんな風に、すでに見えないほど小さな白い点々点々。

ひとしきり、羊に遊ばれて、あらためて車は進む。

広大な畑に自動散水装置。スケールが大きい。

どこまでも伸びる道...広がる青空...緑...遠くに雪を抱いた山々...

素晴らしい...

車はガソリンスタンドとコンビニ...というより田舎にある商店がくっついたようなところに入る。よく映画で見るような?そんな感じの店だ。

フィルは...

あ、なるほど。

どうやらここでフィッシングライセンスを購入するらしい。

__

なんだか妙にうれしい。これが一番の自分のお土産になりそうだ。

飲み物などをさらに調達して、車はぐんぐんと先へ進む。

わくわくするか?

そりゃ、するさ。こんな景色をどんどん進んでいくんだよ。

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そして、あの雪を抱いた山に迫り、さらにどんどん標高を上げていく。

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山間部の緑に囲まれた湖...を創造していたのだが、これは...

たどり着いたのは山頂近い湖。澄んだ水をたたえている。

しかし連日の寒さでこの標高。とんでもないことに...と思うかもしれないけれど、基本的に晴れ男な私の力が最大限発揮されたのか、この季節初めての初夏の天候。

なんとも気持ちいい。日差しが強烈なので、相当日には灼けそうだ。

まずはレイクでフライフィッシングの基本のお稽古。あとからリバーに入るらしい。

ニュージーランドのトラウトもフライフィッシングも、すべてイギリスからもたらされたものだ。

なので、こういった山頂近い湖にも放流されて、結果として自然に溶け込んだトラウトがたくさんいる。

はたして、生態系を考えた場合、これは正しいのか?

このニュージーランドという国は、もともとの生態系はほぼ破壊されて、外来の生物と外来の人間が、その作られた自然を謳歌している。

いいのか悪いのかも分からない。なんとも不思議な場所だ。

難しい問題だから、考えると楽しめなくなるので、とりあえず、与えられた目の前に確かに存在する自然を...フィッシングフィールドを楽しむことにしよう。

フライロッドを握るのは2回目。

随分前に、会社の先輩にバスのフィールドでバス用のフライを投げさせてもらったことがある。

ただし、フライフィッシングの基本は、もう小学生のころから勉強している。

そう、釣りキチ三平。魚紳さんがアメリカからの手紙で三平にレッスンするやつだ。

はたして何度読み返したことだろう。フライマン(風来満)にダブルホールに磨きをかけな!的なことを言われたり...

そういえば、あのレッスンをまねて、穂先に毛糸を結んで、意味もなくキャスティングの練習っぽいことしてたなぁ~

当然、ニュージーランドに行く前に読み返したのは言うまでもなくて、つまりは釣りキチ三平の対象魚別に編集されたものを全巻持っているのは言うまでもない。

僕らの世代は、まさに釣りキチ三平の現役世代。

少年マガジンで連載していたころに釣りまみれの少年時代を送っていた。

そろばん塾をさぼって近所の池で、なぜかその当時(すでに35年くらい前か?)からいたブルーギルを、こいつが何者かも知らずに釣り、鮒を釣り、鯉をかけてはぶち切られ...そして自転車こいで、荷台はクーラーを括り付けて、竿入れ担いでどこまでも、それこそ1時間でも自転車をこいで海に向かっていた。

なんだか、いい時代だったな。

そのまま大きくなって...というわけではなくて、高校、大学とほとんど釣りには行かなかった。もっと楽しいことがあったのかな?よく分からないけれど。

それから、何故だか大学5年生のころ、ふたたび竿を握る。握った竿は磯竿で、そして、あのいかつく、銀色に輝く、あの魚...チヌにであった。

それから20年。ひたすらチヌを釣りまくり、大切な仲間とであってさらにのめり込み、ホームページを立ち上げ、ちぬ倶楽部、釣りサンデーなどに寄稿を求められ、フカセジャパンというもうかなり前に消えてしまった雑誌には連載記事まで書いて...

そんなことをしているうちに、何か釣りに義務感を感じて、チヌを釣ることに高揚感を感じなくなって...そう、釣りにロマンを感じなくなると、それは辛い...釣りはまだ見ぬ魚との真剣勝負。ハンティング。ロマンなんだな。

仕事も忙しくて、今は亡き家庭も忙しくて、車も自由に使えず、だんだん釣りから離れてしまった。

そのなれの果てが今の僕。

だから、こんな壮大なフィールドを目の前にして、そして未知のタックルを手にして、ドキドキしない訳がない。だから、今は目の前のロマンを楽しもう。

まさか、釣りキチ三平で勉強してきた、とは言えないし伝わらないので、基本的な操作をフィルに教わる。

バックキャストからフォルスキャストへ。ループを維持しながら徐々にラインを送り出していく。

・・・が、頭の中で描いているイメージには何故だか現実は追いつかず、すぐにラインは勢いを失って、後ろの草むらを釣ってしまったり...実に難しい。

やはり、一日でそんな芸術的な、リバーランズスルーイット的な操作ができるわけもなく、つまりは一日中キャスティングには悩まされたわけだが...ただ、フィルには筋がいい、と褒められた。まぁあれだけ磯竿とはいえ振っているのだから、まったくの素人よりはマシでないとねぇ。

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日本の周防大島や、御荘や、その他あちこちで来ていた青いダイワのレイン。

そしてG杯の中国ブロック大会に出場したときかな?もらったがまかつの青いキャップ。

こうやって写真で見ると不思議だな...なんとなく。

さて、Jは...さすがにフライは無理だろう、ということで、事前にルアータックルの準備を頼んでいた。

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こんな虫っぽいルアー。

フィルは見ていない時にこれで一匹掛けたのだが、Jには魚は付き合ってくれなかったようだ。釣れないルアー釣りは、本当に釣れるのか?こんなもんで?という疑心に拍車をかけるので、結構つらいんだよね。で、ときどき寝てて、そのときにフィルが掛けたらしい。

「グッドファイトだった」と言っていた。まぁ30cmくらいのレインボーだったらしいが。

で、じゃあ、僕はどうだったか?

本当にフライは難しい。

懸命に振るのだが、うまくライズしている近くに落とせない。

焦るとラインは湖面をたたき、リーダーが切れる。フライをロストする。

たびたびラインを結んでもらうのも申し訳ないし、どのみちキャスティングのトレーニングだ、と考えて、リーダーが切れたところを勝手に結んで(ライン結びは当然慣れてるし)、結果、結び目がたくさんのリーダをフィルに差し出して、苦笑いされる...

また、風が吹くとまったく飛ばない。フィルは上手に飛ばすのだが...さすがだなぁ。

で、湖面に漂うラインをフィルをまねてロールキャストで伸ばそうとしても、できない。

う~む...

湖の脇の道路から、手近な駆け上がりに向けてキャストする。

背後の斜面のヒースに引っかかって大変だが、頑張る。

すると、ほんの15cmほどの魚が反応して、いったんフッキングした!と思ったら、湖面を魚が切った直後に外れてしまった。

その後、30cm弱の魚がフライにアタックしてくるのは2~3度見えたのだが、結局針には乗らず。

フィルの用意したサンドウィッチをJと頬張る。こういうところで食べると、こんな素朴なサンドウィッチが似合うし、なんとも美味しい。放り投げられたリンゴを受け取り、食べる。いいな...

さて、そのあと、

フィルがルアーでトラウトをかけた場所にまたウェーディングで立ちこんでロッドを振るが、風向きも悪くて思うところに飛ばない。

といったところでタイムアップ。

どちらかというと楽しみにしていたのは、この次。

いよいよリバーだ。

...to be continue...



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